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小惑星群の盛り合わせ  作者: 月卜鞠
彗星のカナッペ
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整合性に欠ける

 素晴らしい小説が書けた。

 まったく、いままでどの作家も書いてこなかった新境地の作品だ。


 内容としては──将来、この世界には魔法じみた科学が発達し、宇宙には無数の人工衛星が作られ、その人工衛星たちが新しい国家となり、宇宙の覇権を争う──という小説である。

 この宇宙戦争では、私の想像力から生まれた、宇宙船や宇宙兵器が盛りだくさんに登場する。きっと、読者の知的好奇心を刺激してやまないだろう。

 過去に、私の作品と類似したものはない。無類の読書家である私が言うのだ、間違いない。

 なにせ、昔から変わらず出版され続けてきたドラゴンや魔法の小説に辟易したから、こういう小説を書こうと思い立ったのだ。

 この小説のジャンルを名づけるならば、『サイエンスフィクション』が良いだろう。

 空想の科学をベースにした世界観で、何事も物理学的に説明がつくようにするのだ。少なくとも、私の小説の中の物理法則ではね。そんな世界観こそ、知的でかっこいいではないか。

 大ヒットするに違いないぞと意気込んで、自信満々で出版社に持っていったら、担当の編集者に「整合性に欠けるね」と突き返された。


「なんだい。人工衛星や、宇宙船って。そんなの、どっちも魔法でできるじゃないか。現にこの星は昔大賢者様が魔法で作ったものだし、月にだって、ドラゴンに乗ればいけるだろう」


 ぐぅ、と私は歯噛みした。

 編集者の後ろでは、三階の専用入り口から箒に乗った社員たちが原稿を脇に挟み、忙しなく出入りしていた。


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