夜に紛れる
毎度お馴染み
オチというオチはないです
許してくだせぇ(笑)
自分の影はおろか
町の景色すらも見えない
そんな夜
人も動物も植物も
全てが眠っている時間
ただ1人
静かに足音を響かせる
夜に紛れるような
迷い込むような
この時間が1週間の1番楽しみな時間
お気に入りのカメラを首に下げ
まだ肌寒い夜を乗り越えるための
飲み物や食べ物を詰めたリュックを背負い
僕だけの__いや、僕達だけの
秘密の場所へと歩く
___町外れ、山の中、少し開けた崖の上
そこが僕と、この野良犬、アルの秘密の場所
そこにレジャーシートをひいて寝転べば
視界に広がる満点の星空
今日は月が出ていないから
いつもより鮮明に見える
こんなにも輝いて見える
あの星1つ1つが
何億光年という距離を旅して
僕達の目に光を届けていると思うと
不思議な気持ちになる
静かに光る星達は
まるで会話をしているように瞬く
その瞬間を写真や動画に収める
ネットにアップしたり
友達に見せることはしない
ここでの出来事は僕とアル
そしてあの星達との秘密なのだから
言葉が通じるはずのない
アルに星の説明をしたり
今日の愚痴を聞いてもらいながら
夜食を分け合ったりして
少しずつ夜に溶け込んでいく
___結局、朝方まで空を眺め
今日は解散となった
まだ誰も彼もが夢の世界に居る中
また1人、今度は静かな朝に紛れる
そして、家に帰れば
そのままベットに倒れ込む
今日__いや、昨日の寒さの余韻を感じながら
世間より、だいぶ遅れて夢の世界へ歩み出す
きっと、夢の中でも僕は
アルと一緒に星空を眺めているんだろう____