第一章28 『デュエル』
街を出て、五歩。
正面から――つまり、草原から、三人組の少年たちが歩いてきた。
年は俺や凪より少し上くらいだと思う。
俺たちは、街の外のフィールド上では初めて見る他プレイヤーに、ついめずらしいものでも見る目を向けてしまった。
三人組のうち、真ん中にいるリーダー格っぽい背の高い少年が言った。
「なに見てんだ。どけよ。と、言いたいが、おまえら初心者だろ?」
「なんでそんなことがわかるの?」
自分より年下の生意気な少年にも臆せず、逸美ちゃんが平静に聞いた。
少年は、顎をくいと上げて、俺を指し示した。
「そいつが持ってる剣を見りゃわかるさ。この《ドレスフィア》に売ってる安モンだ。んなモン持ってるのは、ここより先に行ったことがないヤツだけさ。ついでに言えば、あんたの杖もな。ま、そっちの杖と鎌は見たことがないがな。どうだ? 当たったか?」
む。
俺は怒りを表に出さず、口を開く。
「だったらなんですか?」
「いまさらこの世界にやってきたところで、おまえらにすることなんてないぜ。世界はこのおれたちが救うからよ」
「そうだそうだ」
と、取り巻きの小さな少年が言った。
「ま、そういうことだから、王子様はお城でお勉強でもしてるんだな。んで、魔女っ子は小学校のお友達と魔法の練習でもしてろ。魔法少女アニメでも観ながらな。あっはっはっはっは」
三人が順番に嫌味を言って、俺と逸美ちゃんと鈴ちゃんの前を通り過ぎる。
フン。嫌味なやつ。俺は鼻を鳴らしてそっぽを向く。
鈴ちゃんもにらんだけど、怒りを抑えて関わらないようにしていた。逸美ちゃんは気にした様子もなく、「あの子たち、開くんよりそこまで年上に見えないけど、思ったより年齢を重ねてるのね~」とつぶやく。
三人の少年が凪の横を通り過ぎようとしたとき、凪にじぃっと見つめられて、少年たちは鬱陶しいと言いたげに声をかけた。
「よう。なんか用かよ。もしかして、仲間を馬鹿にされてイラッときたか?」
凪は少年に顔を向けて、
「よ。こんちには。ところでキミ」
「それを言うならこんにちは、だろ。で? なんだよ?」
ニヤニヤしながら少年は尋ねる。
「馴れ馴れしいけど、どこのだれ?」
少年たちはそろってズッコケる。
「ぼく、キミのような薄味のしょうゆ顔、いままで見たことないな~」
少年はすぐに立ち直って、顔を赤くして地団駄を踏む。気を取り直して、少年は警戒しつつ言う。
「おれたちか? おまえに名乗るほどのモンじゃねーよ」
「なんだ。たいした人たちじゃないのか」
「そういう意味じゃねーよ! おれは三平だ」
三平くんは怒りながらつっこみつつ、自己紹介した。
「えー!?」
目を丸くする凪を見て、三平くんは満足そうにニヤリとする。
「へっ! 驚いたか。地元じゃちっとばかし有名なんだぜ?」
「キミ、シャーペンなの?」
ズコッ、とこけて、三平くんはすかさずつっこむ。
「三平っ! シャーペンじゃなくて三平だよ」
「なんだ、言い間違いか」
「ちげーよ! オメーの聞き間違いだ!」
凪は話を聞いているのかいないのか、眠たそうに大きなあくびをした。
「チッ。バカにしやがって。おまえみたいにふざけた生意気なガキにはお灸を据えてやらないとな」
「やっちゃってください、兄貴」
横の小さい少年が三平くんに言った。凪はぼーっとそれを見て、
「ひとり小さいと思ったら兄弟か」
「ちげーよ! 同い年だよ、同い年! ふざけてんのか」
「こうなったらデュエルだ。ルールは、一本勝負。先に一撃入れたほうが勝ち。3VS3で、先に2勝したパーティーが勝ちってことだ。わかったらYESボタンを押せ」
凪の頭の上に、デジタル画面が出現する。
『デュエルを受けますか?』




