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恐すぎる彼女  作者: カーズ
4/7

誤解

 次の日。


俺は何事もなく学校を終えて、あきと一緒に帰っていた。




「ねえ、信二君。さっきからあの人、ずっとこっち見てない?」

あきが急に、額にシワを寄せて言った。

怯えているというより、怒っている感じだ。




あきの睨む先には一人の女性の姿。




ん?どっかで見たカオ・・・

あ!




「智恵美じゃん!何やってんだこんな所で!」

「え?やっぱり信二?うわー、久しぶり〜!」




女性の正体は、俺と同じ中学校だった、佐々木智恵美だった。




智恵美とは生徒会仲間だったこともあって、けっこう仲がよかった。しかし、別々の高校に行ったこともあって、余り連絡は取っていなかった。「お前、ちょっと背伸びたか?」

「信二が縮んだんじゃないの〜?」

「こいつ!ハハハ」

「フフフ」






俺は久しぶりの友人との再開をたのしんでいた。

あろうことか、あきを一人にさせて。









―――

 「ねえ。そっちの人って誰?彼女?」

「ああ。あきってんだ。」


「へー。あんたにも彼女できるんだ。びっくり」

智恵美は手で口を覆い言った。




「おい。ひでーな。」

「あはは。あ、私智恵美って言うの。よろしくね。」

智恵美は笑顔で手を差し出した。

「私はあきです。よろしくお願いします。」

あきも笑顔で答える。しっかり手を握りあっていた。



よかった。仲良くなって。あきはちょっと嫉妬ぶかいからな。




―――

 それから、智恵美を混ぜて三人で帰っていたら、急にあきが言い出したんだ。



「ねえ、智恵美さん。智恵美さんは彼氏とかいるんですか?」

「それが出来なくてさ〜。ただいま募集中ってやつ」「今まで一人も?」

「悔しいけどそうなの。はあ〜。」

「ってことは、まだ処女って事ですよね?」

智恵美は立ち止まり、口を開けて驚いていた。




おいおい。普通初めて会ったやつにそんなこと聞くか?

俺はなぜか聞いてはいけないような気がして、聞こえないふりをしていた。

な、なさけねえ。




「ま、まあね。ハハハ・・・。」

智恵美は明らかに苦笑い。



「私は一月前に初めてしました。もちろん相手は信二君。」

「お、おい。そんなこと今言わなくても。」

まずいと思い止めようとするが、

「ごめん、信二君。ちょっと智恵美さんとお話させて。ね?」

口は笑ってるけど、目が笑ってないぞ。




情けない俺はそれで黙ってしまう。



「ごめんね智恵美さん。それで、話の続きなんだけどね。信二君たら、私が初めてなの知ってるくせに、凄い激しいの。しかも、ゴム無しで中で出すし。も〜、あれには困っちゃった。私、足腰立たなくなっちゃって」


あれはあきがゴム無しが良い、中が良いって言ったんだろ!

しかも、激しかったのは、どちらかと言うとあきだ!



智恵美は明らかに引いている。苦笑いを浮かべ、適当に相槌を打っている。




「昨日なんて、私の口にアレ押し込んで、無理矢理口の中に出したの。おいしくなかったよ〜。」



その言葉を聞いて、智恵美がびくっと肩を震わせ、汚い物を見るようにちらっと俺を向いた。

「ぇ・・・。あはは、信二やるねー・・・。はは・・・」

そんな目で俺を見ないでくれ・・・。




「しかもね!終わった後、信二君おしっこしたくなったんだけどね」

え?おい。あき?まさか言うつもりか?




「私におしっこ飲めって」

「ちょっと待った!あきそれは」

「あっごめん、私参考書買いに行くんだった。だからここで。ばいばい」

智恵美は足早に駆けて行った。ここは住宅街、お前が駆けて行った方向と逆に行かなきゃ、本屋なんてないぜ?




完全に、完璧に、智恵美の中で俺たちは変態カップルとなってしまった。

さすがの俺も黙っちゃいれない。



「おい、あき!なんであんなこと言ったんだよ!嘘までついて!」

「だって、あの女、私を差し置いて信二君とお話するんだもん!だから、わからせてあげたの。私と信二君が、単なる恋人じゃない、心も身体も完全に繋がってるんだって!」




笑顔で、あきは言った。

さっきの会話にはそんな意図があったのか?俺には、ただ俺たちの(というかあきの)趣味を恥ずかしげもなく暴露しただけとしか思えなかった。






それでも、それでも俺は、あきが好きだった。だんだんあきが変わっているとは思ってはいた。

でも、俺はあきを愛していたんだ。こんなことで別れたくなんかない。






この時は、そう思ってた。

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