ユートピアの作り方
「ユートピア」
ココは同じことを雲の上で呟く。
「ユートピア。ユートピア。ユートピア。ユートピア。」
「ココどうしたの?」
「あっ、姉さん。響きの良い人間の言葉見つけた。」
イマは不思議な行動をするココを温かい目で見つめる。
「でもね。響きを響きにしておくのが嫌なんだ。」
「どうして?」
「抽象のままが嫌なんだ。いつかなくしちゃうから。でも、事実だと変わらないから。」
「なら作っちゃえば?」
イマの言葉にココははっとして、10代のくりくりした少女の目をパチパチとさせる。
「いい考えだね。姉さん。」
ココは何もない天界の遠くの方を見つめながら呟いた。
「久しぶりだな。何かするの。」
「頑張れ。」
イマは少しだけ微笑みを残してどことでもなく去って行った。
☆☆☆☆
ココはゴロゴロと考えていた。
ユートピア。
理想郷って日本語にしてみたら少しだけ分かりやすくなった気がした。
それから何もせずに長い時間が経っている。
別に案がないのではない。
手段ならいくらでもある。神様だから。((y)ˆ³ˆ)(y)
ただどれもぱっとしないだけ。
消化しきれない何かを食べたような気分。
(食物繊維?デトックスで体にいいかもね。)
最初に思いついたのは、「道徳のテスト」。
人間は「道徳」という教科で、人間としての規範を後付けされる。ならそれを利用しようってこと。
一定の点数が取れた人だけを集めて都市を作らせて、そこをユートピアとする。
でも………
人間は見せる自分、本当の自分、2つある。
隠そうとしても神様の私には丸見え。お天道様(私)は全部みてるゾ!
それで改善案。私が直接、適当な人を見つけ、その人たちだけが暮らす場所を作る。
正直実行しようとした。
大胆に、「私神様→ユートピア作るよ→YOUいい人だから来なよ」って言ったら断られた。
「私には十分すぎます。」とかなんとか言って断られた。
まあ神様だから断られるの分かっていたよ。強がってないもん!( ;∀;)
それでゴロゴロし中。
大変だね。
☆☆☆☆☆☆
` ∧_∧
゜(・_・`。)゜。・゜。
` レ レ )
レ--レ/
「はぁわぁーーー。」
ココは仰向けから急に起き上がった。
「どうしたのココ?」
イマは今朝咲いた花に話しかけるようにそっと聞く。
「えっとー。私、ひらめいた。」
「寝て起きただけに見えるんだけど。」
「違うよ。」
「あっそう。それでどうするの?」
「……意外と何か具体的な、物質的な幸せをヒトは欲しがっていないかもって。」
「お金とか食べ物とかを与えるだけでは、ユートピアにならないってこと?」
「うん。というか、多分……。思ったんだよね。
人間が本当に欲しいもの。
いろいろ考えたけど、ユートピアを作るために必要なものは、『ギリギリ超えられる壁』じゃないかな?
すべての人に役割を与えるんだ。その人にあったね。
それでその任務は、成功する可能性も失敗する可能性もある。
ただ大切なのは、その人が努力をすれば必ず達成できる場所であること。」
「なるほど。いいんじゃない?」
「私もそんな気がする。」
ココは満足していた。
ココはユートピアを作る方法を知りたかった。そして満足のいく回答が得られた。
ココにとっての『ギリギリ超えられる壁』はユートピアを作る方法を思いつくこと。
幸せをそっと噛み締めた。
☆☆☆☆☆☆
実際ココはどうしたか知ってます?
1人づつ役割を与えるのも大変だったんで、ご馳走が食べることができ、なんでも手に入る場所+ディ◯ニーランド的な施設を作ったらしいです。
矛盾してますよね。
ココ曰く、すぐに思いつく楽園っぽいところに人間を住ませてみたらすぐに飽きると思ったそうです。
でもヒトは意外とみんな満足したそう。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
月に一回という遅さですが、これからも宜しくお願いします。