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消えた冠

古代エジプトでは、王や王妃が数多くの冠を所有し、それを着用した様子がレリーフや遺物に描かれています。

ツタンカーメンの黄金のマスクのイメージから、エジプトの王は頭巾を着用しているように思われますが、重要性から言えば冠のほうがはるかに格上です。


アマルナの話をすれば、アクエンアテンは主に青冠を着用した姿が王のレリーフで描かれてしますし、ネフェルティティに至っては、その独特の形状をした冠によって彼女だと一目でわかります。


その王や王妃にとって非常に重要な冠ですが、現物がただひとつも発見されていません。

アクエンアテンやネフェルティティだけでなく、古代エジプトの全時代を通してもひとつも見つかっていません。

もちろん、大部分の王墓は見事なまでの盗掘に遭っていますし、ネフェルティティなどは、その墓さえ見つかっていませんので、仕方ないこととも思えます。


ところが、それが本当の理由なのか疑問を抱かせる事実があります。

まずは、ルクソールの王家の谷にあるツタンカーメン王墓です。

厳密にいえば、この王墓も二度盗掘に遭っているのですが、それでも多くの遺物が発見されていますし、その中には盗賊たちの第一ターゲットであろう装飾品も多数残っています。

ところが、布や革というそれほど高価とは思えぬ素材でできた冠類は一切発見されず、布製の頭巾がいくつか見つかっただけでした。


もちろん前回取り上げた「ファラオのしっぽ」も見つかっていません。


さらに、タニスで発見されたツタンカーメンよりさらに時代が進んだ第21王朝のプスセンネス1世王墓は完璧な手つかず状態で発見されましたが、ここから発見された遺物のリストを見ても、やはり冠類は発見されていません。


これについては、金属製の素材ではないために、経年劣化により消えてなくなったのであろうとする意見もありますが、痕跡すらないというのはどうも腑に落ちません。

実際に布製品も革製品も比較的良い状態で発見されていますし、花輪や花の首飾りも見つかっているくらいですから、痕跡も残さずというのは不自然すぎます。


では、理由はなにか?


証拠なしの妄想の類ではありますが、個人的な意見を述べれば、冠が王墓から見つからないのは、劣化し消えてなくなったのではなく、たとえ材質が布であろうが革であろうが、サイズが合わなかろうが、冠とは次の王へ引き継ぐべきものであり、最初から副葬品のリストには入らなかったのではないでしょうか。

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