十三話 女王の威厳。
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「あーよくねたぁ。」
「あ、輝おはよー、」
由衣は既に髪をとかしていた。
「おう、おはよ。」
「ほら、ボサってしてないで早く支度しないと!」
今日は王城へいくのだ。
忘れてはいないが、ゆっくりしてしまう、俺の悪い癖だ。
「これでよし、」
髪をとかし終わった由衣は服を着替える。
「ちょっと、見ないでよね。」
あ、やべ。
「すまんすまん。」
俺は視線を瞬時にそらす。
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1時間後、馬車に乗り王城へ向かう。
「なあ、レイン?」
「なんだい?」
「1年間聞いてなかったけどさ、この国の電気ってどうなんってんの?」
すっかり聞くのを忘れていた、1年も。
「ああ、これはね、ソティが蓄電してくれているんだよ。」
「え!マジで!?」
……あいつかなりの働きしてんだな。
「ああ、もちろんお金を払ってね。」
そこはしっかり対価をとるんだ、まぁ当然か、体力消費半端じゃないだろうしな。
「あ、でもソティはストレス発散になるからいいって喜んでやってくれるよ。」
あんな子どもにもちゃんとストレスがあるんだな。
って偏見かな?
「じゃあ、火が出るのはバーンが出してる火なのか?」
流石にそれだとやだなぁ。
「いや、それは違うな。」
即答だった、レインも嫌みたいだ。
「聞きたいことは無いか?」
「ああ、十分だ、1年間住んでて知らなかったのはこれだけだよ。」
「レイン様。そろそろ王城に着くことでございます。」
マルスが馬車の外から言う。
「ああ、やっとか。」
とは言ってもいつもより、30分もはやいのだ。
道が整備されて、馬車も走りやすくなったんだろう。
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「やぁ、久しぶりだね、レイン、ヒカル、ユイ。」
馬車を降りるとウィンドが出迎えをしていた。
「ああ、ウィンド、久々だな。」
「ああ、レイン、鳥人以来かな?」
一ヶ月前の鳥人掃討作戦を2人でやり遂げた、この2人はパートナーであり、ライバル。
なんというか、俺と由衣みたいだ。
だが、恋人って訳では無いよう。
結構性格も似ててお似合いだと思うけどなー。
って俺は度々思う。
「母の部屋へ案内をするよ。」
「あれ、他のみんなは?」
「ああ、皆、もう部屋の前にいるよ。」
「おーーい!!お前らおせぇぞ!!」
バーンは相変わらずうるさい。
死に損ないが、おっと、本音がつい。
「うるっさいのよ!!!!」
甲高い声で、大恩人ソティが叫ぶ。
正直、ソティの声もかなりだが、大恩人なので多めにみるか。
「君たち、その部屋に誰がいるか、解っていての発言かな?」
2人を睨みつけてウィンドはいう。
「すまねぇ、」
「ごめんなさい。」
2人ともその眼光にやられ、すぐに謝る。
「では、君達は部屋に入るといい、僕は自室に戻る。」
「ウィンドは来ないのか?」
団長がいないのは如何なものだろうか。
「僕は、1週間後の作戦を練らなければならないからな、あと、レインが居れば大丈夫だろう。」
「ああ、任せておけ、いつもの事だ。」
といって、ウィンドは自室へ向かった。
「さて、行こうか。」
トン・トン・トン
「どうぞ。」
「失礼致します、聖騎士全員揃いました。」
レインは扉前で深々と頭を下げる。
「宜しい、入りなさい。」
大きい椅子に綺麗な女性が座っている。
女王様だ、髪は金髪で目は細く、ウィンドの目とよく似ている、まぁ、母だし。
身長も160後半位で。
可憐な女性というのがビシッと伝わってくる。
「今日呼んだのは、国王として、君たちの顔を見ておきたかったからだ。」
・・・どういうことだ?
「ヒカル君、君は必ず生きて帰ってくる自信はあるかな?」
まるで心を探るように、目を細めて質問してきた。
「それは、もちろんあります。」
「ほう、だが君は隙があるようだ。」
「輝!後ろ!」
王城の兵士が切りつけてきた。
「シャドーミスト!」
剣はすり抜ける。
「ほう、見事だ。」
ぱちぱちぱち、と女王は拍手を俺にした。
異常者か?それとも、俺を試していたのか?
あの時の顔は殺せと兵士に言ってる感じだった。
「まぁいい、第2使団の掃討作戦、よろしく頼む。」
そういい、俺達は部屋を後にした。
約10分程度だが、女王の威圧は凄まじかった、多分相当つよい。
「さて、帰ろうか?」
「おいおい、レイン!」
レインが帰ろうと言った瞬間にバーンは首を突っ込んできた。
「なんだい?バーン、」
「何ってたまには、聖騎士で飯でもどうだ?」
「え、」
「え。」
「え、」
「え。」
「いやかしら、」
「なんでだよぉ!」
「あんたがうるさいのよ!!!!」
ごもっとも。
「まぁでも、確かに行ったことがないな、」
「確かにそうですね、ソティ?行ってみないか?」
「兄様が、そういうならしょうがないのよ。。。。」
随分あっさりだな、兄様にはさからえないのか?
「じゃあ行こうぜ!」
拳を空に上げて叫ぶ。
「はぁ、厄日なのよ。」
俺達は酒場へ初めていく。