幕間:その未来はすでに
Interlude in
むかしむかし、あるところに一人の青年がいました。青年はとても頭がよく、それ故に先々を予想することができました。
ある日のことです。
青年は未来を正確に視てしまいました。
その未来には希望はなく、幸福もなく、ただ破滅だけがありました。
命という命は消え去り、星が朽ち果てていくその未来を彼は知ってしまいました。そして、どれほどの演算を繰り返しても、それが避けられないことも知ってしまいました。
しかし、彼は嘆きませんでした。悲しみもしませんでした。
なぜなら、彼はそれを望んでいたからです。
一番美しい数字はゼロ。
ゼロを実現できるのなら、喜んで手を貸そう。この身、この生涯を賭して、その未来を実現しようと思ったのです。
彼は見てみたいと願いました。
すべてが死に絶えた世界を。
空虚な空間を。
誰一人として人間が存在しない世界を。
おっと、誤解しないでください。
彼は人間が嫌いだったわけではありません。むしろ、人間に興味を持っていました。ただ、“実験サンプル”として。
そこで、彼は殺戮兵器を作ろうと考えたのです。
戦争が起こっても、人間はしぶとく生き残ります。飢餓を引き起こしても、政治的混乱を引き起こしても、結果は同じでしょう。確実に人類を駆逐するにはどうすればいいのかを考えました。
その結果、人類よりもあらゆる面で優れ、殺人衝動を植え付けた人造人間を作ればいいという結論に至ったのです。もちろん、彼らは人間社会に溶け込むだけの社会性を備えていなければなりません。多勢に無勢では事をなすことはできそうにありませんから。
そうして生み出されたのが皆さんです。もちろん、私も含みます。
私たちはそれぞれ晶具という殺戮兵器を授けられました。手にできる晶具は一人に一つだけ。それでも十分です。我々が全員で決起すれば、人類を確実に駆逐することができるでしょう。
そして、我々にはーー
「……狂ってやがる……」
見眼麗しい少女の語りを聞いて思った。自分も大概狂っていると自負していたが、この女はそれ以上だ。
「お分かりですね? 今の貴方の感情もすべて計画通りなのです。何一つとして、貴方の感情ではない。その身体も、その意思も、すべてすべてあなたのものではありません。我らの父、アカガネハルキが与えたものなのです」
例えば、今ここにいることも、刀の晶具を手にしていることも、修行に明け暮れたことも、この感情でさえも。
「貴方は……いえ、私たちはレールの上から外れることができないのです」
憎悪よりも嫌悪よりも恐怖が彼を支配した。
「俺は……どうなる?」
「端的に言えば死にます。貴方の兄に斬られて」
俺が、兄に負ける?
「そんなことが」
「確実です。未来は変えられない」
ここに至る数多の研鑽はすべて水泡に帰すのか。文字通りすべてを捨てて一心不乱に磨いてきた技はすべて無駄だったのか。
「残念ですが」
彼はこの少女の柔らかな笑顔の裏にあるものをわずかながら感じ取った。
諦観、絶望、苦悶……様々な負の感情が猛烈に渦巻いているようだった。
Interlude out
こんばんは、星見です。
長い長い冬が明けて、ようやく創作意欲が湧いてきた……はいいのですが、仕事上責任ある立場を任されてしまい、執筆時間自体は減りそうです。それでも何とかするのが私なのですが。
さて、意外にも早くアカガネハルキの名前が出てきました。
兄と弟の戦いの行方はいかに?
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




