おすすめ本 2
今回書くテーマについてはいくつか候補があったのですが、これにしました。
一応タイトルの説明しておけば、「エジプトに訪れる前に読んでもらいたい一冊」は同じようなエピソードなので今回は「2」としました。
「スフィンクスの秘密」
酒井伝六氏がS・ハッサンの著書を訳したものです。
タイトルだけを眺めるといかにもと言わんばかりのオカルト臭がしますが、中身はそれとは真逆のものとなります。
著者のハッサンは、第二次世界大戦前にギザ地区の発掘調査をおこないましたが、この本はその時様子を書いたものとなります。
ありがたいことに堅苦しい調査報告書ではなく、エッセイの形式が採られているのでサクサク読み進めることができるのですが、それでも実際に調査をしたものなので内容は非常に濃いです。
日本のエジプト学者が書いた同種のものとは「月とスッポン」とまではいかなくても、「釣鐘と鈴」くらいの差はあるでしょう。
古い本で少々読みにくい部分もありますが、通販サイトで比較的安価で手に入れることは可能ですので知識を増やしたい方はどうぞ。
本来なら、ここから中身について書くのですが、さすがに、「おすすめ」と言いながら、盛大にネタバレをやって購入意欲をなくすようなことはしたくありませんので、その代わりとして、これに関わる話を少ししたいと思います。
この本でも少し触れられていますが、彼が調査を始める前にある人物がスフィンクス周辺を大々的に発掘しました。
そのおかげで、観光しやすい現在のスフィンクス周辺の風景が生まれましたのですが、その代償は非常に大きかった。
実は、現在の状態はこの一帯の最初期、つまり第四王朝時代のものであり、その後、それらは砂に覆われ、その上に長い時間をかけて多くのものがつくられました。
そこにはあのツタンカーメンに関する小さな建物も含まれます。
それらはその発掘の過程ですべて除去されました。
跡形もなく。
しかも、それに関する詳細な報告書はなし。
現在当時を知る手がかりとして残っているのはそれなりの枚数はあるとは写真だけという状況です。
この写真は少し丁寧に探せば見つけることができますが、それを見ると当時は現在とはまったく違う風景が広がっていたことがわかります。
このようなことが許された時代とはいえ、まったく勿体ないことをしました。
ついでに書いておけば、現在の観光発展のために尽力したその人物の名はエミール・バレスと言います。
ネットで「Émile Baraize」で画像検索すると当時の写真は少々出てくると思います。
さすがにここで述べてツタンカーメンの建物はさすがに見つからないとは思いますが。
ということで、今回はここまで。




