虚構の大団円
冷たい大地に紅い帯が描かれた。
「お前の、勝ちだ……」
横一文字に斬り裂かれた腹を片手で押さえながら、青崎は賞賛を送る。その表情に悔しさはなかった。
「俺の、勝ちだ……」
肩で息をしながら、弟は刀を大地に突き刺して立ち上がった。震える足は止まる様子を見せない。
「情けない、もんだ。もう俺には刀を振るだけの力も残っちゃいない……」
立っているのがやっとだぜ、とこぼしたが、その両目には憑き物がとれたかのような清々しさが表れている。
「これで終わりじゃない……まだまだ勝負は続く。生きている限り、な」
青崎の腹は斬られてはいるが、致命傷にはならなかった。それは両者の力が拮抗していたからという何よりの証左だ。
二人の顔に笑みが咲く。
「ああ、これからだ……。こんな勝負があるとは思ってもみなかった。こんな結末があるとも思ってもみなかった……」
剣にすべてを賭した一撃を破られてなお、青崎は嬉しそうに言う。
剣が折れれば命も消えると思っていた。敗けるということは死ぬことだと思っていた。弟はそれとは違う答えを出したのだ。
「この方が……楽しめるだろ?」
息を整えながら、彼は言う。
ひときわ大きく成長する弟を見て、青崎はほうと息を漏らした。
「ああ……私もまだまだ楽しみが増えそうだ。これから先も」
続けようとした言葉は一発の銃声によって掻き消された。
こんにちは、星見です。
この二か月は中々執筆する時間が作れず(作らず?)、他のことに時間を割いていました。夏季休暇に入り、少しは時間ができると思います。もうそろそろ今年のうちには終わらせたいと思います。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




