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虚ろな境界【哭冷凍土戦線】  作者: 星見流人
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明日に届く

 青崎の予想に反し、弟は高く飛び上がった。

 姿を現した、吠え猛る炎の斬撃を空に向ける。

「月光透刃ヨイザクラ」

 弟の声が静かに響く。それに呼応するように、抜き放たれた刃は青白く神秘的な輝きをたたえる。

 感じたことのない威圧に戸惑いながら、青崎は炎を纏って走り抜ける。

 空に逃げても無駄だと言わんばかりに、高速で刃を振り上げ、青白い炎を空へと打ち上げた。

 逃げ場はないという兄の秘剣を弟は知っている。

 誰よりも憧れ、誰よりも羨み、誰よりも得たかったものだからだ。

 それは結局、自分のものにならなかった。

 どれだけの修練も、どれだけの辛苦も、どれだけの時間も、彼がその奥義を会得することを許さなかった。

 まるで、誰かがそう決めたかのように。

 それでも、彼は足掻き続けた。

 欲しいものが手に入らないのならば、新しいものを生み出せばいいと己に言い聞かせ、永久凍土の地で修練に明け暮れた。

 そして、戦って、倒れて、戦って、倒れて、戦って、死にかけて、戦って、戦って、戦って、ついに彼は会得した。秘剣と呼べるだけの絶技を。

「秘剣」

 彼は一瞬空中で静止し、空を蹴って、炎を統べる秘剣に奔る。すべてを飲み込み、灰燼に帰す劫火に手向ける一閃。

霞堕かすみおとし

 絶対零度の風は刃となって、灼熱の炎に斬りかかる。対する炎は風ごと飲み込まんと吠え猛る。

 風と炎の力は五分と五分。

 ならば、その勝負を決めるのは。

 意地と意志とかけた時間。

 兄に届け、兄を超えろと費やした時間が今の彼の最強の武器だ。

 無数の剣閃が瞬きの間に交錯し、二人は大地に膝をついた。

こんばんは、星見です。

約3週間休みがなかったので、これだけ間隔が空いてしまいました。それ以外にも色々あったのですが……自分の体調不良が2週間続いたり、コロナにかかったか?と疑われる事態になったり(陰性でしたが)。


二人の兄弟の物語はもうそろそろ御仕舞です。

もう少しだけ彼らのお話にお付き合いください。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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