身剣一体
刀身は凍える空気を斬る。踏み込みは一瞬。
眼前の敵を叩き潰すために、暴力の化身は振り下ろされる。圧倒的な重量の暴撃を止めたのは、一人の男だった。
「もう一息といったところか。儂と死合うには」
分厚い手甲がジンの大剣を捌く。
「あん時の……」
「よもや仕合うのがこれほど早いとは思わなんだ。偶然としても、嬉しいことよな」
「るせえ、白髪頭。俺は今立て込んでるんだ。喧嘩がしたいなら、このヤマが片付いてから相手してやるよ」
「一寸先は闇よ。今できることを先に延ばす道理はあるまい? それにそら、主の剣は戦いたがっておるぞ」
不敵に笑う白髪の青年には透明な切っ先が向けられていた。
「刀身が……消えた?」
「晶具であれば、何を不思議に思う? 晶具とはそれ即ち、意思を持つ兵器だろうに。知らぬ道理はなかろう、アカガネハルキに連なる者よ」
若き凶手は牙を剥く。
影を落とさぬ高速の拳。ジンには到底視認できないはずの一撃。しかし、ジンの大剣だけはそれを見極め、そして防いだ。
「そら、主の剣は諦めておるまい」
呵々と凶手は嗤う。
「相棒の意思を尊重せぬは武人として、いかがなものかな、黒崎ジン」
「武人なんかじゃねえよ」
「では、言い換えよう」
再び音もなく彼は命を奪う一撃を繰り出す。
「一人の男としてはいかがか?」
その一撃も大剣は難なく防ぐ。
「二度重なれば必然よ。主の剣は戦いたがっておるぞ」
獣じみた笑みを浮かべる青年はどこか楽しそうだ。
「叫べ、その真名を。そして、見せてみよ。主の絶技を!」
ジンの頭に一つの名前が流れ込む。そして、それを叫べと彼に命じる。
「身剣一体インテシオン!」
聞いたことすらないその名前に、大剣は力強く応えた。
こんばんは、星見です。
日本学術会議のニュースを見るたびに、日本の学術・学問の軽視ぶりが見えて、落胆していました。落胆し続けていても仕方ないので、仕事と執筆をつづけることにしています。
さて、いよいよジンの晶具の名前が明らかになりました。
この先どうなるか……
また次回お会いできることを祈りつつ……




