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ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第二章 ソロモン島編
72/187

第二章30  『二匹のヘビ』

 攻撃手段(こうげきしゆだん)は、近距離(きんきより)短剣(たんけん)ハルペー、遠距離(えんきより)風魔法(かぜまほう)《ブラスト》。

 カドゥケウスには中距離技(ちゆうきよりわざ)がなく、物理技(ぶつりわざ)近距離(きんきより)のみ。

 それも、短剣(たんけん)ハルペーによる超近距離(ちようきんきより)

 魔法技(まほうわざ)中距離技(ちゆうきよりわざ)になり()ても、短剣(たんけん)ハルペーは近づき過ぎなければ(とど)かない。

 なんともかゆいところに手が届かない。

 そのため、俺たちは中距離(ちゆうきより)(たも)ちながら、()めあぐねている(じよう)(きよう)だった。

 一度なら(こう)(げき)()けても()えられるが、二度もダメージを受けてしまったら、なにかの(ひよう)()でいつゲームオーバーになってもおかしくない。

 カドゥケウス、(かん)(たん)にはかすり(きず)すらつけられたくないクラスのパワーを持った(てき)だ。


 俺は一度使った(わざ)、《雷火(ゼノスパーク)》を見せ技として(とな)えた。

「《雷火(ゼノスパーク)》」

 これによって、(すず)ちゃんが下がってカドゥケウスから(きよ)()を取る。

 (なぎ)の魔法とタイミングを合わせてないから、残念(ざんねん)ながらヒットにはならないが、鈴ちゃんが()(けん)(いき)――つまり(きん)(きよ)()(たい)から出られたからそれでいい。

 ここで、(いつ)()ちゃんが俺たち味方全員を(かい)(ふく)する。

「《ヒールシャワー》」

 これで俺たちパーティーは体力全快(たいりょくぜんかい)

 さっき(ふか)()()った鈴ちゃんも、HPが満タンになった。

「逸美さん、ありがとうございます」

「サポートは(まか)せて!」

 と、逸美ちゃんは鈴ちゃんにウインクした。

 相手のHPがどれほど()っているかわからないけど、少なくとも俺と鈴ちゃんの大技を一回ずつ入れただけでは(たお)せないだろう。

「《韋駄天の翼(ハイクイックネス)》」

 約一分。

 素早(すばや)さ2倍の効果(こうか)はそれしかもたないので、鈴ちゃんが魔法を(とな)え直してくれた。

 逸美(いつみ)ちゃんもバリアを()り直す。

「《フィジカルバリア》、《マジカルバリア》」

 一応(いちおう)、凪がカドゥケウスの魔法を打ち消せるとはいえ、《マジカルバリア》も()ってくれたようだ。


 さて。

 仕切り直し。

 実は、俺は逸美ちゃんに(たの)んでいたことがある。それは、味方の攻撃(こうげき)を一度だけ2倍にする魔法――応援魔法(おうえんまほう)を使用するタイミングの合わせである。

 ――俺が逸美ちゃんと目を合わせたら。

 それが《攻撃上昇応援(パワフルチア)》と《魔力上昇応援(マジカルチア)》を俺にかける合図(あいず)

 だが、その前に。

 俺は自身の能力上昇魔法のうりよくじようしようまほう(とな)えた。

「《神機妙算(しんきみようさん)》」

 これで俺の魔法攻撃(まほうこうげき)は2倍。

「《ラファール》」

 攻撃(こうげき)が俺に向かないよう、凪が風魔法(かぜまほう)でカドゥケウスの動きを止める。

 凪が作ったこの(すき)に、魔力を上げた俺が魔法を(はな)つ。

「《雷火(ゼノスパーク)》」

 鈴ちゃんもいっしょに「《牡丹雪(パウダースノウ)》」を(とな)える。

 それも、俺の魔法が直撃(ちよくげき)するよう、自分の魔法がおとりになるタイミングで。

「ぐぁ」

 カドゥケウスの反応(はんのう)を見るに、やはり2倍の効果は大きいようだ。

仕掛(しか)けるぞ!」

 俺はみんなに声かけした。

「おう」

「はい」

 第一波だ。

「《国士無双(こくしむそう)》」

 自身の物理攻撃(ぶつりこうげき)を2倍にする。

「《ラファール》」

「《牡丹雪(パウダースノウ)》」

「《雷火(ゼノスパーク)》」

 凪、鈴ちゃん、俺、と三人で連携攻撃(れんけいこうげき)をして、俺はさらに雷火(らいか)をまとった《天空(てんくう)(つるぎ)》で()りかかった。

 力負けせず、短剣(たんけん)ハルペーを(はじ)き、カドゥケウスの身体(からだ)に初めてちゃんと入れられた。

 しかしすぐに(はら)われる。

 (ぎゃく)に俺もダメージを()うが、これは計算内。

 いや、ハネコの《かぎしっぽ》のおかげか、カドゥケウスの攻撃(こうげき)焦点(しょうてん)がわずかにずれて想定(そうてい)よりダメージが少なく()む。そのおまけが、次のモーションへの入りやすさ。

 ちょっとしたラッキーだ。

 魔力2倍はあと3回。

 (たた)みかける!

 鈴ちゃんの《氷晶(ひようしよう)(かま)》をカドゥケウスが受け、俺の攻撃(こうげき)二匹(にひき)のヘビが(から)め取ろうとする。

「《雷火(ゼノスパーク)》」

 これを2回、それぞれのヘビに(はな)った。

 すると、ヘビはダメージを受けて動きが(にぶ)る。

 魔力2倍はあと1回。

 余裕(よゆう)を持って俺は一度後退(こうたい)できた。

 続いて、

 第二波。 

 俺は逸美ちゃんを振り返った。

 目が合う。

「《攻撃上昇応援(パワフルチア)》、《魔力上昇応援(マジカルチア)》」

 逸美ちゃんが俺に、二つの応援魔法(おうえんまほう)をかけた。

 その(すき)に、凪は自身に魔法をかける。

「《英華発外(えいかはつがい)》」

 凪自身の魔力を、一度だけ3倍に。

 鈴ちゃんに能力上昇のうりょくじょうしょうはなにもないが、とっておいた大技(おおわざ)がある。

「《ラファール》」

「《氷河を刈る鎌(グレイシアファルチェ)》」

 凪と鈴ちゃんのコンボ攻撃(こうげき)

 ここで。

 (ため)していなかったことだが、予想通りにハマったことがひとつあった。

 それは、凪の魔法攻撃(まほうこうげき)威力(いりょく)が高ければ高いほど、その(かん)カドゥケウスに生まれる(すき)が大きくなること。

 (げん)に、凪が(はな)った《ラファール》はこれまでカドゥケウスが使ってきた《ブラスト》よりパワーがあり、部屋中に風が()()れたほどだ。

 また。

 さっきまでの《牡丹雪(パウダースノウ)》と違って鈴ちゃんの攻撃(こうげき)は、《氷晶(ひようしよう)(かま)》を使った物理攻撃(ぶつりこうげき)の側面もある。

 威力(いりょく)は《牡丹雪(パウダースノウ)》よりずっと上。

 カドゥケウスは受けることでギリギリ。

「さあ、終わりだ! 《天空の煌星(ゼノビッグバン)》」

 最後に、

 第三波。

 俺が《天空(てんくう)(つるぎ)》から大技を()り出した。

 攻撃力(こうげきりょく)魔力(まりょく)ともに、2倍×2倍で、しめて4倍。

 がら()きの身体(からだ)を守るように二匹のヘビが(おそ)いかかるが、さっきの《雷火(ゼノスパーク)》で動きも(にぶ)り弱っていたため、4倍の攻撃力(こうげきりょく)と4倍の魔力(まりょく)()めた《天空(てんくう)(つるぎ)》は、二匹(にひき)のヘビを容易(ようい)貫通(かんつう)する。

 ビッグバンと名がつく通り、光る()接触(せっしょく)したら爆発(ばくはつ)()きた。

 そして。


「くぁああぁあ!」


 カドゥケウスの身体(からだ)をバッサリと、爆発(ばくはつ)()こして、完全に()った。

 爆風(ばくふう)()きすさび、爆発(ばくはつ)と共にポリゴンが(くず)れるエフェクトがかかる。

「まさか、このような人間ごときにやれるとは……。そちらはいったい何者なのだ……。くぅ……魔王様(まおうさま)に、このことを、伝え……ねば……」

 そのまま、カドゥケウスのポリゴンが(くず)れきって、消えてしまった。

 俺たちは強敵(きようてき)相手の勝利を実感し、小さく息をつく。

 魔法技(まほうわざ)を、俺たちだから(ふう)じられた。だからこそ、この人数でもあれだけ戦えた。俺たち以外のパーティーからしたら、相当に手強い相手だったろう。


 カラン


 短剣(たんけん)ハルペーが、(ゆか)に落ちた。

 凪はそれを(ひろ)う。

「おお、いい短剣(たんけん)じゃないか。ぼくがもらっていいかい?」

「いいと思うわよ。その形の短剣(たんけん)はハルペーっていって、ヘルメスが使っていた短剣(たんけん)と同じだもん」

 と、逸美ちゃんが言った。

「じゃあ、ぼくにぴったりだ」

 満足(まんぞく)そうに凪は短剣(たんけん)器用(きよう)にくるくる回して、(ふところ)にしまった。

 ハネコも戦闘(せんとう)が終わったことに気づき、鈴ちゃんの(かた)(もど)る。

「ありがとうね、ハネコちゃん。《風のカーテン(エアロバリア)》のおかげよ」

 と、鈴ちゃんはハネコを()でている。

 しかし、このとき。

 俺は見逃(みのが)さなかった。

 蛇神(じやしん)カドゥケウスは、最後の力を振り(しぼ)って二匹(にひき)のヘビを蘇生(そせい)させ、復活したヘビがいて、その二匹は部屋の(すみ)()げ、石の()れ目から()げようとしている。

「《雷火(ゼノスパーク)》」

 手を向け魔法を(はな)つ。

 が、ヘビを透過(とうか)してしまった。

「これは、(たお)せない……?」

 つまり。あのヘビを使いとして、魔王に知らせるのか……。

 ヘビは、()れ目を透過(とうか)するようにすり抜けて行った。

 部屋の(すみ)を見ていると、凪が俺の(かた)に手を()いて言った。

「あれはどうせ仕様(しよう)だよ、攻撃(こうげき)しても(たお)せないね。きっとぼくらが《ルミナリー》のアイテムをひとつ入手するから、魔王がぼくらを認識(にんしき)するのさ。まあ、認識(にんしき)してどうなるかはまだ不明(ふめい)だけれど」

 ああ、と俺はうなずく。

「マジメな顔してないで、いまは素直(すなお)(よろこ)ぼうぜ、相棒(あいぼう)

「かなりの強敵(きようてき)でしたけど、勝ちましたね!」

「良い勝負だったわ」

 鈴ちゃんと逸美ちゃんも()()ってきた。

 凪の言うように、二匹(にひき)のヘビのことは一旦(いつたん)(わす)れていまは素直(すなお)(よろこ)ぼう。

 俺もカドゥケウスに勝った(よろこ)びをみんなと分かち合う。

「うん、やったね。あとは、(とびら)の先に、宝玉(ほうぎよく)がある」

 宝玉(ほうぎよく)――すなわち、《ソロモンの宝玉(ほうぎよく)》が。

 凪がドアの前まで走って、手をかけ振り返った。

「行こうぜ」

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