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アマルナへの扉  作者: 田丸 彬禰


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王墓から見る第19王朝末期の混乱 ②

ラムセス1世からメルエンプタハまで、まあまあ順調に王位を継承してきた第19王朝でしたが、この後一気に崩壊へ進むことになります。


メルエンプタハ死後、王位に就いたのはアメンメスです。

そして、4年後王位に就いたのはセティ2世。

その6年後にはシプタハが王になります。

そして、最後はセティ2世の妃タウセルトがこの国の頂点に立ちますが、2年後には王位は第20王朝の祖セトナクトのものとなります。


一応通説を書いておけば、メルエンプタハの次の王位はセティ2世と決まっていたのですがアメンメスが強引に割り込み、王位に就くものの、4年後、セティ2世が王位を奪い返し、アメンメスの痕跡を消して回るということになっています。


ということで、まずはアメンメス。


簒奪者ということになっている彼が自らの王墓である第10号墓をつくったのは王家の谷の中央部で、第19王朝の先王たちのすぐ近く。

つまり、一等地。

そして、正当な後継者が埋葬されるにふさわしい場所。

そこに王墓を造営することで正当性を主張したとも言えますが、何をもって彼が簒奪者としているのかはわかりませんが、どうも後付け的に思えます。


さて、その彼の墓である第10墓ですが、非公開のため、私は中に入ったことはありません。


ということで資料をもとにした話となりますが、この墓において彼に関わる装飾は非常に少ないようです。

治世年数の短さを考えればあり得るようにも思えますが、同じくらいの治世年数しかない彼に続く王たちの墓の装飾と比べても圧倒的に少ない。

そうなると他の理由が必要となるわけですが、この墓は第20王朝後期に再利用されたようなのでその影響が大きいと思われます。

ですが、そうなると、その時点で王墓は放棄されていたということになるわけで、この辺の状況は非常に興味深いです。

根拠なしの妄想力全開状態で書けば、埋葬直後に破壊行為がおこなわれたということ、というよりも、利用されなかった可能性もあるのではないかということにもなります。


ちなみに、彼の母親とされたタカトとはラムセス2世の娘とされていますが、多くの書ではその父親が誰かは書かれていません。

しかし、正当な王位継承順に割り込み、玉座に座る権利を主張するには母親だけではなく、父親も重要になるはず。

そうなると、父親は第19王朝の王の誰かでなくてはなりませんが、候補は三人。

まず、ひとり目はラムセス2世。

彼は娘を妃としているので、そうなってもおかしくはないのですが、タカトがラムセス2世の妃になったという証拠はありません。

次は先王メルエンプタハ。

これであればアメンメスとセティ2世は兄弟という関係にあり、王位を争うということはありえます。

そして、もうひとりがセティ2世。

つまり、アメンメスはセティ2世の息子。

父親と息子が王位を争い、息子が先に王位に就いたなどあり得ぬ話に思えますが、そう主張している専門家もおります。

というか、本当にアメンメスがセティ2世より先に王位に就いたのかももう一度検討すべきかもしれません。

こういうとき、第19王朝の公的な王名表があればハッキリするのにと思えてしまします。

ついでにいえば、アメンメスがセティ2世の息子だった場合、アメンメスに関連する記念物の破壊行為をおこなったのはセティ2世というより、タウセルト一派ということになるのかもしれません。


この王の墓は現在調査中とのことなので、新しい発見があり、ゴチャゴチャ感満載のこの時代の知識が増えることを期待しています。

では。


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