第三章18 『5人目の仲間』
仲間にならないか。
そう凪に言われたマイルズくんの答えは――
「凪くん……! ありがとう」
握手を交わす二人。
5人目の仲間だ。
俺たち4人でゲーム世界に入ってずっと4人のままだったけど、ここに来てようやく、新しい仲間ができた。
その喜びは俺たち4人みんなが同じだったと思う。マイルズくんを仲間に誘った凪自身もそうだし、逸美ちゃんや鈴ちゃんも笑顔だ。
凪は握手するマイルズくん右手の上に、さらに自分の左手を乗せて、
「うんうん。いいってことよ。ぼくらも竜退治をしようとしてたところだしさ。お互いちょうどいいじゃないか」
「ボク頑張るよ! みんな、よろしくね!」
「こちらこそ! よろしくね!」
と、次は俺が手を差し出し、握手を交わした。
正直、俺は凪が仲間を他に誘うとは思わなかった。しかしそれは、簡単に他のギルドに加入したり合併したりなどしないというだけで、気の合いそうな人となら仲間になることはあるというだけだ。
「仲間が増えて嬉しいわ。心強いわね」
「ですね。こっちには若干一名足手まといまでいますから」
鈴ちゃんが得意そうな目を凪に向けて微笑む。しかし凪はニコッと笑って鈴ちゃんの背中をポンポンと叩いた。
「助け合うのが仲間。大丈夫、みんな気にしてないよ」
「先輩のことですよ! あたしじゃないですっ」
俺はメニューを開き、マイルズくんに言った。
「マイルズくん、パーティーメンバーに誘うね」
「わかった。メニューオン」
お互いにメニューを開いて、共有状態にする。互いのメニュー画面が見られるようになり、俺はマイルズくんの画面を確認した。
C・Myles。
これがマイルズくんの登録名だ。
Cってなんだろう。
まあ、それについては機会があれば、またあとで聞けばいいか。
俺はパーティーメンバーに誘うの項目を押す。
『C・Mylesをパーティーに誘いますか?』
と、ポップが出た。
『Yes』を選択。
すると、今度はマイルズくんの画面に、
『Kaiから《星の旅人たち》に誘われました。《星の旅人たち》に入りますか?』
マイルズくんは迷わず『Yes』を選択した。
『C・Mylesが《星の旅人たち》に加わりました』
よし。これで晴れてマイルズくんが俺たちのパーティー《星の旅人たち》に加入した。
そして、凪が言った。
「ようこそ。《星の旅人たち》へ」
「なんだかいいパーティー名だね」
マイルズくんにそう言われて、凪は胸を張る。
「ぼくが考えたんだぞ」
「そうなんだ」
凪は聞く。
「ところでマイルズくん。キミは見たところ騎士かパラディンって感じだね。ステータスはどんなだい?」
「ステータスは教えないほうがいいと思うけど」
当然のことを言うマイルズくん。確かに仲間とはいえ、現実で知り合いじゃない人の情報はあまり聞かないのがネット世界の礼儀というものだ。たぶん。
「ふうん。ならいいや。で、その服装はパラディンかい?」
「ああ。うん。一応、盾装備で防御型だから、パラディンが近いかな。このゲームには明確な職業なんてないけどさ」
と、マイルズくんはメニューを操作して、盾を装備してみせた。
俺はその盾に目を奪われる。
「いい盾だね」
「魔法攻撃の威力を弱めてくれる優れものなんだ」
マイルズくんの言葉に、凪が嬉々として言う。
「へえん。こりゃいいや。剣も使えるんだろう? うちは物理アタッカーが二人だけしかいなかったんだ。四人中二人じゃ、やや難があってね。これでちょっとはバランスが取れたや」
「ならよかったよ」
と、微笑むマイルズくん。
本当は、さらにあともう一人くらいは剣や槍など打撃系の武器を扱える人がいるといいのだけれど、マイルズくんのおかげで安心感はまるで違う。
俺はメニューを閉じる前に、時間を見る。
まだ午後の二時。
今日すぐに竜退治ができるかはわからないが、まずはマイルズくんの持つ情報を教えてもらいたい。
「マイルズくん、俺たちこのゲームを始めて今日でまだ三日なんだ。知らないことも多くてさ。よかったら情報交換しない?」
マイルズくんは笑顔でうなずく。
「いいよ。ボクは二カ月近くやってるから、色々わかることもあると思う」




