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08.魔法発動と評価



月日が経ち、転生してから一年が過ぎた。あれから魔法の練習を欠かさず続けたが、魔力循環状態を持続出来るようになるまでかなりの時間を要した。現在は魔力循環と操作の練習とを平行しながら、魔法発動の練習も加えている。


魔法発動の練習を始めた頃、部屋で魔法を発動するのは色々と危険だと考えたエリザは、いい練習場所がないかと屋敷内を探した。その数日後に、庭の片隅が良い感じに死角になっている事を発見した。更には、滅多に人が通らないと言う好条件の場所だ。エリザは密かにその場所を「秘密基地」と名付け、そこで練習をすることにした。


魔法の練習をしていて、分かったことがいくつかあった。


ある時、魔力循環をしている時に、ふと思い出したのだ。それは某人気漫画にあった、力を一箇所に集中する事でその部分を身体強化するとか、放出している力を留めて防御力を上げるとか、そう言った力の使い方を。エリザはそれを魔法に置き換えて実現出来るのではないかと考え始めた。


理論的には可能だと判断したエリザは、思い立ったら吉日と早速、秘密基地に行った。そして、実際にやってみたら……結果として出来てしまったのだ。その代わりコントロールが非常に難しい。


足に魔力を貯めてジャンプをすれば、二階の高さまでジャンプし、指先に貯めた魔力で小石にデコピンすれば、勢いよく飛び、10m先の胸像の耳を破壊してしまった。


この世に接着剤なんてないだろう。よって、胸像の耳を直す事が出来ない。魔法を使用したとは言えないので、どのように報告しようか迷っていたのだが、いつの間にか耳が元通りに直っていた。不思議な出来事に、もしかして壊したのは夢だったのかも、と思ったのは余談である。


他にも多く魔力を込めたつもりはないのに、予想以上の効果が出過ぎて困った事が多々あった。魔力のコントロールはエリザが想像していたよりもかなり繊細のようだ。しかし、逆に言うと、目標の到達度が明確に見て分かるせいか、力のコントロールを見極める練習は楽しかった。


また魔法発動するには、どの属性であっても魔力を蓄積し、留めておく力と具体的なイメージ力が必要だと分かった。


エリザはイメージ力を養う為に、カミルから貰ったノートに漫画やアニメで得た魔法の数々を追憶し、日本語で書き留めておいた。要するに魔法のアイディア集だ。これを見て魔法レパートリーを増やせれたら嬉しい。


もし、この内緒のノートを誰か第三者に見られても、字が日本語のため何が書かれているのか理解出来ないだろう。更には、まだ思うように手が動かせないせいか、絵や字が下手っぴで、その解読は困難を極めるはずである。故に、アイディアがバレることはない。


魔法以外の事で言うと、マナーレッスンも終了し、午前中の空いた時間は読書の時間に当てている。それ以外にもカミルと一緒に本を読むのも日課になっているので、読書にあてる時間は十分にある。


今は、今後に必要そうな歴史や図鑑、地図、魔法関係の本を中心に読み漁っている日々である。


勉強を始めて判明した事は、前世の『私』とは違い、エリザはかなり頭が良いらしく、意図的に覚えた事はほぼ忘れない。本を読めば読むほど脳内に蓄積されるチートちゃんだった。『私』は心の中でエリザに感謝した。


一方、身体能力はまだ不明だ。これでも敷地内をウロウロしているのだが、体力がついている気配がない。遊びで運動を取り入れようとしても一緒に遊んでくれる人がいない。カミルはお勉強や稽古で忙しいようで、誘うのは遠慮した。


強いて言うなら、朝一番のラジオ体操と湯浴み後のストレッチをしているだけは欠かさずしている。だが、これで体力がつくわけもなく今後の課題である。


他にこの1年で変わった事と言えば、3歳誕生日が終わってからお付きの侍女が増えた事だ。ユキという緑がかった黒髪と黒目のスレンダーな13歳の女の子。歳の割に綺麗という言葉が似合う凛とした雰囲気があるのがまたいい。


元日本人として親しみのある黒っぽい髪や目をしているので、是非とも仲良くなりたい。しかし、淡白な性格なのか、話しかけても一言二言で終了してしまい、無表情のため表情が読めない。


そんなクールな彼女だが、たまに彼女から視線を感じる気がしていた。それが何日も続くと、さすがに気になってしまう。悩んだ末、エリザは意を決して振り向くと、ユキは目を細め、冷ややかな目でこちらを見ていたので、泣きそうになった。


(もしかして話しかけ過ぎたかな?馴れ馴れしいと思われた?)


嫌われてないと信じたい今日この頃であった。





※※※





エリザの4歳の誕生日も前年同様に家族のみでお祝いする。


父と母から水晶の魔石の付いたピンキーリングをプレゼントとしてもらった。魔石はよく見ると花の形をしており、透明でキラキラしてとても綺麗だ。これは祈念式で必要な物であり、4歳の誕生日に両親からプレゼントするのが、この国の習わしとなっているそうだ。


幼児のピンキーリングなのでかなり小さい。こんな繊細な指輪を作った職人さんにも感謝を述べたいと心から思ったエリザだった。



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