表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/14

第9話 成長の証と変わった《安息の空間》

 数々の戦いを経て、彼女は今や基本魔法を自在に操るようになっていた。

 遂に10階層まで行けるようになったのだ。

 ちなみにまだダンジョンに潜り始めて数ヶ月の彼女には異例のスピードだ。


 洞窟の薄暗い通路でオークが飛びかかってきた。



 優衣は手をかざし、淡い青の光の矢を放つ。


 魔法の矢はオークに命中し、素早く倒れた。


 近くの壁際には薬草がひっそりと生えている。


 「これは役に立つはず」


 そっと摘み取り、アイテムボックスに素早くしまう。


 土曜日の探索を終え、優衣は渋谷ダンジョンからの帰り道で嬉しさがこみ上げてきた。

今回の探索でレベルが大幅に上がったのだ。


 「レベル33か……やっとここまで来たんだ!」


レベル:33

体力:600/1200

魔力:9300/12500

スキル:安息の空間(Lv1→5)

    基礎魔法(Lv5→12)

    鑑定(Lv2→3)

アイテムボックス(Lv2→5)




 自分の成長を実感する。



 これまでよりも戦いも上手くなり、手に入れた素材も換金して生活が少しずつ楽になってきた。


 「お金も安定して稼げるようになって良かった」


 そう呟きながら異空間《安息の空間》に戻ると、そこには驚くべき変化があった。




 優衣はいつものように《安息の空間》へ足を踏み入れた。

 すると、目の前に広がっていたのは、思わず夢かと思うほどの広くて穏やかな庭だった。



 優衣の視界にステータスボードがふわりと浮かび上がった。


【安息の空間 Lv.5】

・効果範囲:100m半径

・新機能:庭の拡張、小規模な畑の設置、池の追加、家の拡充

•家屋の拡張:1LDKへ


 この空間は半径およそ100メートルほどで、歩くたびに新しい景色が目に映る。

 色とりどりの花が優しく風に揺れ、小鳥のさえずりはないけれど、柔らかな空気が心地よく包み込んでいた。


 庭の奥には、レンガでできた小道が家まで続いていて、足元には柔らかな土と草の感触が広がる。

 小さな池がキラキラと水面を輝かせ、陽の光が反射して優衣の瞳に映る。


 そして、庭の一角には小さな畑があり、ここなら野菜を育てられそうだと感じた。

 土の香りがほんのりと鼻をくすぐり、どんな野菜を育てようか想像すると胸が高鳴った。


「これ、本当に夢じゃないんだ……」

 優衣は驚きと喜びで胸がいっぱいになり、何度もまばたきをして確かめた。




 優衣はそっと扉を開けて中に入った。

 明るいリビングに差し込む柔らかな日差しに、思わず息をのむ。


「わぁ……すごく明るい……!」


 大きな窓から差し込む光が、部屋いっぱいに温かさを運んでくる。

 窓辺の小さな観葉植物や季節の花が、まるで優しく微笑みかけてくるみたいだった。


 次にキッチンへ歩みを進める。

「ちょっと小ぶりだけど……これなら一人暮らしには十分だね」


 白い木製の棚やタイルの壁がとても可愛く、手に触れたカウンターの感触に心が躍る。

 お気に入りのマグカップが整然と並んでいて、ここで過ごす時間が楽しみになりそうだ。


 そして寝室に入ると、柔らかなパステルカラーのベッドが目に飛び込んだ。


「かわいい……こんなベッドで眠ったら、きっといい夢が見られそう」


 窓から優しい風が入り込み、肌に触れる空気まで心地よい。


 お風呂とトイレは別々になっていて、白いタイルと木の温もりが調和する清潔感あふれる空間。

 洗面台には小さな鏡があり、周囲には香りのキャンドルが灯されていた。


「こんなに可愛らしいお家に住めるなんて信じられない!!


 優衣は胸が温かくなり、これからの暮らしに期待がふくらむのを感じた。



 小さな体いっぱいに喜びを詰め込みながら、優衣は新しい日々への希望を胸に歩き出した

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ