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君が僕にくれた宝物  作者: 豊
8/10

~真理さんの想い~

真理さんからLINEメッセージが届く

~LINE~

真理さん「ちょっと会える?」

僕「いいですけど、何か用ですか?」

真理さん「用があるから会えるか聞いてるんじゃない?」

僕「はい…。」


真理さんはいつも僕につっかかる。けれど、そんな真理さんは苦手だけど嫌いではない。

待ち合わせの場所に着くと、既に真理さんは到着していた。「遅い!」膨れ面をして僕に怒る。

何とかご機嫌を取り、その場を取り繕うと買い物に付き合わされた。

「日も落ちてきたし、公園に行こうか」そういうと真理さんは僕の手を半ば強引に引っ張った。


雪が降り積もった公園はとても静かで誰も居ない。ベンチも座れず、真理さんは僕に背を向け背伸びをしている。「よし!」そう言うと真理さんはこちらを振り向いた。

僕はすぐに真理さんの異変に気付く。「ま、真理さん?」真理さんの瞳から一粒の涙が頬を伝う。

「あのね、私ズルいの。遥のこと応援してるって言っておきながら心では応援出来てなくて…」


戸惑う僕に少しだけ笑って「一番最初に私が声をかけた時のこと覚えてる?」「バ、バスの?」

「そう…。あの時、私は本音を言うと嫉妬してた。いつも遥がバスを降りると豊は目をつぶってこっち見なくなったでしょ…。私は目をつぶって音楽を聴く豊をずっと見てた…」

「確かに、私みたいな女は、女の子らしくなくて異性として魅力はないかもしれないけどさ…」


僕は頭の中で整理しようにも突然のことで脳が働かない。


「だから遥に気持ちを打ち明けられた時は、ちょっとショックだったんだよね。豊は遥を思ってて、遥も豊を思ってる。両思いな関係に私が入れる余地がなくてね…」

「それでも私は遥と仲良しでいたい、卑怯でいたくないって。だから今日、豊に伝えたいことを言ってスッキリしようと思うの」

「私は豊が好きでした。バスでずっと豊を見てました…」


「あ…あの…」僕の声はとても震えていた。

「真理さんは卑怯でもないし、女性と魅力だってある。けど…」声が詰まって上手く言葉にならない。

「けど…?」真理さんと僕の間に沈黙の時間だけが過ぎていく。


「ぷっ!豊はすぐ本気にするんだから!!」真理さんは急に笑い出した。

「だから本気にしないで!!この話はおしまい!」そういうと僕に背を向けて肩が小刻みに震えていた。

「ごめんなさい…僕はなんて言えばいいか…」僕はその背中を抱き締めることは出来ず、ただ見守るしかなかった。

「ば、ばかぁ…、こんな時に優しくしないで…」そういうとより一層、真理さんの肩は震えていた。

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