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君が僕にくれた宝物  作者: 豊
3/10

~不思議な感情~

今日は日曜日だ。僕の休みの日課は駅前の本屋に行って、通学の時に読む1冊の本を吟味して買うことだった。

いつものように本屋の文庫本コーナーで物色しているとLINEの通知が鳴動する。

~LINE~

真理さん「後を見ろ」


僕が後を振り返ると真理さんがいた。「う、うわ!」僕は驚きの余り大きな声で叫んだ。

「シーッ!ここ本屋でしょ!」真理さんは僕の口を塞ぐと小さな声で言った。

「あんた、休みの日も本屋?どんだけ本が好きなの?」呆れた顔で僕を見る。「通学用の本を買いにきたんだ。真理さんはなんで本屋に?」「私が本屋にいたらおかしいの?」真理さんは少しムッとした顔をして僕を睨む。愛想笑いして誤魔化す僕。なんか不思議な感じだった。


「へぇー、あんた恋愛素人なのに恋愛小説好きなの?」僕の購入した本をからかうように楽しむ真理さん。

「真理さんこそ恋愛小説じゃ…」そこまで言いかけると真理さんは「え?なにか文句でも?」と僕に絡んできた。「しおりキャンペーンだって!」この本屋は本を購入する度にしおりをランダムで1枚くれる。

「私、犬のしおりがいいなぁ!」真理さんがそういうと店員さんはニッコリして「お二人にお似合いのしおりを入れておきましたので」と言った。


「あんたこれから暇?暇ならお茶していこうよ」真理さんの強引な誘いを断れるはずもなく、僕は言われるがまま近くの喫茶店に入った。

二人とも別々に注文を終えて席に着く。「さて、あの店員さんどんなしおり入れたのかな?犬だったら嬉しいなぁ」ワクワクしながら真理さんはしおりの袋を開ける。

「え…」真理さんは一言だけ発すると急に静かになった。

「どんなしおりだったの?」僕が聞くと真理さんは無言でしおりを差し出す。

しおりには半分のハートが描かれた。もしかしてと思い、僕のしおりも確認するともう半分のハートが描かれていた。

「店員さんから見たら、私たち付き合ってるように見えるのかな…」真理さんは顔を赤らめて恥ずかしそうにしている。

「ははは…」とても気まずい空気の中、二人が注文した飲み物がきた。

「お待たせしました。メロンソーダとアイスティーです」僕の前にアイスティーが運ばれてきた。

「アイスティーは私で、彼がメロンソーダです」真理さんは笑いをこらえていた。

「豊ってさぁ、本当に面白いよね。普通は女子とこういうお店に来たらコーヒーとかじゃない?メロンソーダって…」必死に笑いをこらえる真理さんは楽しそうだった。


それから僕達は恋愛小説の有り方やお互いの見解について話し合って店を出た。

お店を出ると日は傾いていてすっかり夕暮れになっていた。

「少しは遥とのデートの練習になった?」背伸びをしながら真理さんは僕に聞く。

「練習かどうか意識してなかったけど、真理さんって良い人だってわかりました」そう言うと真理さんは笑っていた。


その日の夜、僕は不思議な夢を見た。バスの中で遥さんと真理さんが笑いながら会話をしている夢だ。

なぜか僕の視線の先は真理さんだった。とても不思議な夢だった。


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