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虚ろな境界【哭冷凍土戦線】  作者: 星見流人
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小さな禍根

「で? もう終わり?」

 十合も打ち合わないうちに、剣道部のブカツコモンは膝をついていた。

「これで剣王と名乗るとか、アンタ……アホなの? それともただのギャグ? どっちだよ?」

 つまらなさそうにため息をついたジンは

「アンタ、本物の剣王じゃないだろ。俺が殺し合いたいのは本物だ。テメエに出来ることはそいつを俺の前に連れてくることだけ」

 大剣を剣道部のブカツコモンの首筋に突き付ける。

「さもなくば、死ね」

 敵を見下ろす視線は周囲の空気よりも冷たい。

 狂気ともいえる殺意を受けた、そのブカツコモンはその場に凍り付いた。頭と身体がまるで繋がっていない。すべての神経が、すべての本能が、目の前にいる少年を危険だと告げている。

「ぐぬ……おのれ! 私は、最強の剣王……」

「もういい」

 飽きたと言い、ジンは剣を引いた。

「虫けら如き、殺す価値もない」

 葉村は自らの晶具で、殺さず、野球部員たちを吹き飛ばしている。多少の怪我はあるだろうが、ここで自分の力を見せておく方が良いと葉村は判断したのだ。

「剣が汚れる。とっとと、失せな」

 剣王と名乗っていた男は歯ぎしりをして

「おのれおのれッ! クソガキめが! ブカツコモンを侮るとどうかるか、教えてくれるッ! 頭を洗って待っていろッ!」

 と捨て台詞を残して、部員と共に逃げ去っていく。

「首を洗って、な。じゃあな、ポンコツハゲオヤジ」

 今回も抑え込めた。そう思って、ジンは安堵のため息を漏らした。

 ジンはかつて人を殺めたことを悔いている。殺すことで救済した、と言えば聞こえはいいが、結局自分がしていることは人殺しだ。

 それでも、自分が生きるためならば、是非もない。

 彼が生きているのは、そういう世界だ。誰かの作ったルールに縛られ、誰かの敷いた人生の上を歩く。

 ああ、ダメだ。今は考え込む時じゃない。

 雑念を振り払うかのように、目の前を大剣で薙ぎ払う。

「さて、葉村でも迎えに行くか。ちょっとばかり、この先も気になるし、な」

 歩き去るジンの足元には、紫色に光る小さな花が咲いていた。

こんばんは、星見です。

今年は災害が多いですね。いやはや。


twitterにも色々書いていますが、まあただの個人的な感想です。

さて、色々伏線張っておきました。うまく回収できるかな? いや、しなければ!

というわけで、これからが本番です。

偽物の剣王は去り、本物が姿を現すのを待つ、というところでしょうか。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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