目覚める剣Ⅰ
爆炎の嵐が止むまでに時間はかからなかった。殺幌コタンのあちこちにばら撒かれた灼熱の炎弾は容赦なく大地を焦がし、襲い来る野球部員たちを吹き飛ばした。
「ハッハッハー! 中々やるな、新入部員よ! だが、この炎の投球王、ヤルダバオト=マサチューセッツ=ザルツブルグは決して負けぬ! 部活を極めし、我が叡智! 部活を極めし、宇宙一の肉体! 今からでも遅くはない。我が軍門に下り、部活動に生涯を捧げるのだ!」
ユニフォームを着た大柄な男のセリフが終わるまで、ジンは必死に堪えていた。
「ええっと……次はアンタが消し飛ぶ番だけど、そこんとこ理解してる?」
「笑止ッ! ガッツがあれば爆炎など恐れる必要はないッ! 我がファイトで爆炎を無効化し、部活動の素晴らしさを叩き込んでくれる!」
「脳味噌手術しても手遅れかもな……」
ジンの呟きが終わると同時に男は爆炎で吹き飛ばされた。
「文明が原始時代レベルなんだよな、ここ」
「つまらないこと言ってないで、さっさと仕事しましょう」
淡々と紫色に光る花を摘み取る葉村。対して、ジンはその様子を眺めているだけだ。
どこかで見た気がする?
何となくジンは思う。
この紫色に光る花には違和感を覚える。
思いにふけるジンの顔めがけて炎に包まれた球が投げられた。
「ハッハー! 投球王伝説降臨! 野球部の真のエースの実力をとくと見よ!」
炎の球を無造作に打ち払ったジンは髪の毛がチリチリに焼けた男を奇異の目で見た。
「今のはデスリーグボール一号だッ! 貴様ッ! この炎の投球王の奥の手を使わせるとはやるな! レギュラー候補として拉致して洗脳する価値はあるッ!」
「どこから突っ込んだらいいのか迷うんだよ……この山猿は」
「ハッハー! どこを見ているッ! 我がデスリーグボール一号は狙った相手を追尾するぞッ! 貴様がッ! 野球部に入るまでッ! 追尾するのを止めないッ!」
ジンはため息とともに燃えるボールを大剣で破砕した。
「あのなぁ……晶具は猿真似に使う道具じゃねえんだよ。ついでにアホの遊びに付き合うほど暇でもねえ。とっとと消えろ、さもなくば」
ジンは氷の大地を蹴った。
「さっさと死ね」
こんばんは、星見です。
暑い夏がそろそろ終わろうとしていますね。といっても、まだ暑いんですが。
色々ゲームにはまっていて更新が遅れ気味です。
そして、この物語もそろそろ終盤です。終盤っぽくないですが。
よろしければもう少しお付き合いくださいませ。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




