交錯する秘剣【急】
二人は再び抜刀した。
兄は腰を軽く落とし、相手に刀の切っ先を向けている。
それに対し、弟は刀を抜いただけだ。左手で刀を握り、それをだらりとぶら下げている。何の構えも取っていない。
それを見て、兄は弟が相手を侮っているわけではない、と直感した。
どんな型よりも、この型が最善と判断したが故のことだろう。
この身は生命を殺害する剣。
この身は人智を凌駕した刃。
これは二人に課せられた呪いの言葉だった。
これは二人にかけられた恐怖の言葉だった。
だが、それはもう今となってはどうでもいいことだ。
二人の望みはもうすぐ叶う。
白く閉ざされた、滅びゆく大地で、長い年月を経た願いはようやく果たされる。
二人は動かない。
動くべき時をただ待っている。
たった一つを除いてあらゆる手は尽くした。その手をもってしても相手は倒せないと二人は理解した。
だから、必要なのはたった一撃。それも、人生を賭して磨き上げた至高にして究極の一。
時が止まったように留まり続けていた雪雲が消えていく。
そして、天上には澄み渡る青空が広がっていく。
青崎は大きく息を吸い込んだ。
一度全身の力を抜き、すべての力を、全神経を刀に集中させる。
「陽光天刃アマテラス」
万感の思いを込めて晶具の名を口にした。これから放つは大地を焦がす浄化の炎。あらゆる罪過を赦す滅びの焔。
「秘剣」
一歩を踏み出す。
「天羽々斬」
二歩目は見えない。
不可視の炎が奔る。
その一瞬、その刹那。
弟も大地を蹴った。
こんばんは、星見です。
やる気と元気がなく、人生の命題に悩み、2か月近く筆を置いていました。
今年度中に終わらせると大言壮語しておきながら、このありさまですが、物語はちゃんと終わらせます。
さて、今作で一番描きたかったところを今描いています。
文字だけで二人の剣士の立ち合いをどこまで表現できるのか、次回作にどういかすことができるのか。次なる課題です。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




