第16話 初めてのおもちゃとの出会い
朝の安息の空間は、柔らかな陽光に包まれていた。
優衣は今日、ヴァイスにおもちゃを見せて遊ばせてみようと、少しそわそわしながら準備をしていた。
小さなぬいぐるみと柔らかいボール、そしてカラフルな鈴が付いたおもちゃ。どれもヴァイスが楽しめそうなものばかりだ。
「ヴァイス、おもちゃで遊んでみようね」
優衣が声をかけると、ヴァイスは首をかしげてじっと見つめた。雪のように白い毛並みはふわふわで、好奇心いっぱいの瞳がきらきらと光る。
「まずはこれからね」
優衣は小さなぬいぐるみをそっとヴァイスの前に置いた。
ヴァイスは最初、少し戸惑ったように後ずさりし、慎重に鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。「クンクン…」と小さく鳴き、前足でそっと触れる。
「どうかな?気に入ったかなぁ?」
優衣は微笑みながら見守ると、ヴァイスはぴょんと跳ねて、少しずつおもちゃを咥えてみたり、転がしてみたりした。鈴がカランと鳴るたびに目を大きく見開き、耳をぴんと立てて興味津々だ。
「わあ!びっくりしたね!」
ぬいぐるみを前足で押したり、咥えて少し走り回ったりするヴァイスを見て、優衣はつい笑みがこぼれる。小さな体が軽やかに動く様子は、本当に愛らしく、見ているだけで心が温かくなる。
少しすると家具の下の方を覗き込み「キュンキュン」と鳴いているヴァイスがいた。
家具の下にボールが入りこんでしまったようだ。
「どうしたの、ヴァイス?」
優衣はそっと手を伸ばしてボールを取り出すと、ヴァイスは尻尾を振り、また楽しそうにボールを追いかけ始めた。
その姿に優衣は、ヴァイスの小さな成長を改めて感じる。最初は怖がっていたものも、少しずつ自分で試して、遊ぶことを覚えていく。
しばらくすると、ヴァイスはぬいぐるみを咥えて嬉しそうに「キュン!」と小さく鳴いた。優衣が声をかけると、前足でちょんちょんと触れながら、安心した表情を見せる。
「ヴァイス、おもちゃ気に入ってくれたみたいだね!」
その後もヴァイスは、ボールを追いかけたり、ぬいぐるみを抱えてぴょんぴょん跳ねたりと、自由に遊び続けた。遊びながらも、時折優衣の顔を見上げて安心を確認するような仕草をするのが、また可愛らしい。
やがて、遊び疲れたヴァイスは電池が切れたように、その場でおもちゃのぬいぐるみを抱えながら眠り始めた 小さな胸がゆっくり上下し、鼻からは穏やかな寝息が聞こえてくる。優衣はそっとヴァイスの頭を撫でながら、今日の遊びの様子を思い返した。
「楽しんでくれてよかった。」
小さな体はすっかり安心しきっており、顔をうずめるようにして眠る。おもちゃで遊んだこと、少し戸惑ったこと、でも楽しんだこと――すべてがヴァイスの成長の一歩になったのだと、優衣は心の中で感じた。
外の光が柔らかく差し込む安息の空間で、ヴァイスの小さな寝息を聞きながら、優衣はそっと微笑む。




