夢の終わりⅡ
その先は無言で始まった。
傍から見れば踊っているようにも見えるそれは一切の無駄が含まれていない。確実に相手の首を落とすために放たれた一太刀だ。
全感覚を極限まで研ぎ澄まし、最短の手で相手の命を刈り取るために二人はその場で刀を交える。周りには誰もいない。ただ白く染められた大地が二人の戦いを見守っている。
まったく同じテンポで、まるで鏡合わせのように繰り出す斬撃。
渾身の一太刀を放った後、二人は後方へ大きく飛び退いた。
「埒があかないな……」
「同感だぜ……」
力は同じ。速度も同じ。となれば勝敗を決するのは。
「技で勝負するか」
二人ともが同じ結論に至る。
二人の構えは同じだ。寸分の違いもない。
「一の太刀……」
重なる声が虚空に響く。
「風切り!」
鎌鼬が空で火花を散らしながらぶつかり合う。
もちろん二人はこれで決着がつくなどとは思っていない。あくまで牽制だ。
「二の太刀……」
兄は正眼の構えで、弟は左手に刀を握ったまま姿勢を低くする。
「迅!」
高速で突進し、すれ違いざまに無数の斬撃を叩き込むが、そのどれもが相殺された。
瞬時に二人は決め手に欠けると感じ取り、続きの技を繰り出す。
「滅火」
「連」
二人から放たれた斬撃はそれぞれの身体を掠めた。
「一瞬で判断して追撃を避けるとは……進歩したものだ」
「そりゃ時間経っているからな。いついつまでも同じなわけないだろう」
兄の賛辞を弟は苦笑しながら受け取る。
弟は兄が追撃を避けることは織り込み済みだった。この程度で勝てる相手なら、そもそも生涯をかけた修行に明け暮れるはずがない。
まだこれは序盤。
二人はそれを理解している。
なぜなら彼らはまだ晶具の力を使っていないからだ。
雪の止まった銀世界は二人を包む。無言の祝福か、それとも呪詛か。しんと張りつめた空気はまだその場を支配している。
こんばんは、星見です。
この時期は繁忙期で……ついつい時間が制限されがちです。
これからはコンスタントにアップしていきたいと思います。
そろそろこの物語も終わりです。
最後までお付き合いいただければと思います。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




