雪花の剣豪
青年の話が終わり、ジンは家の外に出た。
珍しく雪は降っておらず、地平線に沈みゆく太陽が見える。
「驚かれましたか?」
背後から青年の声がする。
「ああ、俺に気取られることなく背中をとったことに驚いた」
青年は苦笑して
「失礼しました。別に背後から斬るつもりはないのですが」
と言った。厚い布で作られた濃緑の軍服は彼が北海道で暮らしていくためにあつらえたものだろう。
「葉村を家の中に置いてきたってことは、そういうことだろ? 今更隠すんじゃねえよ」
「剣士というものはそういうものです。強者と戦いたいという欲望を抑えきれない、そんな人間ですよ」
ベルトにかけられた一本の日本刀に手をかける。
「殺気を消すのがヘタなんだよ」
「私は殺し屋ではありませんので」
ジンと青年は向かい合った。
青年は背に太陽を背負う形で。
「まさか、目くらまし……なんてつまらねえことしねえよな?」
「はい。これくらいであなたにアドバンテージをとったとは思っていません」
青年は笑顔を面に張り付けたまま、刀を抜いた。
その刀身はさながら清らかな雪を思わせるように、白銀に輝いている。
「それがテメエの晶具ってわけか?」
濁流のように叩き付けられる殺気を軽くいなす。それだけでも、彼が修羅場を潜った人間であることが分かった。
「はい。あなたの晶具はその大剣ですね」
「らしいな。まあ、詳しいことは知らねえが」
ジンは背負った大剣に手をかけた。
「とりあえずは目の前の敵を叩き潰すだけだ!」
こんばんは、星見です。
貧乏くじを引いたのか、とたまに思うことがあります。主に仕事関係で。
でも、それもいつか笑って話のネタにできる日が来る、と思って日々過ごしています。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




