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最初の出会い

気が付くと辺りは暗く若干肌寒かった。


「やべっ!寝ちまってたのか。もう夜か?明日も仕事だし、さっさと夕飯食って寝るとするか…。」

そう思い立ち上がり、次第に暗さに目が慣れてきて自分の知っている祖父の部屋ではないことに気が付いた。

「…は?ここ…どこだ?俺はじいさんの部屋の荷物を…整理してた…よな?酒なんて飲んでねぇし…」


辺りを見回して見るが暗くてやはりよく見えない…が、なにやら機械らしきものが並んでいるのが分かる。

(何処かのサーバールーム…?でもパソコンとかじゃない…?見たことない機械ばかりだ)

「とりあえず明かりは…何処かにスイッチがあるはず」


壁伝いに手探りで歩いていくと急に部屋に明かりがともり始めた。

「うわっ!びっくりした!急に照明が?」


手を触れていた壁を見ると掌のマークがついている。

「これを偶然触ったから明かりがついたのか。触れると照明をつけるシステムなんて凝ってるな」


明かりがついたことで部屋の中がはっきりと見えるようになった。

どうやら何かの研究室のようだ。


埃のかぶり具合からみて数十年…いやもっと長い期間放置されているようだ。

所々に積み重なっている資料を見ると祖父の手帳や、あの光る紙と同じ文字で書かれているのがわかった。

「一体この文字はなんなんだ…?ここはどこだ?」


「…どうみても近代的な装置ばかりなのに古臭いって…ほんとに一体ここはどこだ?俺は未来にタイムスリップでもしてきたってのか?」

状況が呑み込めずに戸惑っていると、部屋の中心にある球体のような設備はうっすらと発光して映像が映し出された。

(ホログラムか!?)


『おーい?聞こえるかー?』

イザはその声を聴いて驚いた。

「…じいちゃん!?」

しかしよく見ると容姿は今のイザと変わらないかそれよりも若いまである。

「じいちゃんが科学者だったって話は聞いたことがない。いったいこれは…?」


『ゴホンっ!これを見てる者は私の近親者もしくは私に所縁があるものと思う。でなければこの施設にエーテルを供給することは出来ないからな』

(エーテル?一体何の話をしてるんだ?)


『ここにいる者は未来の私が信頼し、希望を託した者だと信じこの映像を残すことにした。突拍子もない話と思うかも知れないが心して聞いてほしい。』

イザはわからないことばかりで若干動転していたが息をのんで話を聞いた。


『私は次元空間にひずみを作ることに成功した。そして未来に希望を残すため、別次元に旅立とうと思う。可能性は限りなく低いが、あちらでこの世界を救える存在を見つけ出しこちらに連れ帰るもしくは送り出すことにした。世界の終末を回避するために。

この映像を見ているものよ。どうかこの世界を救ってほしい。私が見込んだ者ならばきっとその力があるはず。

んじゃ頼んだぞ。そういうことで。』


そう言い残すと映像はそこで終わってしまった。


『…は?おわり?あんのくそじじい!若いころから適当か!!』

イザは手元にあった本を床にたたきつけた。


『なんか意味わからんことだけ言って!ヤバソウなことだけ匂わせといて終わり!?ネタにしてももっと詳しい話のこしとけよ!!某RPG初代作品の王様でさえもう少しまともなこと言ってたわ!』

そう愚痴っていると映像の続きが再生されはじめた。


『あ、そうそう大事なことをいい忘れていた…』

「をっ!続きがあるのか。」

『詳しい話はエーテロイドを全員回収して聞いてくれ。んじゃ!』

そう言い残すと今度は完全に消えてしまった。


『……。…更にわけわかんねぇよ!!!ただわからないことが増えただけじゃねぇか!糞じじいめ!えーてろいどってなんだよ!』

(これだけの情報で知らない世界に一人残されてどうしろと?ってか爺さん異世界出身だったのか!?ってかここホントに異世界?それとも未来か?)

そんなことが頭を駆け巡るが考えても今は何もわからないのでひとまず諦めた。


ここでわからないことを悩んでいても仕方がない。イザはそう思い、ひとまずこの施設を探索することにした。

幸い保存食と水は大量に備蓄されているのをすぐに見つけられたので当分は問題ない様だ。

(でもこれどう見ても何十年も昔のものだよな…腹壊さないかな…?)

1つ開封して食べてみたが特に問題はないようだ。

「味付けが薄い栄養バランス食ってかんじか?食えなくはないか」


暫く探索してみたところ、この施設では植物の研究、鉱石の研究などを主にしていたことがわかった。

至るところに研究資料と思われるものも残されている。

しかし全く文字が読めない。あちらの世界の文字はこちらでは通用しないようだ。

(あっ。でも映像のじいさんの声は普通に理解できてたな?文字が分からなくても言葉は大丈夫なのか?それとも言語だけは向こうと同じ…よくわからん)


この施設は地下に作られているだろうこともわかった。研究室が並ぶエリアの手前に大きな空洞がある。どうやらここは何処かの洞窟内部のようだ。そこには見たこともない青白く光る鉱石や不思議な植物が群生している。

この石って某映画の飛行石みたいだな。割ったら光ったり?とか考え手に取ってみた。

するとなぜか不思議な石から力を感じる気がした。

(不思議な感覚だ。この石はパワーストーンみたいなものか?)


探索を続けると施設が並んでいる通路の奥に大きな両開きの扉を見つけた。

「ここはさっきまでの研究室とは違うみたいだが…」

よく見ると扉に先ほどの部屋でもあった掌のマークが付いている。

「ここを触れば開くってことか」

イザは扉に手を触れた。


すると扉に光の線が無数に走り、音もなく自動的に開いていく。

(どう見ても普通じゃないよな…。電気で稼働してる雰囲気もないし、モーターの稼働音も聞こえないのに自動開閉って…)


部屋の中は薄暗く、目を凝らして見ても 部屋の中央になにかある 程度しか分からなかった。

先ほどの部屋と同様、照明がともり始めた。

部屋が明るくなり中央の何かが何なのかはっきり見えるようになってイザは驚いた。

「なっ?人?」


そこには一人の少女が立っていた。

白い髪に白い肌。なにか特別なものを感じさせる容姿をしていたので暫く目を奪われてしまった。

「…って俺は裸の少女を何がん見してんだ!?というかこの子は生きてるのか…?」

近づいてとりあえず脈があるのか確認した。

イザが少女の首元に触れた瞬間少女の体が光輝いた。

「こ…れは!?」


光が落ち着くと触れている部分から脈を感じた。

(先ほど触れた瞬間は何も感じなかったように思えたが脈があるな。この子生きているのか?それにしても一体なんなんだ。じいさんがエーテロイドを集めろって言ってたな。この子がそうなのか?)

目の前の少女の顔を眺めた。

(…そういえばこの子の顔どこかで…。そうだあの箱にあった写真の女性。あの人とどことなく似ている気がする)

そんなことを思っていたらいつのまにか少女は目を開けてこちらを見てので目が合った。


「…あ。目が覚めた?」

「…えっち」

少女は胸を隠す素振りをしながらそう一言だけ発した。


「!?あっ!いや!これはその!?とりあえずこれをやるから服をきてくれ!!」

ひとまず少女に上着を着せて話を聞くことにした。


「君、名前は?」

「…名前…マティア」

「マティアか。君はえーてろいど?なのか?」

「私はマスターに作られた存在。その最後の個体」

「最後ってことは他にも何体もいるってことだろ?他のエーテロイドは何処にいるかわかるか?」

「…わからない。」

「そうか、君は何のために作られたんだ?」

「…愛玩のため…新しいマスターも私を愛でる?」

先ほど見た少女の体思い出しイザは顔を赤らめた。


「えっ?っちょ!それは流石に…あの変態ジジイ!一体なんてものを…!」

慌てふためくイザを見てマティアと名乗る少女はくすりと笑った。

「冗談。マティアは新しいマスターを少しからかってみただけ」


取り乱したことと、少女にからかわれたことでイザは恥かしさで真っ赤になっていた。

「…おまえなぁ!」

「…マスター。私お腹すいた。」

マティアは我関せずといった感じで自身の空腹だけを告げた。


焦っても仕方がないのでイザは先ほど見つけた食糧庫へ向かうことにした。

「はぁ…まぁ話はあとで聞くか。向こうに食料があるから行くぞ」

「わーい」

それを聞いて少女は両手をあげてイザについていく。


「それとその…マスターってのはやめてくれ」

少女は何が問題あるのかわからない。と言った顔をして首を傾げながら答えた。

「…ではご主人様…?」


(可愛い少女からご主人様呼びされるなんて夢のようだ!…でも何故か背徳感が…)

「俺の名前はイザだ。イザって呼んでくれ」

「イザ…様。わかったご主人様。」

少女はイザの名前を確認しただけで結局ご主人様呼びから変わらなかった。


イザはもう呼び方なんてどうでもいいと思い諦めて食糧庫へと足を運ぶことにした。

「…はぁ、まぁどっちでもいいや。いくぞ」

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