表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第三章 ドラゴン討伐編
86/187

第三章13  『北の集落 モスクリフト』

《モスクリフト》

 看板(かんばん)に書いてある村の名前は、どこか北国(きたぐに)っぽい。

 (まち)()みは、教会(きょうかい)やよろず屋の(ほか)に古い家が点々とあり、のどかな村というより田舎(いなか)集落(しゅうらく)のような閑散(かんさん)とした雰囲気(ふんいき)だった。

 また、直径(ちよつけい)二十メートルほどの大きな池があり、池には黄色(きいろ)桃色(ももいろ)の花が()いている。(ほか)に花などのないこの村においては、それらは(はな)やかで目立つ。

 (すず)ちゃんはしゃがんで、池の花に手を()ばす。

綺麗(きれい)ですね。ひとつアイテムに入れておいてもいいですよね」

「いいんじゃないかしら」

「人もあまり多そうではないけど、ここでいいのかな?」

(かい)、いいってなにが?」

 と、(なぎ)に聞かれる。

「いや、《ドラゴンの(なみだ)》だよ。その情報が教えてもらえるのかなってさ」

「まあ、たぶんこの村で合ってるよ」

 しかし。

 (すた)れてしまった畑があったり、村人の活気(かっき)があまりないようにも見えたり、村の一部の林を(のぞ)くと、岩場が多く緑が少ない。

 凪は歩き出す。

「さて。まずは教会に立ち()っておこう」


 教会(きようかい)到着(とうちやく)して、逸美(いつみ)ちゃんが提案(ていあん)した。

「そろそろお昼だし、一旦(いつたん)休憩(きゆうけい)にしない?」

「そうだね。ずっと歩き続けで(つか)れたし、お昼ご飯でも食べよう」

「はい。あたしももうそろそろだと思ってました」

「ぼくお(なか)すいた~」

「ゲーム内なんだからお(なか)はすかないよ」

「よし、じゃあ決まりだね」

 凪はメニューをいじったかと思うと、「今日はカレーにしよう」の言葉を残して、すぐに姿(すがた)が消えた。

「まったく、勝手なんだから。あいつどんだけ自由なんだよ」

「うふふ。凪くんはいつもマイペースね。わたしはなに食べようかな~」

 ボタンを()して、逸美ちゃんもさっさとログアウトした。

 鈴ちゃんは苦笑(くしょう)()かべて、

「逸美さんもマイペースですよね」

「だね。あの二人はマイペースだよ。さあ、俺たちもログアウトしようか」

「そうしましょう」

 俺と鈴ちゃんもログアウトする。


 四人共、現実世界に(もど)った。

 そして、四人そろってマスターズ・カンパニーの食堂(しよくどう)に行った。


 食事を終えた俺たち四人はまた703の部屋に(もど)ってきた。

「いやあ、美味(おい)しい唐揚(からあ)定食(ていしょく)だった。ひじきも()けてもらって正解(せいかい)だったな」

先輩(せんぱい)、ログアウト前はカレーが食べたいって言ってませんでしたっけ?」

「カレーも唐揚(からあ)げもひじきも()たようなもんさ」

「どんだけいい加減(かげん)なんだよ」

「それより潮戸(しおど)さん、ゲーム内でも食事ってあるんですか?」

 それは俺も気になっていたところだ。ソロモン島でハネコが見つけた《(えい)()のバナナ》を一本だけ食べた。しかし、それ以外で食事という食事をとったことはない。ゲーム内ではどこまで現実世界と同じことができるのだろうか。現にゲーム内ではお腹は()らなかった。

 潮戸(しおど)さんは人のよさそうな笑顔で、

「可能ですよ。一応(いちおう)、こっちの世界でできることはすべてできると思っていてくれても大丈夫(だいじょうぶ)です。ただ、食事もトイレなども、しなくても問題はありません」

「そうなんですか。それなら、向こうの食事もしてみたいな」

 俺が、どんなご飯があるだろう、ファンタジー世界らしい食事ってなんだろう、と想像(そうぞう)したところで、逸美ちゃんがぽんと手を合わせる。

「そうね。モンスターのお肉とかも食べたいわ~」

 逸美ちゃん、ゲテモノも普通(ふつう)に食べられちゃう人だからなぁ……。俺はイナゴくらいなら食べられる。(ほか)はモノによる。

「いきなりモンスターはあれだから、まずは普通(ふつう)のから食べようよ」

「あたし、それほど長時間(ちょうじかん)連続(れんぞく)でログインするって頭がなかったから、ゲーム内で食事なんて全然考えてもなかったです」

「じゃあ今日はゲーム内でなにか食べられたら食べようぜ」

「だからって言って、(ひろ)い食いはするなよ、凪」

「ちょっと開、言うことがひどいや~」

 みんながあははははと笑った。この楽しい空気の中、凪もワンテンポ(おく)れてみんなに合わせて笑う。

「て、なんで先輩(せんぱい)だけあたしを指差(ゆびさ)して笑ってるんですかっ」

「笑われてるのはおまえだろ? まったく。ズレてるんだから」

 凪はやれやれと手を広げて、

「せっかくぼくが空気読んで合わせてるのに、みんなわがままだなぁ」

「わがままとかそういう問題じゃありませんっ」

 と、鈴ちゃんがつっこむ。

 潮戸(しおど)さんは言った。

「さて、みなさん。それではゲームを再開(さいかい)してください」

 すぐに俺たちは《T3》をセットした。

 起動(きどう)

 そして俺は、ゲーム内にログインした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ