十二話 好きな人。
俺はマルスとの手合わせ後部屋に戻った。
「あ!おつかれ!輝!」
由衣は俺にタオルを差し出した。
あ〜うん、優しい。
前はこんな感情は出なかっただろうが、今はこの何気ない仕草にも心が動かされる。
「ああ、ありがとう。」
「えへへ、どういたしまして!」
と凄い笑顔で可愛かった。。
「それより、マルスの剣折ったでしょ?」
由衣はあの手合わせを見ていたようだ。
「ああ、見てたのか、確かに折ったぞ。」
「だってさ、凄い金属音だったもん。」
屋敷まで伝わる程の音だったのか、やってた俺にはわからないな。
「あとさ、使えるようになったんだね!」
「ああ、おかげ様でな、」
由衣のお陰なんだがな。
「見せて?」
由衣は両手を握って、何とも言えないポーズをとった。
俺は可愛いと思ったが、皆からみたらどうなのだろうか。
ただのぶりっ子に見えてしまうのだろうか。
「ああ、いいよ。」
・・・・・・・・・
「ダークブラインド」
「シャイニング・フォース」
部屋の中で二つの属性が混じりあい、部屋の半分が光
、また半分が闇が展開された。
「いや、なんで由衣も展開してんの?」
「え?だって、こうしないとどっちが強そうなのかわからないじゃん!」
どうでも良くね?実際そんなんじゃわかんねーし、
「で?じゃあその結果はどっちが強そうなの?」
どうせ、由衣のやつに決まってるじゃん!
とか言うんだろうなー。
「くやしいけど、輝の方が強いね」
あれ?すんなり諦めたよ。
「あれそう?」
俺は腰に手を当てて偉そうにする。
「勘違いしないでよね、総合では負けないんだから!」
総合も何も剣技も由衣より俺の方が上なのに何で勝つんだ?
「はいはい、がんばってな。」
「何その返答!めっちゃうざいわ!」
その起こった表情も可愛い!
完全に俺のキャラ変わったな。
可愛いって何回言ったよ、いや心ではもう10回は言ってるな。
あーうん、いつからだろう、可愛いな〜
「輝?ぼーっとしてどうしたの?」
「いや何でもないよ、ご飯に行こうか!」
「わかった!いこう!」
俺達はダイニングへ行く。
「やぁヒカル、ユイ。」
少しお疲れ目なレインだ。
「ヒカル、マルスの剣鬼の剣を折ったそうだな。」
「ああ、確かに折ったな、」
「ああ、君明日、王城に呼び出しあるから、」
・・・え、説教かな?
先生に説教??
「あの剣、折っちゃダメでしたか?」
俺は少し冷や汗を掻きながら恐る恐る聞いた。
「あーあれの件じゃないよ、剣は所有権がマルスだからね、マルスの責任になるんだ。」
あーマルスに悪い事をしたな。
「明日は聖騎士が揃って、作戦会議をするんだよ」
あーなるほど。
でも、あの面々で意見が会うんだろうか。
否、合うわけない、バーンとソティがいい例だ。
「その作戦会議意味があるんですか?」
「うーん、まぁ意味が無い訳では無いな。」
少し悩んだ口調だった。
レインもわかっているんだな。
「まぁとにかく、明日は王城にいく。」
「わかりました、」
俺はそう言った後にご飯を食べ、ダイニングを出た。
「ねね、輝?」
といい、部屋に戻る途中で由衣が歩くのをやめた。
「・・・・・・・・なの?」
全然小声で聞こえない。
「え?なに?」
「な、何でもない!」
由衣は顔を赤くして、部屋にダッシュで戻っていった。
何だったんだ?
俺が部屋に戻ると、既に由衣は寝ていた。。
寝るの早いな。
俺も寝るか。
由衣おやすみ。。
「好きだよ。」
俺は寝ている由衣の耳元でそう言った。