~君の笑顔の源~
週に3回僕は遥さんのお店で食事をする。おじいさんとも顔見知りになり、他のお客さんが居ない時は僕の席にきて話をする。
「豊君は遥と付き合っているのか?」唐突な質問に戸惑う僕。
「い、いえ、付き合うと言いますかメッセージのやり取りをさせていただいてます」それを聞いたおじいさんは微笑むと「豊君で本当によかった。君の目は優しくて純粋な目をしている。」僕は思わず恥ずかしくなった。そして、遥さんの両親が亡くなった経緯、遥さんを引き取った経緯を僕に教えてくれた。
遥さんの笑顔は僕が考えているよりも、ずっと複雑な感情が混ざり合って、それを乗り越えて笑えるようになったと知った時、遥さんが見せる笑顔がより一層輝いているように思えてきた。
今日は両親の命日でお墓参りに行ってると聞いて少し安心した。
もし今ここで遥さんの笑顔を見たら僕は泣いてしまうだろう。
お店を出ると夕日に染まった空が金色に輝いていた。この金色に輝いている空も、もう少ししたら暗闇に包まれる。それでも今度は暗闇を照らすようにいくつもの星が輝きだす。人も同じだ。
誰かが誰かを輝かせる。そうやって人は常に輝いている。
遥さんを輝かせている真理さん、おじいさん、おばあさん。
僕を輝かせてくれている遥さん、真理さん。
「僕も誰かを輝かせる存在になれるのかな」ボソッと自分自身につぶやくと元気になれた気がした。