表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第二章 ソロモン島編
PR
53/187

第二章11  『機械仕掛けのマグナマキナ城下町』

 情報収集じょうほうしゅうしゅうがてら《ミストフィード》の(まち)を回っているとき。

 おばあさんから話を聞いた。

(はず)れにある洞窟(どうくつ)の中には、かつて大海賊(だいかいぞく)()ばれたキャプテン・グスタフの(ふね)がある。(たび)(かさ)なる航海(こうかい)(すえ)(かれ)が最後に辿(たど)り着いたのがこの(まち)なのじゃ」

 また。

 (みなと)の船の中にいた別のおじさんは、(いそが)しそうに動き回りながら、

(りょう)()れた魚を早く《マグナマキナ(じょう)》とその城下町(じょうかまち)に売りに行かないと。ん? その《マグナマキナ(じょう)》は近いか? すぐそこだよ」

 聞いてもいないのに近くにあることまで教えてくれたおじさんに感謝(かんしゃ)して、俺たちは漁船(ぎょせん)を出た。


 俺は凪に聞いてみる。

「どうする? 近いんだったら城下町(じょうかまち)に行っちゃう?」

「うん。城下町といったら規模(きぼ)が大きい(まち)ってのが相場(そうば)だ。きっといろんな有益(ゆうえき)な情報が手に入るよ」

「そうですね。《マグナマキナ(じょう)》に行ってみましょう」

 鈴ちゃんも同意(どうい)する。

「ふふ。決まりね。城下町かぁ~」

 逸美ちゃんが楽しげにつぶやいた。

 ということで。

《マグナマキナ(じよう)》に向かおう。

 (まち)の外に出てちょっと歩くと、北西にお(しろ)が見えた。本当に近いらしい。歩くことしばし、俺たちは《マグナマキナ城下町(じょうかまち)》に着いた。



 (まち)の入り口には、ちゃんと看板(かんばん)も下がっている。

《マグナマキナ城下町(じょうかまち)

 どこか機械(きかい)仕掛(じか)けの雰囲気(ふんいき)がある街で、スチームパンクを連想(れんそう)させる。最先端(さいせんたん)機械(きかい)やロボットというより、からくりや蒸気機関(じようききかん)なのがこのファンタジー世界にマッチしていた。SFも(から)めたファンタジー世界ってわくわくする。

 城下町は《ドレスフィア》より大きい。

 この街にはなんと鉄道(てつどう)も走っており、家々の上を通るレールもある。俺の目線の先では、SLがもくもくと(けむり)を立てて空を()け回っていた。

「SLだ」

「おぉ」

 凪と鈴ちゃんが(おどろ)いている。

 SLはこの城下町の中だけのものであるらしく、外に()びたレールはない。それでも、この広い城下町を考えると、移動手段(いどうしゅだん)として大変便利(べんり)だろうと思う。

 また、街を見下(みお)ろすようにそびえ立つ《マグナマキナ(じょう)》は、ドイツのお(しろ)みたいにシックで美しいシルエットかつ、やや(かすみ)がかったことによる神秘的(しんぴてき)荘厳(そうごん)さが(ただよ)い、思わず俺は息をついた。

「こんなお(しろ)や街が見られるなんて感動だよ。やっぱりこういう(まち)()みはいいな」

 お(しろ)外観(がいかん)に見とれる俺に、逸美ちゃんはうふふと()みを()かべて、

(かい)くんはこの世界をホントに楽しんでるね」

「だって見たことない景色(けしき)ばっかりなんだもん! もっといろんな物も見たいね」

「そうだね。この城下町にはからくりとかもあるし楽しみだわ」

「街の名前もカッコイイしテンション上がるよ」

 そう言うと、逸美ちゃんが解説(かいせつ)をしてくれた。

古典(こてん)ラテン語で、『マグナ』は『偉大(いだい)』な、『マキナ』は『機械(きかい)』。だからここはきっと、機械(きかい)恩恵(おんけい)にあずかる街なのね」

「そっか。いろんな街があって、世界が広がっていく感じがするね」

「ね」

 と、逸美ちゃんが俺に微笑(ほほえ)み返す。

「おーい、開。早く情報収集に行くよ~」

「こっちですよー」

 凪と鈴ちゃんはすっかり先まで進んでいた。凪が()びかけ、鈴ちゃんが手を振る。

 俺と逸美ちゃんも、《マグナマキナ城下町(じょうかまち)》に足を()み入れた。


挿絵(By みてみん)



 城下町(じょうかまち)だけでもたくさん家や建物(たてもの)がある。

 からくりと蒸気機関(じようききかん)が街の動力をうまく機能(きのう)させている(さま)はおもしろく、見ていて()きない。中にはからくりロボットが食べ物を出してくれるレストランなんかもあり、ふと、最近秋葉原(あきはばら)の街でお掃除(そうじ)ロボットを見たのを思い出した。

 すると、パラパラと雨が降ってきた。

「雨ですね」

 鈴ちゃんがつぶやく。

 空を見上げると。

 さっきまで(くも)り空だったけど、一部に雨雲(あまぐも)がかかっていた。

「また降ってきたか」

洗濯物(せんたくもの)取り込まなきゃ」

 近くにいたおじさんとおばさんが家の中に入ってゆく。

「この街は天気が変わりやすくて(こま)る」

 などと言って通り過ぎる人もいた。

 凪はそんな人たちを見て、

「スチームパンクっぽい世界観(せかいかん)だと灰色(はいいろ)の空が似合(にあ)うが、この街もこんな天気が似合(にあ)うよ」

 逸美ちゃんは人差し指を立てて言った。

「むしろ、この天気はそのせいよ。この《マグナマキナ城下町(じようかまち)》は、からくりだけじゃなく、スチームパンクのように蒸気機関(じょうききかん)もあるのでしょ。だから天気が不安定(ふあんてい)なのよ」

「ロンドンがそうだね。(きり)(みやこ)ロンドン。(きり)、つまりスモッグは、産業革命(さんぎょうかくめい)()石炭(せきたん)などの資源(しげん)を使った影響(えいきよう)だと言われているし、この街も産業(さんぎよう)が進んでいるからね」

 俺が補足的(ほそくてき)に言うと、鈴ちゃんがふむふむとうなずく。

「なるほど。あれ? しゃべっているうちに、雨が()みましたね」

「またすぐに降るよ」

 と凪が言った通り、情報収集じようほうしゆうしゆうを始めてからちょっとして、また雨が降ってきた。

 俺たちは一度、カフェで雨宿(あめやど)り。

 それからまた、情報収集を再開(さいかい)した。

 しかし、この《マグナマキナ城下町(じようかまち)》、見ていて()きない街だけど、それらすべてを見て回るのはひと手間(てま)だった。情報収集って大変だ。

 で。

 聞いたところによると。

 ここから北と東に行くと、またそれぞれ別の街もあるそうだ。それより、いまの俺の関心は《ミストフィード》からの航海(こうかい)にある。

 そんな(おり)――

 ようやく俺たちは、《マグナマキナ(じょう)》の前まで来た。

「ちょっと()ってみようか」

「いいぜ。こういうのは王様から(たの)(ごと)をされるのが鉄板(てつぱん)だしね。そのあといただけるお(れい)がなにか楽しみだ」

 まったく気が早いやつだな。

 王様はどんな人なんだろう。

 俺はそのほうが気になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ