表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第一章 旅立ち編
24/187

第一章17  『凪の返答』

 俺は凪たち三人を見る。(たが)いに目を合わせてどうしようかとなっている俺と逸美(いつみ)ちゃんと(すず)ちゃんだったが、(なぎ)はこちらを見もせずに言った。

「お(ことわ)りするよ。ぼくたちはぼくたちでクリアを目指すんだもんね」

「そうか。それは残念(ざんねん)だ」

 と、グッチさんは(まゆ)を下げて差し出した手を引っ込める。

 それから、凪は俺たちを見て、

「行こう」

 さっさと歩いて行ってしまった。残った俺たち三人がごめんなさいと言って(はな)れ、凪の元へと()けて行く。


 俺は凪の横に(なら)んで言った。

「おまえならそうすると思ったよ」

「せっかく情報をもらえる機会(チヤンス)だったのに、先輩(せんぱい)愚直(ぐちよく)ですね」

 鈴ちゃんの言葉に俺も同意(どうい)する。

「確かにね。参加(さんか)する、とだけ言って、自分たちは自分たちでクエストやってればいいのにって話だもんね」

 しかし凪はそんな会話をする俺と鈴ちゃんには目もくれず、目の前に広がる世界を見渡(みわた)して言った。

冒険(ぼうけん)は自分たちでやるから楽しいんだ! ぼくはこのメンバーとゲームを楽しみたい」

 逸美ちゃんは大きくうなずいた。

「そうね。千秋(ちあき)さん言ってたよね。(かい)くんに(なぎ)くん、わたしで、クリアに半月はかかるだろうって。そこに(すず)ちゃんもいるんだもん、期間内にクリアできるわよ」

 鈴ちゃんもグッチさん登場(とうじよう)から一歩引いていたけど、逸美ちゃんの言葉に表情を明るくさせて、

「そうですね! 凪先輩(せんぱい)のステータスが極端(きよくたん)に低過ぎたのは誤算(ごさん)でしたけど」

 と、凪を横目に見てにやりとする。

「うん、あのバグは誤算(ごさん)だったね。でも、それはほら。ぼくの知恵(ちえ)勇気(ゆうき)攻略力(こうりやくりよく)でなんとかなる範囲(はんい)さ。頑張ろう」

 こいつの場合、圧倒的(あつとうてき)な情報力もあるけどな。知恵と勇気はわからないけど。

 ここで俺は話を(もど)す。

「さて。これからどこに行く? ゴールドの(かせ)ぎ方を調べるか、(ふく)調達(ちようたつ)するか」

「ふむ。ぼくとしては、ゴールドの(かせ)ぎ方を調べてから服屋に行き、必要なゴールドを見積(みつ)もった上で(かせ)ぎに出るのがベターだと思うね。ヘルプにはアイテムを売るって書いてあったけど、その具合(ぐあい)を知りたい」

「あたしも賛成(さんせい)です」

「そうと決まれば、情報収集も()ねて酒場(さかば)に行くのが冒険物(ぼうけんもの)定番(ていばん)だ」

「しかし凪はよく知ってるな」

 でも酒場って、まだ昼間だぞ。そう思っていると、逸美ちゃんが俺の心とシンクロしたみたいに同じことを口にした。

「まだ昼間なのに酒場ってやってるの?」

「酒場はいつでも関係なくやってるものなんだ。酒を飲みに来るというより、ゲーム的には仲間集めやクエストの依頼(いらい)、情報交換の場だからね」

「そういうものなのね~」

 街は広いが、酒場は街の中でも重要(じゆうよう)役割(やくわり)を持っているためか、発見しやすい場所にあり、すぐに見つけることができた。



《イーリスの酒場(さかば)

 店の看板(かんばん)にはそうあった。

 おそらく、イーリスという人がやっている酒場なのだろう。

 店内に入ってみると、人がたくさんいて(にぎ)わっていた。

 確かに、お酒を飲んで食事しているというより、いろんな人がしゃべっていたり、掲示板(けいじばん)のようなものを見ていたり、まるでホテルのカウンターのようなものまである。

「あそこのカウンターで仲間を募集(ぼしゆう)したりするんだろうね」

「どうやって?」

 と、俺は凪に(たず)ねる。

条件(じようけん)を言えばいいのさ。あの綺麗(きれい)なお姉さんがイーリスちゃんだね。NPCの中でもかなりたくさんの質問に答えられるはずだよ」

「そっか。ならその人に聞くのが早いね。ていうか、ちゃん付けかよ」

「彼女は(かい)(ごの)みのお姉さんだし、ぼくは後ろで(ひか)えてようか?」

 う。逸美ちゃんの視線(しせん)(いた)い。

 でもまあ、確かに綺麗(きれい)なお姉さんだけど、彼女はNPCじゃないか。

「え~? 開くんああいう人が好みなの? どうしよう~」

「ぼくというものがありながら開ったら~」

「別にそんなんじゃねーよ」

 ったく。凪のやつ、余計(よけい)なこと言いやがって。しかももっとタチが悪いのが、あのお姉さんの見た目の雰囲気(ふんいき)が逸美ちゃんにちょっと()ているのに、逸美ちゃん本人が気づいてないことである。

「もういいよ。凪が聞いて」

「はいはい。普段(ふだん)は人とのコミュニケーションは苦手なぼくだけど、NPCとは()()くしゃべれるんだ」

先輩(せんぱい)、それってどうなんですか。どうせいつも開さんに人との会話とか(まか)せて自分はふらふらしてるんだから、たまには(やく)に立ってくださいね」

 さすが鈴ちゃん、よく凪のことを理解してる。凪相手に俺と同じ苦労(くろう)をしてきてる子なだけある。

「やだなあ。人から話を聞くのは開の役割(やくわり)。ぼくはぼくで得意なことをやるよ」

「そういうセリフは得意なことが一つでもある人が言うんです」

「わかった?」

 と、凪がお説教(せつきよう)する母親みたいな調子で俺に言う。

「はい。わかりま――って、おまえに言ってんだよ!」

「おお、ノリツッコミ。ふむ。てことで、イーリスちゃんに話を聞いてこよう」

 カウンターへ行くと、お姉さんが微笑(ほほえ)んで言った。


「わたしはイーリス。この酒場(さかば)店主(てんしゆ)です。どうかなさいましたか?」


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ