表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第三章 ドラゴン討伐編
77/187

第三章4   『警鐘と提唱』

《イーリスの酒場(さかば)

 この(まち)酒場(さかば)も、《ドレスフィア》にいたイーリスさんと同じ顔をした人が(いとな)む《イーリスの酒場(さかば)》だった。

「きっとイーリスは名字(みようじ)で、そっくりの姉妹(しまい)なんだろうさ。よくある設定(せつてい)だよ。ほら、リボンの色が違うだろ」

「色だけ変えて、同じ役割(やくわり)のキャラクターをかさ()しするパターンね。魔法屋(まほうや)のおばあさんもそうだったわね」

 と、逸美ちゃんが納得(なつとく)する。

 俺の好きなゲームでも、あえて同じ見た目のキャラクターが同じ役割(やくわり)で登場することはあるからな。これもお約束(やくそく)ってやつだろうか。

 さて。

 さっそく、酒場(さかば)(ほか)のプレイヤーと話してみる。

 そして(おどろ)いた。

「《ソロモンの宝玉(ほうぎょく)》を手に入れたんですか。あれを手に入れた人は(ほか)に何組かしかいませんよ。三組だけかな。簡単な《暗黒点(あんこくてん)()》で軽く五十組以上はいます」

「五十組以上?」

 と、つい俺は声を上げてしまった。

「ええ。おれも持ってますよ。長い人でもう三ヶ月くらいはプレイしてますからね。《ソロモンの(ほう)(ぎょく)》は少ないほうですが。《(ひょう)(せつ)(ゆび)()》が二組、《黒金(くろがね)(つばさ)》が八組、《黄金(おうごん)聖杯(せいはい)》で十組だったかな。でも、まだ達成(たっせい)されてないクエストが二つもあります」

「それはなんですか?」

「《ドラゴンの(なみだ)》と《()(かい)(じゅ)(はな)》。《ドラゴンの(なみだ)》は、ドラゴンのあまりの強さに入手を(あきら)めているプレイヤーがほとんどです。《()(かい)(じゅ)(はな)》はイベント(はっ)(せい)(じょう)(けん)を探して(がん)()っている人も多いかな」

 まあ、《ドラゴンの(なみだ)》をドラゴンスレイヤーである《魔剣(まけん)グラム》なしにクリアは(むずか)しいだろう。もうひとつの《()(かい)(じゅ)(はな)》については気になるところだ。

 青年は(にが)(わら)いを()かべて、

「おれみたいにゲームクリアは(あきら)めて楽しんでるだけのプレイヤーが一番多いと思うけど、もし《ドラゴンの(なみだ)》に挑戦(ちょうせん)するなら強い仲間を(つの)ることをオススメします」

「はい。ありがとうございます」

 お(れい)()べると、青年は()()めるように(けい)(しょう)()らした。

「あ、あと! (さい)(だい)(せい)(りよく)(ほこ)るギルド《(しち)(せい)(れん)(ごう)》。彼らの中には、自分たちが持っていないアイテムを持つギルドに出会うと、それをかけたデュエルを(もう)()()(ばつ)があることで知られています。二組しかゲットしていなかった《(ひょう)(せつ)(ゆび)()》も、デュエルでとあるギルドから(うば)ったそうです。彼らには気をつけたほうがいい」

(こう)(せん)(てき)な人たちなんですね」

「まあ、《(しち)(せい)(れん)(ごう)》全員ではありませんし、ほんの一部です。デュエルを(もう)()まれても、(ことわ)ればいいのですが。とはいえ、なにも向こうだって()()(じん)(こう)(しょう)をもちかけるわけじゃなく、(たが)いに持っていないアイテムをかけるそうです」

「なるほど。それなら確かに、デュエルを受ける()()があると考えるプレイヤーも多いだろうな」

 俺の言葉に、凪は続けて言う。

「VRMMOーーつまり(ふく)(すう)のプレイヤーが同時に同じ世界を(あそ)ぶことになるわけだから、(せい)(さく)(しゃ)も、ゲームの(はば)を広げるためにその辺も()(しき)しているだろうさ」

 逸美ちゃんも(なっ)(とく)して、

「そっか~。()()(じん)のないゲーム性のためにも、デュエルはちゃんと(ことわ)ることもできるようになってるのね!」

「ええ。そうかもしれませんね。今後、あなたたちもデュエルをもちかけられることがあるかもしれませんが、それを(こう)()とみるかはあなたたち()(だい)ですよ」

 最後に青年からそんな話を聞いて、俺たちは酒場(さかば)を出た。


「まさかすでにあの海賊(かいぞく)たちを(たお)して遺跡(いせき)(なぞ)()き、カドゥケウスまで(たお)して《ソロモンの宝玉(ほうぎょく)》を手に入れた人たちが三組もいたなんてね~」

「なんかちょっと複雑(ふくざつ)ですね」

 凪が頭の後ろに手をやって歩く半歩後ろから、鈴ちゃんが言った。

 逸美ちゃんと俺は二人の後ろで、

「《暗黒点(あんこくてん)()》なんて五十組もいるみたいだしね。次はどうするか(まよ)うわね。簡単なところか(むずか)しいところか」

「どうせ全部クリアする予定なんだし、道なりに進めばいいよ。ただ、せっかくならまだ誰もクリアしてないクエストをやりたいよね」

 俺がそう言うと、凪はくるっと振り返って、人差(ひとさ)(ゆび)を立てて言った。

「となると、《ドラゴンの(なみだ)》だね。ぼくもドラゴンは見てみたい。《(しち)(せい)(れん)(ごう)》についても気になるが、(げん)(じよう)ぼくらがアンテナを()ることもないだろう。ぼくたちはぼくたちで、まずは道しるべを聞きに、(うらな)いの(やかた)に行っておこうぜ」



 (うらな)()アナンの(やかた)

 アナンさんは水晶(すいしよう)に手をかざして、占いを始めた。

「これからあなたたちが向かうべきは、北です。出会いがあるでしょう。また、北の(まち)のさらに北の谷へゆくと、綺麗(きれい)(なみだ)が見られるとお()げがあります」

 (てい)(しよう)されたのは、北の谷。

「なるほど。つまり北の谷で《ドラゴンの(なみだ)》をゲットできるってことらしい」

 凪は納得(なっとく)すると「バイバイ」と手を振ってすぐに(やかた)を出た。鈴ちゃんと逸美ちゃんも出たところで、俺はチラとアナンさんを振り返る。

「どうされました? (ほか)の道がよろしかったですか?」

「いえ。そういうわけでは。あなたは……」

「そうですか。ならば、北へおゆきなさい。北での出会いはあなた方にだけにある邂逅(かいこう)です。もしまた(まよ)ったら、そのときはここを(おとず)れてくださいね」

 俺は言葉を続けようとしたが、(さえぎ)られた。

 ――あなたは、本当にただのNPCですか?

 そう聞きたかったけど、やっぱりやめた。島出流(しまいずる)くんが作ったAIかとも思ったけど、(ほか)にもコルナやイーリスなど、受け答えが普通(ふつう)以上にできるNPCはいた。彼女は(うらな)いで先が見えているから特別(とくべつ)に感じたが、そんな質問にはさすがに答えられまい。

 むしろ、俺たちがすでになんらかの(じょう)(けん)()たしており、そのため誰か(とく)(しゆ)なキャラクターに出会えるイベントが発生するだけ、とも読み取れる。

 なので、短くアナンさんに返答する。

「はい。また」

 三人に(おく)れることしばし、俺は占いの(やかた)を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ