表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第二章 ソロモン島編
45/187

第二章3   『迷いの森』

挿絵(By みてみん)


(まよ)いの(もり)

 RPG物の定番(ていばん)でどこのゲームにもあるけど、いざプレイヤーとなって自分たちが森に足を()み入れると、方向感覚(ほうこうかんかく)(くる)って本当に(まよ)ってしまいそうだ。

「どこをどう歩いてるのかわかんないよ」

 (こま)り顔の俺に、逸美(いつみ)ちゃんが(むね)の前で両手の(こぶし)(にぎ)って声をかけてくれる。

(かい)くん、頑張(がんば)ろう。まだ森には入ったばかりだよ」

「うん、そうだよね」

 まだ森に入って五分くらい。

 でも、これまでの普通(ふつう)の森は、自然の気持ちよさがあったけど、この森では道がわからないから樹海(じゆかい)(まよ)()んでしまったような気分になる。

 ただ、木の(えだ)には変わった花が()いているのが見られるし、新しい(とり)のモンスターも(えだ)にとまっているのがいいところ。

 普通(ふつう)に歩いているだけでは手が(とど)かない位置(いち)にいるから、俺たちは見るだけ。

綺麗(きれい)な鳥ね」

「そうだね」

 ハナリアという鳥で、桃色(ももいろ)の花びらでできた羽を何枚か(かさ)ねたような、体長三十センチほどのモンスターだ。美しいさえずりが(しず)みそうになる気分を明るくしてくれる。この森とはセットで登場するのに(てき)している。

「最初は普通(ふつう)の花かと思ったよ」

 と、凪がハナリアを見上げる。

 このゲームの特徴(とくちよう)として、動かないモンスターは名前が表示されたりこちらからモンスターだと気づかない仕様(しよう)で、ハナリアも最初は花に見間違えた。

 きっとハナリアみたいになにかに擬態(ぎたい)するモンスターもいるだろうし、(ほか)の変わったモンスターや、カブトムシやクワガタのモンスターにも出てきてほしいものだ。



 せっせと歩くが、正しい道ってのがわからないし、ここを抜けるのは手間(てま)だ。

 先頭(せんとう)を歩いていた(なぎ)が足を止めた。

 俺と逸美ちゃんも凪に(なら)って立ち止まる。

「二人共、分かれ道だ」

 凪が指差(ゆびさ)す先は、二股(ふたまた)になった分かれ道。

「開と逸美さんはどっちに行きたい?」

「わたしはどっちでもいいわよ」

「俺は右かな」

「ほう。どうしてだい?」

「時間はかかるけど、迷路(めいろ)パズルと同じ原理(げんり)だからさ。壁伝(かべづた)いに歩き続ければ、いずれ出口に辿(たど)()けるって寸法(すんぽう)だよ」

 たとえ行き止まりになっても、すべての(かべ)を伝って歩くから確実なのだ。

「なるほど。開くん(かしこ)い!」

「へへん」

 逸美ちゃんに()められて(むね)を張るが、凪がバッサリ。

「それはやめよう」

「なんで」

 納得(なつとく)いかない。

「《(まよ)いの(もり)》の規模(きぼ)不明(ふめい)だ。それじゃ辿(たど)り着くのが深夜になるかもしれない。もっと簡単な攻略法(こうりやくほう)があるはずなんだ」

「あるはず、って。まだ考えついてもないのかよ」

 じっとりと凪を見るが、こいつは平然と言う。

「いまから考えよう。そして、考えるのはキミの役割(やくわり)だ」

「俺、ゲームのことなんてわかんないぞ」

 まったく。人の意見は却下(きやつか)しておいて自分は無計画とは、いつもそうだけど、本当に勝手なやつだ。俺は(かた)を落としたが、適当(てきとう)に言ってみる。

「あ。じゃあ、さっきの《(なぞ)のオカリナ》は?」

「オカリナを()いたら羊やら牧羊犬(ぼくようけん)案内(あんない)してくれるんじゃあるまいし、とも思うけどね、(ため)価値(かち)はある」

 俺はアイテム一覧(いちらん)から《(なぞ)のオカリナ》を取り出した。

()くよ」

 どうやって()くのかよくわからないけど、とにかく口に当てて息を()きかける。すると、勝手に演奏(えんそう)のような音が(かな)でられた。

「どう?」

「ふぅむ。さっぱりだ。なにも()きない」

「これは(ちが)ったのかしら」

 逸美ちゃんが首をかしげる。俺もオカリナを手に首をひねるが、それ以外にアイテムの(たぐい)はないし、別の方法があるのだろうか。

 凪が俺の(かた)にポンと手を置いて、

「いまはそのときじゃないのかもね。またあとで(ため)そう」

「ああ。でも、どうする? 適当(てきとう)に歩き出してみる?」

「わたしはさっきの開くんの考えた、壁伝(かべづた)いの方法でいいと思うな」

 ふむ、と凪はうなずく。

「仕方ない。逸美さんもそう言うんじゃ、それで行ってみるか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ