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虚ろな境界【哭冷凍土戦線】  作者: 星見流人
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永久に願えば……

「お疲れさまでした」

 総督執務室に音もなく現れた美しい少女は青年に労いの言葉をかけた。青年がそれを欲しているわけではないと知りながら。

「仕事は完遂した。貴様の計画はこれで順調なのだろうな?」

「はい、もちろんです。外をご覧くださいね。見えるでしょう? 風雪の中に佇む、あの大樹が」

 青年の目は絶対零度の世界で生き続ける不可思議な大樹を捉えた。紫色に輝く花畑の中にそれは重々しく鎮座している。

「得体の知れぬ奴よな……貴様は何を考えてあの大樹を後生大事に育てた?」

「理想郷のため、ですよ。そう遠くない将来にあの大樹は人々を理想郷へと導いてくれます。これはいわば、そのための下準備。パーティが成功するように、準備はしっかりしないといけませんからね」

「帝政ロシアに喧嘩を売る結果になっても、か……」

「ロシア如きに止められるものではありません。晶具の前では、何千万の兵士など有象無象にすぎませんから。ましてやあの大樹の前では……」

「あれが貴様の晶具か?」

「いいえ。あれは私の晶具の副産物にすぎません」

 青年は少女の表情から心理を読み取ろうとしたが、無駄に終わった。

 この少女の表情からは“何も読み取れない”。まるで何かの呪術にかかったかのように、彼の観察眼は鈍っていた。

「貴様の狙いは何だ? 北海道から帝政ロシアを追い出すことか? それとも……」

 アカガネハルキの子どもたちであれば考えてもおかしくはない。

「再び世界に混沌をもたらすことか?」

「そのどちらでもありませんよ。私は、平和な世界を作りたいのです。争いもない、貧困もない、日々の恐怖に怯えることもない……そんな世界を」

 微笑む少女の口から語られることが真実だとは彼は思っていない。

「アカガネハルキの子どもだからこそ願うのです。混沌のない世界を」

「その様子だとアカガネハルキがどんな人間か、詳しく知っているようだな。教えろ。情報が足りない」

「もちろん。あなたも私の仲間ですから」

 嘘が上手い女だ、とこぼす青年。

「では、どこからお話ししましょうか。そうですね……まずはアカガネハルキと一人の男との戦いからお話ししましょう。昔々、あるところに『しのぎ』という殺人キリングビジネス専門の企業があったのです」

こんばんは、星見です。

今日は終戦の日ですね。学生時代の今日、「ジョニーは戦場へ行った」という物語を読んだ記憶があります。もう10年以上も前ですが、鮮烈に記憶に残っています。


さて、彼女と青年の話が続きます。ロシア総督府を簡単に抹殺した彼らはどこへ向かうのか?

物語も終盤です。

ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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