古代エジプトの顔料
エジプトに旅行に行って観ることができる遺跡の多くは石が並んでいるだけで色がありません。
もちろんルクソール西岸の墳墓群をはじめとして、墓の装飾では鮮やかな色が残っていますので、神殿はという限定がつくわけですし、厳密には神殿にも色が残っているところもありますが。
まあ、そういうことで、エジプトの神殿というと現在の様子がイメージされるわけですが、実際の神殿は現在の遺跡から想像できないくらい派手な塗装がされていましました。
それこそ、けばけばしいという表現を使いたくなるくらいに。
ついでにいっておけば、ギザの大スフィンクス。
あれも派手な塗装がされていたことが確実視され、現に顔にはその名残となるものが残っています。
実際にギザに行って実物を観る機会があれば探してもらいたいものです。
ということで前段はここまで。
そして、ここからが本題となります。
現在見ることができるものより多くの色が使われていたエジプトの遺跡ですが、そこで使われる顔料には入手難度がありました。
まず入手難度の低いもの。
白と黒。
これらの材料はエジプトのどこでも容易に手に入るものでした。
白の材料は石膏、簡単にいえば石灰岩。
黒の材料は炭。
続いて、まあまあ手に入りやすいもの。
赤と黄色。
オーカーまたは黄土。
酸化鉄を含んだ砂で、成分の違いで赤と黄色の材料となります。
ついでに言っておけば、赤と言っていますが、どちらかと言えば、茶色に近いで、純粋な赤となると、赤色の鉱石を潰す必要があるので、難度は一気に上がります。
そして、ここからは難易度が高いもの。
緑と青。
こちらが自然の材料からは手に入らず、いくつかの材料を使って人工的につくられたものが主な顔料となります。
当然この二色については高価で貴重なものとなります。
有名なのはエジプシャン・ブルーです。
さらに、赤色、黄色、緑色、青色は鉱物を材料とすることもあり、そうなると、希少性は増します。
もちろん国家事業である神殿や王の墓の装飾は高価な色もふんだんに使用されていますが、貴族や職人の墓となれば話は違います。
そう。
貴族の墓の装飾に青や緑がどれだけ使用されているか、それでその被葬者の力がわかる。
そう言ってもいいと思います。
この裏話的なものを踏まえると、観光中で訪れた遺跡の見方も変わるかもしれません。
これに限ったことではないのですが、古代エジプトの顔料について語り出したらそれこそ本一冊分ができるくらいになるわけですが、私自身これについてはほとんど触って来なかった部分ですので、この程度のものでご勘弁を。
では、




