表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルミナリーファンタジーの迷宮  作者: 蒼城双葉
第一章 旅立ち編
19/187

第一章12  『お役立ち掲示板』

 俺たちは空に()()げ出されて、現在ものすごい(いきお)いで落下(らっか)している――。

「パパ~! いや~!」

 (すず)ちゃんの絶叫(ぜっきょう)はなおも続く。ちなみにパパって言っちゃってるのもパパが大好きなファザコンだからである。

(さけ)んでもパパは助けに来ないぜ?」

 (なぎ)がのんきにそんなことを言うが、鈴ちゃんには当然(とうぜん)聞こえていない。(さけ)び声が「キャー」から「ギャー」に変わっているくらいだ。

 鈴ちゃんが凪の言葉を聞いていないのを見て、

「やれやれ。ひとりで楽しんじゃって」

 と、凪は(あき)れたように(かた)をすくめた。

「凪、そういうおまえは高所恐怖症こうしょきょうふしょうだろ? 大丈夫(だいじょうぶ)なのか?」

 俺に聞かれて、凪は手をひらひらさせて言う。

「大丈夫さ。ここはゲームの中なんだ。それにこんだけ空高いと、(ぎゃく)実感(じっかん)()かないってもんさ」

「あっそ」

 一方(いっぽう)逸美(いつみ)ちゃんはというと。

(かい)く~ん!」

 と、両手を大きく広げて俺に向かって飛んでくる。

「逸美ちゃん!?」

(こわ)くないように、お姉ちゃんがくっついててあげるわ~」

 いや、これはそのままじゃ衝突事故(しょうとつじこ)に……!

 どうしよう、()げるか? と下を見る。

 川だ。

 (さいわ)い、落下地点(らっかちてん)は水の中になるから、致命傷(ちめいしょう)()けられる――。

 さっさと下りよう。

 が。

 次の瞬間(しゅんかん)

 逸美ちゃんが俺に向かって飛来(ひらい)し、石頭(いしあたま)のお姉さんの頭突(ずつ)きをくらった。

「いてっ!」

 と、同時に。


 ザバーン


 盛大(せいだい)に水しぶきを上げて、俺たちは川の中に落っこちた。

 まったく、最初にこんなところに飛ばすなんて、やっぱりこのゲームを作った史木入(しきはいり)性格(せいかく)(わる)いと思う。

 (いた)い頭を()さえ、水中(すいちゆう)で目を()ける。

 水面(すいめん)には太陽(たいよう)の光が()し込んでいて明るいので、あっちが上か、と確認して水面から顔を出した。

「ふぁっ」

 顔を出したけど凪たちの姿(すがた)が見えない。

 どうやら俺が一番に水面から出たらしい。

 川を確認して、(おき)に上がる。

 (ふく)(しぼ)って水を切っていると、逸美ちゃん、鈴ちゃん、凪と川から顔を出し、俺のいる川岸(かわぎし)まで来て(おき)に上がった。

「いやあ。(おどろ)いたね。さすがはバーチャルリアリティーだ。臨場感(りんじようかん)がハンパじゃない」

 凪は(つか)れた顔でそう言った。

「そうだね。こんな臨場感(りんじょうかん)はいらないよ。異世界への入場(にゅうじょう)普通(ふつう)でいいんだよ。もしくは、着地(ちゃくち)だけはふわりと地面に、とかさ」

「そうですよ。おかげでびしょびしょ」

 鈴ちゃんはがっくりしていた。

 逸美ちゃんは心配そうにタタタっと俺の横に来て、

「開くん、大丈夫だった? ケガしてない? ごめんね、(いた)いの(いた)いの飛んでいけ~」

「平気だって。全然(ぜんぜん)大丈夫だよ」

 子供(あつか)いされちゃかなわないよ。凪たちの前で()ずかしいな。

 そう思いながらも、俺は聞き返す。

「逸美ちゃんこそ大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ。それより、開くんが無事(ぶじ)でよかった。(かみ)()れてる開くんもお風呂(ふろ)あがりとかプールから出たときみたいで可愛(かわい)いし、お姉ちゃんすぐに元気出ちゃった」

「その元気の出方(でかた)(ちが)うでしょ」

 俺はぐるりと周囲(しゅうい)を見回して、

「しかし、ここはどこだと思う?」

 この問いには、もういつもの顔色に(もど)った凪が答える。

「さあね。でも、まずは情報収集じょうほうしゅうしゅうが大事だ。プレイヤーは最初、みんなここに飛ばされるんだろうさ。だから、ここからそう遠くないところに(まち)や村なんかがあると思うんだ」

「そうだな」

「コルナちゃんは消えちゃったし、いざとなったら潮戸(しおど)さんに話を聞くとして……」

 と、凪が言っている横で、鈴ちゃんが指差(ゆびさ)した。

「あっち見てください。看板(かんばん)がありますよ」

 ちょっと先に看板(かんばん)らしきものがある。

「行ってみよう」

 俺たちは看板(かんばん)目指(めざ)して走って行った。


《お役立(やくだ)掲示板(けいじばん)

 看板(かんばん)にはそんな題目(だいもく)があり、その下には紙が()られている。


挿絵(By みてみん)


「《お役立(やくだ)掲示板(けいじばん)》ですって。ええと、『フィールドを移動(いどう)する速度(そくど)(まち)の中の3倍になっているぞ』」

 と、鈴ちゃんが読み上げた。

「へえ。そうなんだ~」

「街と街のあいだを何日もかけて歩くのも大変だしね」

 逸美ちゃんと俺が看板(かんばん)を見ながら話しているとき、凪は共有状態(きようゆうじようたい)にしたメニューを操作(そうさ)していた。

「なにしてるの?」

 俺が問いかけると、凪は言った。

「ああ。いろいろ確認することと(ため)しておくべきことがあってさ。さっそくだけど、みんなメニューを(ひら)いて『共有(きようゆう)ボタン』を押してくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ