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アマルナへの扉  作者: 田丸 彬禰


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崩れピラミッドの話

先日テレビを眺めていたら久々にエジプト関連のものがやっていました。

いくつかのコーナーがあり、それぞれについて言いたいことは山ほどありますが、真実よりも面白さを重要視するテレビ番組だから内容は割り引いて考えるべきだということで、大袈裟に否定コメントはしません、

ということで、ひとつだけ。


メイドゥムの崩れピラミッドがいつどうやって崩れたのか?


あの場面で解説して専門家は実に微妙な説明をしていました。

ですので、一応あのピラミッドについて説明をしておきます。


もちろんそれについて記述した文字的資料がないのでなぜあの状態になったのかを正確に説明できるるわけではありませんが、その根拠になりそうな事実がいくつか存在します。


そして、状況から考えると、あのピラミッドの形状とピラミッドの発展過程と拡大する方法がそれに大きくかかわっていると思われます。


まず、ピラミッドの発展過程についてですが、あのピラミッドより前につくられたピラミッドの形状はいわゆる階段ピラミッドと呼ばれるものです。

それに対して、メイドゥムのピラミッドより後につくられたピラミッドはいくつかの例外を除けば、すべて段差が消えた真正ピラミッドと呼ばれているものとなります。


では、メイドゥムのピラミッドはどうなのか?


実はあのピラミッドはもともと階段ピラミッドとしてつくられたものです。

もちろん表面は化粧石とも呼ばれる表面がツルツルに仕上げられた外装石で仕上げられて。

しかも、ほぼ完成した階段ピラミッドを新たなに積み上げた石によって覆い、大きなものにつくりかえています。

さらに、もう一度石で覆い、今度は真正ピラミッドに作り替えられました。


そして、例の崩壊について重要なことなのですが、崩壊はその作り替えられた部分がそっくり崩れています。

少し言い方が悪いので、説明を加えると、増築された部分がすべて壊れたというわけではなく、最初の階段ピラミッド、増築された階段ピラミッド、そして真正ピラミッド、各段階のものが残っていますが、崩れ落ち方が非常に綺麗なのです。

そこから想像するに、根本的な構造上の問題によってピラミッドが崩れたというよりも、表面の仕上げとしておこなわれたツルツルが、追加された外側部分との接合にマイナスに作用し、何かのきっかけで滑り落ちるように崩れた。

ように見えます。


それから、せっかくですからあと二点。


ひとつはクフ王の時代になってからピラミッドが崩れることがないような物言いだったので、訂正しておけば、あのような大規模な崩壊を起こしたのはメイドゥムのピラミッドだけであり、あのピラミッドをつくったスネフル王がつくった屈折ピラミッドや赤ピラミッドは今でも聳えていますし、最初のピラミッドとされるジェセル王の階段ピラミッドの綺麗に存在しています。

専門家であるなら、その辺の説明は誤解を与えないように説明してもらいたかったです。


もうひとつ。

以前はメイドゥムのピラミッドの崩壊は完成直後とされていましたが、今でも残る瓦礫から発見された遺物を根拠に崩壊は千五百年くらい後とされています。

そうなると、崩壊のきっかけはその時代の盛んにおこなわれていたピラミッドを構成する石材ブロックの再利用かもしれません。

ジェンガのように石を引き抜いた瞬間、崩壊が始まったというような。


これは観光に関するものですが、メイドゥムのピラミッドは通常の観光ルートから外れているのでなかなか行く機会は少ないと思いますが、外観も素晴らしいし、なによりも内部見学が非常に楽です。

通常観光ができるピラミッドの中では最難関といわれる赤ピラミッドの内部往復を体験していれば、天国に思えること間違いなしです。

それから、クフのピラミッドで新しい発見となった新しい空間と似たものが見つかったのもこのピラミッドです。

2000年という比較的新しいものです。


そして、これは付け足しですが……。

注目を集めたいのはわかりますが、すべてを謎というのはいかがなものか。


自らの意見を定説や真理とするのはよくないでしょうが、専門家であるなら、少なくてもあの場面では自説の披露くらいやってもらいたかったです。

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