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アマルナへの扉  作者: 田丸 彬禰


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古代エジプトの石材再利用について

アマルナをこよなく愛する者にとって残念なこと。

それはアマルナ放棄後、残された神殿や宮殿が破壊されたことです。

これは仮定の話ですが、破壊され現在は平面構造だけが確認できる「大王宮」と呼ばれる建造物が現存していたら、ハトシェプスト女王葬祭殿の拡大及び進化した見事な建物を見ることができたでしょう。

というより、第18王朝の本格的な宮殿など現存していないので、それだけでアマルナに行く価値がある代物になったことでしょう。

まあ、その建物の大部分は日干し煉瓦でつくられていたようなので、叶わぬ夢ではありますが。


さて、タイトルとは離れたような前置きをしたのには当然訳があります。

アマルナを含むアクエンアテンがつくった建造物はすべて破壊されてしまったわけですが、それらの瓦礫はその後どうなったのかが今回のテーマだからです。


これについては多くの書ではこう書かれています。


異端の王に関わる忌まわしい建物の痕跡を消し去るために、人の目に留まらぬ場所に隠した。


具体的には塔門の内部に詰める、いわゆる詰石に利用されたり、基礎部分に使用するため地中に埋めたりしていました。


もちろん事実を語る後者に部分については否定することはできません。

しかし、前者については、それだけのためにそれをおこなったかは大きな疑問を持たざるを得ません。


使用されていない建造物を便利な採石場として利用した結果なのではないのか?


これがその代案となるものです。


一応、根拠となるものをつけ加えておけば、ルクソール、カルナック大神殿の第3塔門の内部から発見された詰石された大量の再利用ブロックがあります。


ここから発見されたものは、アクエンアテンの建造物と同じく、以前に統治していた王たちの建造物だったのですが、その中には第3塔門の建造者であるアメンヘテプ3世の父親であるトトメス4世や、彼の祖先にあたるトトメス2世の小塔門なども含まれます。


先ほどの法則でいけば、アメンヘテプ3世にとって父王は消し去りたいくらいに邪魔な存在だったのかといえば、そういうわけでありません。


では、なぜそのようなことが起こったのか?


それらの構造物は現在第3塔門が建つ場所に点在していたもの。

そこに塔門をつくりたいアメンヘテプがそれらを撤去し、ついでに詰め物として利用した。


まあ、これについては色々の後付け的な理由を述べることはできますが、この時代でも移築という技術はあったことを考えれば、破壊する気満々だったのは間違いないでしょう。

さらにいえば、この他の王の建造物を破壊して自らの建造物の建材として利用するのはルクソール西岸の神殿群でも確認できます。


同じ行為がおこなわれていながら、一方は悪意によって、一方は善意のよると解釈するのはあきらかな偏ったものの見方といえるでしょう。


最後に、文中で触れたカルナックの第3塔門から発見された再利用ブロックは後に組み上げられ、隣接する野外博物館に展示されています。

非常に見応えのあるものですので、カルナックに行ったときは是非見学してもらいたいものです。

ちなみに、そこにはアクエンアテンが装飾した第3塔門も復元されています。

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