第八話 別れの恩師
転生不登校~ 不登校だけど転生したんだが~をお読みくださいありがとうございます。
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魔術を習い始め2年が経過した。俺は五歳になりライネスは六歳だ。
「かなり良くなましたね」
「そうですね、流石に一年あればこのくらいは出来ます」
「いえ、魔眼の制御と同時に魔力制御を一年でこなすなど流石としか言えません」
そうか? そうだよな! 俺この一年凄い頑張ったもんな。魔力の制御は割と簡単だったが、魔眼の方には相当手こずったし。
「でも、まだ僕は自分の魔眼の能力を分かっていません」
「そうですね、あなたの魔眼は特殊ですからね」
そうなんだよ、魔眼ていうものは普通は何かを見れるものらしいんだが、俺の魔眼は触れられない黒いモヤを出すことしかできないんだ。
「でも、パラディはこの一年で魔眼の制御が凄い上達したじゃない!」
「そうですね、体全体をモヤで覆い尽くすのでは無く、部分的にモヤを出すことはできるようになりましたけど、それが制御なのかどうか」
「はあーなぜ、そうもあなたは悲観的なのですか?」
いや、悲観的というか事実を言ってるだけなんだけど
「そうよ! パラディは頑張ってるし天才よ」
「そうですかね」
嬉しい事を言ってくれるじゃないかライネス可愛すぎるぞ! えへへ
「この調子なら明日にでも試験をできそうですね」
「え!?」
「え」
は? 何言ってだよ! まだ無理に決まってんだろそもそも魔眼の制御が完全には出来てないだから。
「本当ですか!? ライア先生!」
「ええ、二人共、試験を受けるに値する実力を得たと私は今思いましたので」
「え、でも僕まだ魔眼制御はできてないですよ?」
「普通に考えて魔眼制御を一年でできる人間などいませんよ、そこまで出来るのはこの世であなたぐらいです」
「なるほど」
この人、俺に魔眼制御ができたら試験を受けさせるとか言ってたくせに、また適当な事を言いやがった。
「では、明日は試験を行いますのでそのつもりで」
「分かりました! やったねパラディ!」
「はい、そうですねハハ」
あーこの人そうゆう適当なところあるんだったわ。
「さて、そろそろ遅い時間になってきましたので帰りましょう」
「はい」
その夜ピレッジとイステルに、上級試験を受ける事を言ったらまた天才だとか凄いとか言われて煽てられた。
「二人共、流石だ、その歳で初級魔術になるだけでも凄いのに明日には上級魔術師になる試験を受けるなんて」
「ええ、すごいわ! 上級魔術師になれたらお祝いしなくちゃだわ」
お祝いか、この世界に来てからあまり祝い事とかを見たことがないが、やはりめでたい時は祝うんだな。
「同然よ! 私とパラディは天才です」
「えへへ、そんなことは」
やばい、またニヤニヤしてしまう。
「僕は明日に備えて早く寝ますね、おやすみなさい」
「そうね私も寝るわ、おやすみなさい」
「おやすみ」
「おやすみ、フフ」
なんか凄いイステルがニヤニヤしてくるんだが気の所為だろうか。
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「それでは、上級試験を始めます」
「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
とうとう上級になるときが来たぜ! 魔力制御も魔眼制御もベストな状態だ、だが油断は禁物だな。
「試験内容は伝えた通りです。ライネスは上級魔術を一つ発動してください、パラディは魔眼を使い上級魔術を発動してください」
「はい!」
「分かりました」
「それではライネスから始めなさい」
よし! 頑張ろう! 教えられた事をすればできるはずだ、自己肯定感を高めろ。
「はい! 傲慢たる我に純潔たる力を『傲慢たる雷帝』」
「凄い…」
思わず口に出てしまった。なぜか? それはこの光景を見ればわかるだろう。
何重にも重なった竜巻に雷が降り注いだ。カミナリが止んだ頃にはそこら一帯は、燃えているのに水浸しという異様な光景になっていた。
「どうでしたか?」
「合格です。流石です」
「えへへ」
ライアはライネスを褒める、それにつられライネスもドヤ顔を俺に向ける。
俺も負けてられねえな。
「次、パラディ頑張りなさい」
「はい」
魔眼を開く。体中に魔力が流れるのを感じ、鳥肌が立つ、右手には黒いモヤを出す。
ライアには内緒だが俺は魔眼を使ったオリジナルの魔術を作ったそれをお披露目だ。
「暗黒の信徒達よ! 我が手に収まり、我が意志に染まれ! 我に染まる黒炎」
詠唱を唱えた瞬間、巨大な黒い炎の渦がそこに発生した。そこに近づけば誰しも死の恐怖で動けなるだろうと思った、術者の俺が言うんだから間違いない
「どうでしょう」
「え?」
「不合格でしょうか?」
そう言い、すげえドヤ顔をする俺
「なんですか! あれは!?」
「えっと魔眼を使ったオリジナル魔術を作ろうと思いまして。どうでしょうか」
「そんな軽い気持ちで作れるものなんですか!?」
何かライアが凄い驚いてる、ここで俺はかましてやるぜ
「あれ? 僕また何かやっちゃいました?」
「やっ! やっちゃったも何もえ!?」
ライアは全く理解が追いついて無いらしい。次はライネスにかまそう
「ライネスさん、僕なんかやっちゃいましたかね」
「す、す、凄いわ! さすがパラディよ! どうやってやったの!?」
凄い目をキラキラさせて俺に抱き着くライネス。
ああもう幸せだ。こんな可愛い子に抱きつかれたんだ、と童貞丸出しの考えをしているとライアも抱きついてきた。
「凄いです! 二人共、天才ですよ!!」
「そうですよ! 私達は天才です!」
ああやばい。ライアは目が死んでるとはいえ女性だ、当然胸もついてるその胸が俺の呼吸を遮っている。苦しさと同時に胸の匂いで頭がおかしくなりそうだ。
「せ、先生! 苦しいです!」
「あっすみません、感極まって」
「ほんとに立派になって、、」
そう言い、ライアは涙を流した。
その後、十分ぐらいライアは泣いた。ついでにライネスも泣いた。俺はライアとライネスの余韻に浸っていた。
「これで二人共、上級魔術師です。おめでとうございます」
「あ、ありがとう、ございます」
「ありがとうございます!」
ライネスはまだすすり泣いている、可愛すぎるぞ
「ライネスは上級で一番習得が難しいとされる『傲慢たる雷帝』をパラディは自分で新たに魔術を作り、二人共素晴らしいです」
そんなに新たな魔術を作るのは難しいことなのだろうか、まあ天才だから知らんけど、ゲヘヘ。
「それでは家に帰り、ピレッジ様とイステル様にお伝えに行きましょう」
「はい!」
「はい」
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「え!? ほんとにうちの子達が上級魔術に!?」
「はい。二人共合格しました」
「ピレッジ聞いた? やっぱり天才よ!」
「ああ! 聞いたよ! 流石ラステリア家の血を継ぐも者だ!」
よし。なんかすごい喜んでくれている、俺の前世では何かをして喜んで貰えたことなんて無かったから嬉しいな。
「今日は祝いだ! ライアさんも飲んでください」
「喜んで」
その晩、俺とライネスの上級魔術祝いとして、ライアはお酒を飲み、イステルは美味しい晩飯を作り、ピレッジは俺とライネスを撫でまくり、褒めまくった。
次の日。分かっていたことだが上級に達した俺達はライアから教わることはできない、ライアが嫌いとかではなく、決まりだからだ。
「ライアさん、もう少し居たら?」
「いえ、寂しくなっちゃうので」
「ライアさんもう家で暮らしたらどうだ?」
「いえ、流石に申し訳ないです」
朝からピレッジとイステルが引き止めている、俺は引き止めないのかって? 俺だって引き止めたいさ、でもライネスが我慢しているからできないんだ。
「それでは、最後に私の弟子達とお話します」
「はい、、」
「はい」
ライネスは泣くのを必死にこらえている、俺も少し泣きそうになってきた。
「改めて魔術階級、上級おめでとうございます。ライネスには最初教え方が分からず、少し酷い態度をしてしまいましたね。でも、そんな状況でも諦めず努力し、パラディに負けずと頑張るあなたが大好きです」
「はい、、ありがとう、、ございます、うぅ」
ライネスが泣き出した、だがライアに駆け寄ろうとはしない。なぜなら、心配をかける気はないからだ。
「魔術階級、上級おめでとうございます。」
「ありがとうございます」
やばい自分も泣きそうだと感じ、下唇を噛む。
「パラディ、あなたには最初から最後までずっと驚かされっぱなしです。あなたには才能があります。ですがあなたは才能に酔いしれるのではなく、努力を惜しまず、周りを気遣い、新たな発見をできます。私は周りを気遣える優しいあなたが大好きです」
俺は泣いていた。前世ではあまり泣いたことがなかったが、俺は涙が止まらなかった。泣くのは後でできると自分に言い聞かせ、返事を絞り出す。
「はい、ありがとう、、ございます」
「二人共まだまだ才能に満ち溢れていることでしょう。これを」
そう言い。ライアは、俺達に紙を渡してきた
「これは剣魔総合学校の推薦書です。二人ならこんなもの必要ないと思いますが、もし良ければ貰ってください」
「はい、ありがとう、、ございます」
「ありがとうございます」
またいつか会える日が来るといいな、いや王都にいるなら会えるかその時は。
「また、先生と呼んでもいいですか?」
「私も、ライア先生と呼ばせて下さい」
そうだ、これで最後なんて嫌だ! また会って先生と呼ばせてほしい。
「ええ、良いですよ。私は二人の先生です」
「それでは、お元気で」
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
最後は泣かないぞ、また会えるんだ。
お読みくださいありがとうございます。
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