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虚ろな境界【哭冷凍土戦線】  作者: 星見流人
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しじまの向こう

 それから、彼は一心不乱に刀を振り続けた。目の前にいた凶手のことは気にかけていない。

 自分だけの剣がある。

 それが見つけられそうだ。今なら。

 いや、今だからこそ、その極致に達することができるだろう。

 一振りするごとに斬撃は勢いを増す。

 数十回刀を振るった後、彼は獲物を鞘に納めた。

 無言のまま、虚空を見つめる。

 これまでのすべてを反芻するように、その場に立ち止まった。吐息は白く生まれ、ほどなく雪風の中に消える。

 吹雪いてきた。

 ホワイトアウトまであと数秒。

 その刹那。

 彼は抜刀した。


 

 五つの指は迷いなく。

 一つの刃に曇りなし。

 二つの瞳は空を見て。

 両の腕は決意を宿す。

 身体は軽く、胸は静かに鼓動を刻む。

 心はからで、雑念はすべて消え去る。

 意識は目の前に。その身は一つの剣となる。死を運ぶ冷気すらはねのける力を白刃にのせ、彼は疾駆する。

 凶手には彼の動きが全く見えなかった。

 ただ夜のしじまを切り裂く轟音が耳を襲っただけだった。その轟音の主が巨大な木であることに気付くのに数秒かかった。

「……これは。儂はとんでもない男を相手にしようとしたのだな」

 凶手は呵々と笑った。

「おかげ様で色々と吹っ切れた」

 彼は初めて頭に描いた技を完成させた。兄を超えるための絶技。そして、己の足跡を残すただ一つの証。長年求めてきた自分だけの剣。

 彼を苛み続けた虚無感はもうない。

 曇天の空の下にいるのに、彼の心は晴れ渡っていた。

「兄と決着を付けたら、相手をしてやるよ。今度こそ、全力でな!」

 凶手の見つめる先には朗らかな笑みを浮かべる、剣の道を真面目に追い続ける、たった一人の青年がいた。

こんばんは、星見です。

今回掲載した文章は昨夜一気に書き上げたものです。影響力ってすごいものですね。

もっともっと新しいものを、もっともっと面白いものを生み出したいと思える作品に出会えた私は幸せ者です。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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