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虚ろな境界【哭冷凍土戦線】  作者: 星見流人
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喧嘩の締め方

 手負いの刀がその牙を見せる。

 絶対零度の輝きをその刀身に宿し、ジンの前に立ちふさがった。

 対するジンの大剣はどす黒い殺気をところかまわずまき散らしながら、相手を威嚇する。

「いいのかよ、アンタ手負いだろ?」

「問題ない……」

「じゃあ、遠慮は期待すんなよな」

 ジンは軽々と巨大な凶刃を振り上げる。

身剣一体しんけんいったいインテシオン」

 その剣が振り下ろされると、どす黒い殺意を纏った斬撃が赤馬を襲った。

 赤馬は刀でそれを軽くいなし、ジンと距離をとる。

「舐めているのか?」

「まさか。今のはあいさつ代わりだ」

 大剣の刀身が消える。

「これからが本番に決まってるだろうが!」

 ジンは大地を蹴って、赤馬に突進しつつ、その透明な刀身を振り下ろす。

「壱の太刀……」

 蕭然と口にするその技は

「雪風」

 一瞬にしてジンの大剣を氷漬けにしていた。

「へえ……驚いた。さすがは剣豪」

 獰猛な笑みを浮かべるジン。

「じゃあ、こいつはどうよ?」

 黒い刀身は氷を砕き散らしてその姿を現した。切っ先は二つに分かれ、まるで飢えた猛獣の口のように獲物を食いちぎる時を待ちわびている。

「随分と禍々しい剣……」

「俺は剣客じゃねえんだ。れば勝ちの戦場の流儀しか知らないんでな。腕の一本くらいは……」

 黒い獣は獲物を見つけた。

「ご愛嬌だぜ!」

 濁流のように襲い来る大剣の乱撃を受け止めつつ、赤馬は反撃の機会を伺う。万全の状態であればまだしも、手傷を負っている上に体力も消耗している。となれば、勝負をかける機会は一度きりしかない。

 そのことはジンも分かっていた。

 だからこそ、相手を嬲るように全力を出さず、進化した大剣をただ振り回すだけにとどめている。

「どうしたよ? 剣豪ってのは名ばかりか?」

「ほざけ……」

「このままだと文字通り食いちぎられるぜ?」

 少し力を出してみるか、と気まぐれに思ったジンは晶具に命じた。

「荒れ狂え、暴食の刃!」

 大口を開けた大剣は赤馬の刀に食らいついく。そのまま刀を砕き散らさんと力を強めていく。

「何やってるの!」

 二人の間を爆炎が遮る。

「喧嘩なら神戸に戻ってからしなさい! 今は撤収が先でしょ!」

「あ、ああ……悪い悪い。つい、こう……売り言葉に買い言葉で……」

 ジンの殺気がみるみる消えていく。

 その様子を見て、赤馬は刀を鞘に納めた。

「言い訳しない!」

 ぴしゃりと言い放つ、美少女といっても差し支えのない声の主は赤馬に視線を移した。

「すみません、うちの暴れん坊が失礼をしました。私は葉村と申します。彼にはよく言って聞かせますので、この場は納めていただけないでしょうか」

 ぺこりと頭を下げる彼女を見て、完全にやる気を失った赤馬は停戦に応じることとなった。

こんばんは、星見です。

もうそろそろ冬の足音が近づいてきていますね。こちらでお世話になって十五年以上?

月日が経つのは早いものです。


さて、この物語も本当にもう御仕舞です。

もう少しだけお付き合いください。

ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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