最強の双子Ⅱ
「あーつまんねえな」
ジンは拳銃を片手に悪態をついた。
サッカー部を名乗る集団が手榴弾を蹴って勝手に自滅していく様を見ているだけで、彼自身は仕事をしていない。汚れ仕事が板についてきたといえばそれまでだが、殺しが少ない仕事は手間が省けていいとあえてポジティブに考えた。
「卑怯者めッ! 我がブラジル仕込みのプラジリアンキッカーズをここまで卑劣な作戦で撃滅しようとはッ! 貴様は拉致して洗脳し、サッカー部立て直しにその人生をささげてもらうぞ!」
サッカー部のブカツコモンだと名乗った男は激高して叫ぶ。
「は? 寝ぼけてンのか? てめえの兵隊が勝手に自滅しているだけだろうが」
「黙れッ! 部活動を否定する人間などいてはならんッ!」
面倒だと思ったジンは男の両足を撃ち抜いた。
悶絶して氷の大地を転がる男を一瞥してから、吐息を吐く。
「ああ、つまんねえ。なんか面白いことでもないか」
ジンを後ろで見守っている葉村もため息をついた。
「あのね、あなたのいう面白いことなんてない方がいいの。人殺しなんて、しないに越したことはないんだから。たとえ、私たちがどんな人間でもね」
そりゃそうだ、とジンは独り言ちた。
とりあえず、ブカツコモンを片付けるという仕事はこれで終わったと考えていい。どう見ても、このサッカー部は自滅するだろう。ブカツコモンの男は何か吠えているが、それだけだ。あとは、北海道にある二つの刀の晶具を回収すれば完了だ。
これが難題である。
これを実現するには、あの剣豪たちを倒して奪う必要がある。ジン一人の力では及ばないかもしれない。葉村と二人で挑んでも敵うかどうか。特に、青崎の力は未知数だ。晶具の力を使わずにジンを圧倒してみせた。あの力に、縮地と晶具が加わればと思うと、今のジンに勝算はなかった。
「刀の晶具か……盗むなんてのは土台無理な話だよなあ」
いっそ暗殺でもするか、と思い立ったが、あの青年にそんなものが通用するはずがないとカンが告げて、一瞬でその案を捨てた。
「さて、どうしたものか……」
怪物が二人。
どちらも自分よりも戦闘力だけは高い。片方に至っては人間かどうかも怪しい力の持ち主だ。
「共倒れ……なんてことが起こればいいんだがねえ……」
そんな都合の良いことが起こるはずがないことは誰よりもわかっている。それでも、彼はそれに頼らざるを得なかった。実力だけでは事はうまくいかない。時には運命という意地悪な妖精に踊らされる。
札幌コタンでこれから起こることをジンも葉村も知らない。
おはようございます。
3週間前には書き上げていたのですが、塩漬けにしたままでした。
出勤前に投稿だけして仕事行ってきます!
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




