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第23話 魔素を求めてダンジョンへ

第23話 魔素を求めてダンジョンへ


 翌朝の空はまだ薄く霞んでいる。

 優衣は窓辺に立ち、静かに深呼吸を繰り返していた。昨日、獣医の話を聞いてから、彼女の胸の中には一つの決意が芽生えていた。

 ヴァイスのために、何としてもこの問題を解決したい。


「ヴァイス、今日は初めての場所で不安かもしれないけど、一緒に頑張ろうね」


 ヴァイスはローブの首元から顔をのぞかせ、小さく「キュン」と鳴いた。その瞳はまだ幼く、どこか不安げだ。

 優衣はその表情に胸が締めつけられるのを感じながらも、強く微笑んだ。



 準備は入念に進められた。ダンジョンに入る際に必要な防具や薬品、食料、応急処置セットに加え、ヴァイスのための柔らかい毛布と従魔用フードも用意した。何より大事なのは、ヴァイスが安全であること。これが今日の最優先事項だった。


 通学路とは違う緊張感を胸に抱えながら、優衣はヴァイスと共に渋谷ダンジョンの入り口に向かった。


 入り口に到着すると、いつもよりも大きく息を吸い込んだ。

 周囲は少しざわつき、探索者や受付スタッフが忙しそうに動き回っている。受付のお姉さんは笑顔で迎えてくれたが、ヴァイスの姿を見ると驚きを隠せなかった。


「わあ、なんて可愛い子なの!!この子は?」


「フェンリルの赤ちゃんです。名前はヴァイスです」


 お姉さんは驚きながらも丁寧に説明を始めた。


「フェンリルの赤ちゃん……それは珍しいですね。私は初めてお会いします」


「ヴァイスは初めてのダンジョンです。まだ従魔登録も済んでいません」


 お姉さんは首をかしげながら説明を続けた。


「ダンジョンに入るには、従魔登録と主の名前が刻まれた首輪の装着が必須です。これがないと保護もできませんし、危険も伴いますから」


 優衣はすぐに手続きを進め、従魔用の首輪を受け取った。

白い毛並みに映えるように、シンプルでありながら丈夫そうな首輪だ。首輪についているプレートの裏に刻まれた自分の名前が、彼女の決意を象徴しているようだった。


 ヴァイスは首輪をつけられると、少し戸惑いながらも、すぐにその存在を受け入れたように尻尾をゆらゆらと振った。優衣はそれを見て、胸の中に温かな安心感が広がるのを感じた。


「ヴァイス首輪とっても似合ってるよ!これで一緒に入れるね」


 手続きを終えた二人は、いよいよダンジョンの入り口へと足を進めた。

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