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妖光  作者: 村上蘭
33/45

確執の再会










  三十二





  「そうなの、そんな事が有って現在に至るって


  訳ね」




   由佳と、真美の二人は何が起こったのか今ま


  での出来事を、村上蘭の姉の晶に話していた。




  「それで、蘭はその麻美さんを取り返す為に危


  険を承知で待ち合わせ場所に向かった訳ね」




   と、晶が言った後に由佳はすかさず答えた。




  「そうなんです。私たちも一緒に行くと言った


  のですが、蘭さんが危ないからここで待ってる


  ように言われたんです。でも、やっぱり麻美の


  事が心配で・・・」




   由佳の、言葉が終わると晶が言った。




  「由佳さん、それから真美さんだったかな良け


  れば二人に手伝って欲しい事があるのだけど、


  どうかな」




  「蘭さんの、お姉さんにそう言われたら断れま


  せんよ。勿論良いですよ」




   由佳が、答えると少し間を置いてから真美も


  同じ言葉を返した。よもや、姉の晶が由佳達二


  人とそんなやり取りをしているとは思いもよら


  ない村上蘭は、その同じ時刻に運動場の片隅の


  影に潜んで麻美を連れ去った犯人をひたすら待


  って居た。時間は、やがて0時30分になろうかと


  言う頃だった。




  「遅いな、そろそろ来ても良い頃だけど」




   村上蘭が、心の中で思ったその時に男は突然


  現れた。今夜は、月夜なのではっきりとその姿


  が見て取れる。大柄な、その肩に人を担ぎ左手


  には紐で括って束ねた二本の棒の様な物を下げ


  ていた。その男は、小学校の裏門から続く短い


  コンクリートの階段を登って運動場に入ると、


  昼間は子供達が使ったであろう野球のホームベ


  ースの辺りで肩に担いでいた女性らしき人影を


  地面に下した。ドサッと音が、聞こえたが人影


  は身じろぎもしないで横たわっている。




  「麻美さん・・・」




   少し距離は有ったが、麻美であることは確認


  出来た。麻美に、動く気配は無かったが呼吸は


  している様に見えたので、蘭は少しホッとしな


  がら物陰から出て男に近づいて行った。男の方


  はと言うと、蘭に背を向けた形でうずくまり何


  かゴソゴソとしていたのだが、近づいて来る気


  配に気が付き振り向いた。顔を見た蘭は、予想


  通りとはいえやはり驚きを隠せないでいた。




  「佐久間さん・・・」




   そんな、呟きが思わず蘭の口から洩れていた。


  二人に、後5m程の所で蘭は歩みを止めた。佐


  久間は、そんな蘭を睨みつけながらゆっくり立


  つと言葉を吐いた。




  「ほお、逃げずにやって来たか臆病者では無か


  った訳だ」




  「・・・・・」




   睨み合ったまま、暫しの時間が過ぎて行った


  が最初にリアクションを起こしたのは、佐久間


  だった。右手に、下げ持っていた物を蘭の足元


  に投げつけて来たのだ。




  「ガシャッ」




   それは、鞘に納まった日本刀である。




  「拾え!」  




   今は、悪霊に心も身体も支配されている佐久


  間が吠えるように言った。




  「佐久間さん、いや何処の誰かは解らないけど


  いますぐその女性を返してくれないか」




   村上蘭が、最後の望みを託して問いかけて見


  ると、睨みつけ黙ったままだった佐久間は、や


  がて下げ持った日本刀の鞘から鈍く光る真剣を


  抜き鞘を投げ捨て蘭に向かって言った。




  「この女を、返して欲しければ腕ずくで取り返


  すんだな」




   その言葉に、話し合いの余地が全然無い事を


  蘭は悟った。佐久間の、身体奥深くに潜んでい


  る悪霊からほとばしる悪意に満ちた殺気が、蘭


  にもピリピリと伝わり話し合いどころか今にも


  襲い掛かって来られる恐怖を感じていたからで


  有る。ここに来て、蘭は母親の言葉がこの事を


  伝えて居たのを知る羽目になった。




  「危険に、遭遇した時大切なものを守るには我


  が身の命さえも捨てる覚悟を迫られる事が有る


  もの、その時が来たら心して対処なさい」  




   母の予言は当たり、戦いの火ぶたは正に切ら


  れ様としていた。麻美を、取り返す為とはいえ


  真剣で闘う事になるとは流石に蘭も其処までは


  考えていなかった。眼の前に落ちている日本刀


  を掴むと間合いを取るために後ずさった。もう


  既に、佐久間はいつ踏み込んで攻撃を仕掛ける


  か、間合いを計り蘭に狙いを定めていた。蘭の


  方は、初めて触る日本刀のズシッと来る重さに


  戸惑いを感じていた。そんな、二人を陽の光に


  は及ばないが皓皓と照らして居るのは一勝地の


  夜空に浮かぶ真夏の月の光だった。





































































































































































  三十二





  「そうなの、そんな事が有って現在に至るって


  訳ね」




   由佳と、真美の二人は何が起こったのか今ま


  での出来事を、村上蘭の姉の晶に話していた。




  「それで、蘭はその麻美さんを取り返す為に危


  険を承知で待ち合わせ場所に向かった訳ね」




   と、晶が言った後に由佳はすかさず答えた。




  「そうなんです。私たちも一緒に行くと言った


  のですが、蘭さんが危ないからここで待ってる


  ように言われたんです。でも、やっぱり麻美の


  事が心配で・・・」




   由佳の、言葉が終わると晶が言った。




  「由佳さん、それから真美さんだったかな良け


  れば二人に手伝って欲しい事があるのだけど、


  どうかな」




  「蘭さんの、お姉さんにそう言われたら断れま


  せんよ。勿論良いですよ」




   由佳が、答えると少し間を置いてから真美も


  同じ言葉を返した。よもや、姉の晶が由佳達二


  人とそんなやり取りをしているとは思いもよら


  ない村上蘭は、その同じ時刻に運動場の片隅の


  影に潜んで麻美を連れ去った犯人をひたすら待


  って居た。時間は、やがて0時30分になろうかと


  言う頃だった。




  「遅いな、そろそろ来ても良い頃だけど」




   村上蘭が、心の中で思ったその時に男は突然


  現れた。今夜は、月夜なのではっきりとその姿


  が見て取れる。大柄な、その肩に人を担ぎ左手


  には紐で括って束ねた二本の棒の様な物を下げ


  ていた。その男は、小学校の裏門から続く短い


  コンクリートの階段を登って運動場に入ると、


  昼間は子供達が使ったであろう野球のホームベ


  ースの辺りで肩に担いでいた女性らしき人影を


  地面に下した。ドサッと音が、聞こえたが人影


  は身じろぎもしないで横たわっている。




  「麻美さん・・・」




   少し距離は有ったが、麻美であることは確認


  出来た。麻美に、動く気配は無かったが呼吸は


  している様に見えたので、蘭は少しホッとしな


  がら物陰から出て男に近づいて行った。男の方


  はと言うと、蘭に背を向けた形でうずくまり何


  かゴソゴソとしていたのだが、近づいて来る気


  配に気が付き振り向いた。顔を見た蘭は、予想


  通りとはいえやはり驚きを隠せないでいた。




  「佐久間さん・・・」




   そんな、呟きが思わず蘭の口から洩れていた。


  二人に、後5m程の所で蘭は歩みを止めた。佐


  久間は、そんな蘭を睨みつけながらゆっくり立


  つと言葉を吐いた。




  「ほお、逃げずにやって来たか臆病者では無か


  った訳だ」




  「・・・・・」




   睨み合ったまま、暫しの時間が過ぎて行った


  が最初にリアクションを起こしたのは、佐久間


  だった。右手に、下げ持っていた物を蘭の足元


  に投げつけて来たのだ。




  「ガシャッ」




   それは、鞘に納まった日本刀である。




  「拾え!」  




   今は、悪霊に心も身体も支配されている佐久


  間が吠えるように言った。




  「佐久間さん、いや何処の誰かは解らないけど


  いますぐその女性を返してくれないか」




   村上蘭が、最後の望みを託して問いかけて見


  ると、睨みつけ黙ったままだった佐久間は、や


  がて下げ持った日本刀の鞘から鈍く光る真剣を


  抜き鞘を投げ捨て蘭に向かって言った。




  「この女を、返して欲しければ腕ずくで取り返


  すんだな」




   その言葉に、話し合いの余地が全然無い事を


  蘭は悟った。佐久間の、身体奥深くに潜んでい


  る悪霊からほとばしる悪意に満ちた殺気が、蘭


  にもピリピリと伝わり話し合いどころか今にも


  襲い掛かって来られる恐怖を感じていたからで


  有る。ここに来て、蘭は母親の言葉がこの事を


  伝えて居たのを知る羽目になった。




  「危険に、遭遇した時大切なものを守るには我


  が身の命さえも捨てる覚悟を迫られる事が有る


  もの、その時が来たら心して対処なさい」  




   母の予言は当たり、戦いの火ぶたは正に切ら


  れ様としていた。麻美を、取り返す為とはいえ


  真剣で闘う事になるとは流石に蘭も其処までは


  考えていなかった。眼の前に落ちている日本刀


  を掴むと間合いを取るために後ずさった。もう


  既に、佐久間はいつ踏み込んで攻撃を仕掛ける


  か、間合いを計り蘭に狙いを定めていた。蘭の


  方は、初めて触る日本刀のズシッと来る重さに


  戸惑いを感じていた。そんな、二人を陽の光に


  は及ばないが皓皓と照らして居るのは一勝地の


  夜空に浮かぶ真夏の月の光だった。





























































































































































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