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妖光  作者: 村上蘭
4/45

幽霊は、いつも身勝手


 三



 

 


 「ね、これならゆっくり話せるでしょ!」




  話しているのは、麻美と友達から呼ばれていた


 女性だが中身は違う人間いや幽霊の筈だ。




 「君が、どこの誰かは知らないけど簡単に人に取


 り憑いてどうするんだよ。それに、どっちみちゆ


 っくり話なんてできないと思うけど」




 「どうして?」




  なんで、突然現れた幽霊に事情を説明するなん


 て間抜けな事をしなくちゃいけないんだ。とは思


 ったけど速やかにお引き取り願うには、これも仕


 方ないかと諦めた。




 「どうしてかって、それはちょっと考えれば解る


 だろう。君が取憑いた女性は、三人組のグループ


 で遊びに来てるんだ。その仲間の、一人が突然変


 な行動をとって、何処の誰とも解らない男のテー


 ブルに言ったら直ぐ迎えに行くのが普通だろ。ほ


 ら、もう来た」




  僕の、予想通り麻美と呼ばれていた女性の友達


 二人が駆け寄って来た。




 「麻美、いったいどうしたの何してんのよ。この


 人誰?」




 「・・・・・」




  友達の一人が、麻美さんの手を引っ張りながら


 言った。




 「麻美、ほら席に戻るわよ」




  その手を、麻美が邪険にふり払った。




 「邪魔しないでくれる!私はこの人と話をしてる


 だけ、馴れ馴れしいけど貴女いったい誰?」




  キョトンと、している友達二人を横目に見なが


 らレストランの女性スタッフもやって来た。さっ


 きの、割れたコップの件もあったばかりなので露


 骨に迷惑そうな顔で僕に向って言った。




 「お客様、管内での迷惑行為はトラブルの元でご


 ざいます。他のお客様にも、大変迷惑になります


 からご自重願います」




  麻美と言う女性以外は、友達の二人も店の女性


 スタッフも僕が迷惑行為を行った犯人と言わんば


 かりの顔で見ていた。勿論、レストラン中の人達


 が皆そう思ってるかは解らないが、あいつら(霊)


 が絡むと何時もこうなる。何故かって、他の人に


 は連中は見えてないから当然僕が一人芝居をして


 るように見える。犯人は、誰だってなったら当然


 こうなる。しかも、今回は全く関係ない人に取り


 憑いているから、益々話がややこしくなっている。


 でも、一応釈明はしとくか解って貰えるか甚だ疑


 問だけれど・・・




 「ここで、起きてる事を出来たら説明したいんだ


 けど場所を変えて話し出来ないかな」




  出来るだけ、冷静に話しかけてみた。友達二人


 も、最初は怪訝そうな顔をしていたが明らかに麻


 美と言う女性の様子が、変だとは気づいていたの


 で納得行かない顔をしながらも同意はしてくれた。


 レストランの女性スタッフに、どこか適当な場所


 は無いか尋ねたら二階にある休憩室が良いのでは、


 という事でそこに移動することになった。無理矢


 理だったが、麻美と言う女性も三人で取り囲むよ


 うに連れて行く事になった。




 「それで、一体どう言う事なんですか?」




  休憩室の、席に着くと開口一番友達の一人が


 言った。




 「その前に、東京から来ました村上蘭といいま


 す。職業は、ネット小説家やってます」




  自己紹介すると、一番身長が高くてスリムな


 女性が喋り出した。




 「小説家の方ですか、私たちは同じ大学の仲良


 し三人組と言う所かな私は山本由香、


 こちらは・・・」




  そう、言われたのは他の二人に比べたら少し


 ふっくらしている感じの女の子だった。




 「細田真美です」




 山本と言う女性が、それでこちらがと紹介する


 のを僕は手で軽く制した。




 「山本さん、あなたのお友達見た目は麻美さん


 だけど中身は違う人になってます」




 「あの、仰ってる意味が解んないんですけど」




  そりゃ、そうだろうと思った。急にこんな事


 言われて信じろと言う方が無理なのは承知の上


 だった。




 「麻美さんの、心と身体はどこの誰かも解らな


 い霊に取り憑かれています」




  二人は、顔を見合わせると同時に言った。




 「え、マジで!」




  言いながら、二人は改めて麻美さんの顔を


 見たが当の本人はレストランを移動してこっ


 ち押し黙っていた。





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