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君が僕にくれた宝物  作者: 豊
2/10

~君の友達~


翌日は気まずさもあり、帰りのバスを一本遅らせた。すると、バス停に彼女とその友達がいた。僕は思わず目を反らす。それに気付いた彼女の友達がムスッとした顔で僕に近付いてくる。

「あのさ、昨日は変なこと言ってごめんね。遥に怒られたから…その」


彼女の友達はムスッとしているのではなく、照れ隠しなんだと思い思わずクスッと笑ってしまった。

「な、なによ」彼女の友達は申し訳なさそうな顔と少し怒った顔で僕に聞く。


「ご、ごめんなさい。少しビックリしちゃって…」僕は目を反らしながら言うと「わからないもんだよね、遥はこいつのどこがいいのか…」とボソッと漏らすと同時にヤバいと言う顔をして思わず口を手で塞いだ。


僕はポカーンと呆気に取られた。「え?い、いま…」そこまで言うと彼女の友人は絶対に内緒にしてと、小声で僕に言い残し彼女の元に走り去った。彼女と目が合うと僕は軽く会釈をした。彼女もそれを見て僕に会釈してくれた。


彼女が僕の事が好き?そんなことあるわけない。自分に言い聞かせて、ゆっくりとバス停に向かって歩いていく。バス停に付くと彼女は僕に「豊君、友達の真理がごめんなさい。」と言うと、一番驚いていたのは彼女の友達だった。


「は、遥、名前知ってるの?」彼女の友達は明らかに動揺した様子で驚いている。

彼女は僕が偶然に彼女の定食屋に入り、僕と話をしたことを友達に説明した。「偶然ねぇ…」僕を横目で怪しそうに見る彼女の友達。「ほ、本当に偶然で、彼女がお店で働いていることも知らなかったし…」


すると彼女の友達は「あーはいはい、わかったわかったから」と言った。それと同時に「あと、この子は遥、私は真理だから今度から名前で呼んでね」彼女を見ながら友達はニヤニヤしている。 彼女は顔を赤らめて下を向いていた。


「あ、はい。は、遥さんと真理さんですね」僕は顔を赤らめてそう呼んだ。

バスの中で、真理さんが僕の学校前のバス停で待っていた経緯を話してくれた。僕に謝るために覚悟をしていたのに、僕がいなかったので降りて待っていたのだと。


遥さんは笑顔で真理さんをからかっている。僕は遥さんの笑顔を見ると不思議と嫌な事が消えていった。

遥さんの降りる停留所のアナウンスが流れるとボタンを押した。「豊君、今日はどうする…?」僕は顔を赤くして、少しだけうなづく。「じゃあ、私も行くー!」真理さんがはしゃいで手を上げる。


遥さんの両親は他界していて、祖父母の家でお世話になっている。その恩返しのために学校を終えると、定食屋の手伝いをしていると教えてくれた。

「いらっしゃいー!を、昨日のお客さんか!」そういうとカウンターから身を乗り出し、おじいさんが嬉しそうにニコニコしていた。「おじちゃん!私も来たよ!」真理さんも元気一杯だ。「おお、真理ちゃん相変わらず元気だねー、いらっしゃい」そう言うとおじいさんはカウンターの奥に消えていった。


しばらくすると、遥さんがエプロンを付けながら客席に来た。

「今日は何にしますか?」優しく微笑んで僕と真理さんの注文をとる。

「私は唐揚げ定食!」真理さんが大きな声で言う。

「ぼ、僕も同じで」そういうと遥さんはニコッとして「少々お待ち下さいね」と言いカウンターに向かった。

「あんた、遥のこと好きなの?」周囲に聞こえないような小声でストレートな質問を真理さんは投げかけた。

「好きとかじゃなくて、憧れというか…笑顔を見てると心が落ち着くというか…気になるっていうか…」そう言うと真理さんは頭を抱えながらため息交じりで「あんたさぁ、人を好きになったことある?それが好きってことでしょ!」

そうなんだ…。僕は遥さんが好きなんだと思った瞬間から、遥さんを直視出来なくなっていた。


「お待たせしました。唐揚げ定食です」遥さんは二人分の食事を持ってくる。「うわー!すっごい久し振り!!」真理さんはとても嬉しそうだ。

『いただきます』僕と真理さんの声がかぶった。それを聞いた遥さんは笑っている。

そんなことはお構いなしとばかりに真理さんは唐揚げを頬張る。「あいかわらず遥ん家の唐揚げは美味しいよね」と口に詰め込みながら話をする。

「行儀悪いよ真理」笑いながら注意する遥さんはとても嬉しそうだ。「私は向こうでお皿洗ってくるからまたね」と言い残しキッチンへ戻っていた。


「んで、あんたもし遥があんたのこと好きだって言ったらどうするの?」唐突な質問にむせる僕。

「な、なにをいきなり」あきらかに動揺する僕をよそに淡々と話しを続ける。

「だってさ、私だって信じられないよ。私が昨日あんたに文句を言いに行ってから遥の気持ち知ったし…」

「へ、へぇ…」気まずさと困惑の中、相槌を打つしかなかった。

「でさぁ、あんたは彼女いたことあるの?」またむせ返す僕。

それを見た真理さんはニヤついた表情をして「まさか女性と付き合ったことないの?」と大げさに驚く。

「まぁ、うん…」僕の態度を見て真理さんは笑顔になる。「なら良かった。遥も彼氏いたこと無かったし、純情同士なカップルの誕生だね」またむせ返す僕を見て笑う真理さん。


「二人で何の話をしてるの?」遥さんが笑顔でこっちに来た。

「今、豊と唐揚げ美味しいねって話てただけだよ」真理さんも笑顔で答える。

「ま、真理…豊君のこと呼び捨てなの…?」遥さんは少し嫉妬しているような驚いた顔をしている。

「あぁ…ほらあんたって言うのも失礼だし、私が君付けって変じゃない?」そういうと遥さんは納得した顔をして「それもそうか…うん、そうだね」とまた笑顔になった。


「あ、あの、遥さんも僕のこと、呼び捨てで呼んでもらっていいです」僕は顔を赤くして勇気を振り絞って言った。それを聞いた遥さんも顔を赤らめる。

二人をニヤニヤしながら見ている真理さんは楽しそうだった。

「わ、私のことも遥って呼んでください」顔を下に向けたまま遥さんは恥ずかしそうだった。

「は、はい」そういうと遥さんは少し泣きそうな顔で僕に優しく微笑んでくれた。


帰り際に真理さんの強引な誘導によって三人の連絡先とLINEを交換した。

その日の夜、真理さんからLINEが届いた。


~LINE~

真理さん「あんた遥にLINEした?」

僕「なんて打てばいいか考えててまだ」

真理さん「はぁ?元気?とかなんでもいいじゃん!」

僕「それはそうだけど…」

真理さん「早くしないと遥寝ちゃうからね!」


時計を見ると既に22時を過ぎていた。


僕「わかった。送ってみます」


ひとつため息をついて、決心した。

そして遥さんのトークボタンを押した。


~LINE~

僕「こんばんは」するとすぐに既読がついて返事がくる。

遥さん「こんばんは」


それから数分間沈黙が続いた。


遥さん「私、呼び捨てで呼ぶのが苦手で豊君さえよければこのままでいいかな?」

僕「よかった。実は僕も呼び捨てで呼ぶのが苦手だったんです」

遥さん「真理のことはあまり気にしないでね。あの子はあれで結構気を使ってくれてるから」

僕「真理さんってなんか色々凄い人ですよね。パワフルというか」

遥さん「そうそう(笑)けど、豊君とこうして知り合えたのも真理のおかげかな」

僕「きっかけは…あれでしたけどね(笑)」

二人の他愛も無い会話が続き夜が更けていった。


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