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アマルナへの扉  作者: 田丸 彬禰


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クレオパトラの墓

古王国時代から新王国時代。

これが私の古代エジプトにおける絶対領域です。

ですから、グレコローマン時代というのは私にとっては完全なる守備範囲外です。

つまり、今回は敢えての!クレオパトラということになります。


クレオパトラ。

もちろん古代エジプトの人物としては、ツタンカーメンと並ぶ有名人です。

まあ、ここまで言い切ってしまってから言うのもおかしいのですが、ピラミッドや王家の谷を守備範囲としている人間のなかには、ローマ統治時代はもちろん、クレオパトラを含むプトレマイオス朝についても古代エジプトとして考えることに抵抗を持つ者も多いです。


当然私もそのひとり。

パッケージツアーを使ってエジプト旅行をしているときでも、他の旅行者がプトレマイオス朝の王都アレクサンドリアに出かける間はひとり離団し、ギザで自由な時間を謳歌していたくらいにその時代にまったく興味がありませんでした。


それにしても……。


今、考えると、そんなわがままをよく旅行会社も許してくれたものだと思い、それから感謝もしています。


ちなみに、私が利用していたのは旅行業界最王手のあの会社と、その会社に吸収され今は消えてしまった玄人向けのツアーを専門にやっていたあの会社、それからその会社に似た趣向を持つ、少し料金は高いが圧倒的にリピーターが多いカタカナだけの呼び名の会社です。


話をクレオパトラに戻しましょう。

彼女の人生については映画や本で紹介されているのでご存じでしょうが、最後はローマ軍に敗れ自害します。

古代エジプト最後の王として。


さて、問題はここからです。

死亡した彼女の亡骸はどうなったのか?

これを記述した公的文書はもちろんありませんし、私的なものを含めてもそれに関して記録したものもないようです。


そもそも戦勝国であるローマ側が敵対者の総大将を丁重に埋葬したのかは怪しいようにも思えますが、同じようにローマに敵対したパルミラの女王ゼノビアの例もあります。

その可能性がゼロというわけでもありません。


そして、その可能性を信じて多くの考古学者が彼女の墓を探しているわけです。

もちろん見つかれば、発見者の名は歴史に残るという名誉と、それに付随した大いなるご利益も得られます。

その努力の源としては十分でしょう。


では、その調査状況はといえば、当事者は口が裂けても言えないでしょうが、傍目から見ればその発見は限りなくゼロに近いと思います。

なにしろ、墓の位置を示すものがすでに発見されているどころか、前述したようにあるかどうかさえわかっていないのですから。


ですが、それとともにクレオパトラの墓が見つからないことについては、それに付随したある事実が存在します。


それは……。


古代エジプトを最後に統治したプトレマイオス朝の王墓はまだひとつも発見されていない。


さらに、もうひとつ。


この王朝が始まるきっかけとなったギリシア人のエジプト占領をおこなった同じく未発見のアレクサンダー大王の墓はほぼ間違いなくエジプトにある。


そして、このふたつを組み合わせて考え、いや妄想すれば……。


プトレマイオス朝の王はアレクサンダー大王の墓を中心としてまとまって埋葬されている。

つまり、プトレマイオス朝のための王家の谷が存在し、もしクレオパトラの墓というものがあるのなら、それは単独ではなくこの墓地に先祖のものに寄り添っている。

だから、クレオパトラの墓を発見するということは、アレクサンダー大王のものを含むプトレマイオス朝の王墓もコンプリートできる。


ほぼ確実に「今世紀最大の考古学的発見」となります。


そして、肝心のその墓地が存在する可能性がある場所はどこかといえば、やはり彼らの王都であるアレクサンドリア、またはその近郊であるのは疑いようがありません。

残念ながら、旧王都は海に没した部分もかなりあり、実際にアレクサンドリア沖合の海底で本来は地上にあった遺構が見つかっていますので、これだけ探しても痕跡すら見つからないということは、その墓地は現在海にあるということも考えられます。

将来的に海底探査の方法がさらに発展したときそれが証明されるということになるかもしれません。


ということで、今回はいつもとは趣向を変えて妄想ほぼ百パーセントの話を書いてみました。

まあ、こういうものは言ったもの勝ちということもあり、おもしろいのですが。

では。

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