十一話 護るべき人。
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それから一ヶ月が経った。
獣人は残り1.2.3の使団がまだ残っている。
第4使団は鳥人との激突で無くなったらしい。
そして、鳥人はレインとウィンドの活躍で全滅させたようだ。
あ、そう言えば、
バーンはボロボロで帰ってきたが、8使団はちゃんと潰せたみたいだ。
俺の状態は全く良くない。
俺はあの後、毎日、
必死に剣をふり、魔法の強化に務めた、だが、少しも進歩は無かったんだ。
なんで、なんで、何でなんだ。
俺だけ、強くなれない。
俺は二週間前初めて、由衣に負けた。
この先負けることは無いだろうと思っていたのに、いや、その考えが甘かったのかもしれない。
とにかく、俺は強くなれない。。。。
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「ヒカル?ちょっといいかい?」
レインは俺を呼んだ。
俺はレインの元に行くと、地図を渡された。
「3週間後、第2使団に聖騎士全員でいく。」
聖騎士全員か、この中に俺がいてもいいんだろうか。
「全員ですか??」
俺は少しレインの目から逸らしていう。
「ああ、第2は前の私達全員で勝てなかった奴らだ、当然、君たちの手も借りる。」
そうだよな、俺は聖騎士なんだから。
「わかりました、しっかり戦えるようにするよ、」
俺には自信がない、前のように戦える自信が。
「うん、期待をしているよ。」
とレインは俺にプレッシャーが掛かる言葉を言ってきた。
「じゃあ、夜ご飯で会いましょう、」
と俺がレインの部屋を出ようとすると。
「なぁ、今から私と手合わせしないか?」
・・・「いえ、遠慮しておきます。」
前なら是非とやるが、今は自分の実力が計り知れている。
レインに勝てるわけがない。。
俺は部屋をでた。
外にでて、剣を振る、振って振って、振りまくった。
これに意味があるのかもわからない状態で。
「ヒカル様、何をやっておられるのですか?」
マルスは屋敷から出てきてそう言った。
「何って、剣をいつものように振っているんだ。」
「そんな意味の無い素振りをですか?」
「意味が無い?」
俺は何かが切れた。
「意味が無いわけないだろ!俺は強くならないといけないんだ!この先の強い敵と戦えるようにしないと、死ぬからだ!一ヶ月前実際に死にかけた、新しい力が使えるようになったのに、使えなくなったんだよ!だからこうして剣を振りまくって強くなろうとしてるんだよ!!!」
気づく目から涙が出ていた。
「私は一ヶ月前に言ったはずです、その状態では強くなれないと。」
確かに言われた、があれは騎士道の話ではないのか?
「私はレイン様の為に剣をふる、あなたは誰のためですか!」
俺は、誰のために、
「それが思い出せないようでは、一生剣を振ってもこれ以上強くはなれない。」
俺は、俺は……… あっ。
思い出した。
俺は由衣を護るため、そのために強くなろうって決めたんだ。
それを俺はいつしか、自分のためになっていた。
「由衣、」
「思い出せたようですな、では、全力で私と手合わせ願えますかな?」
マルスは腰に掛けている剣を抜き構える。
「ええ、行きますよ」
涙を拭き、剣を構える。
「ダークブラインド!」
闇の強いオーラが展開させる。
出来た。やっと。
「はぁぁぁ!!!」
マルスは突っ込んできた!
激しい速さの剣戦、激しい金属音と体が風を切る音。
マルスはこの上なく本気で戦っている。
俺も本気だ、このままやったらどちらかが死んでしまうんじゃないのか、
俺はそんなことを考えていた、その時。
パァキィィィン!!
マルスの剣が折れた、聖騎士の剣の次に凄い、剣鬼の剣が折れた。
「ふむ、折れてしまったようですな。」
俺はマルスの首元に剣を突き立てる。
「見事、良く折りました、合格です。」
合格?何のことだ?
「貴方は王国最高の剣士と私が認めます。」
え、えぇぇ!?
「どういう事ですか!?」
俺はいきなりの事で驚いた。
王国最高って、まだウィンドがいるじゃんか。
「あの、ウィンド騎士団長は?」
「あのお方は剣技ではそこまで優れてはおりません、ですが、魔術のレベルは最高でしょうな。」
なるほど、そういう事か、でも、いきなり過ぎるだろ。
「貴方はこの剣鬼の剣を折ったのです、この剣は絶対に折れないと称された剣、どれだけ斬りあっても折れないはずだったもの、それを貴方は折った、ということは、私の剣技が貴方より劣っているということになる。」
マルスは目を瞑り、剣を鞘に収めた。
「この称号は貴方に受け継ごう。」
マルスは立派な勲章を胸ポケットから出し、俺に渡した。
「これは?」
「剣征の証です、受け取ってください。」
マルスは本気で俺が王国最高の剣士だと言っている。
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「受け取れません。」
「なぜですか?」
俺は1度は受け取ったが、すぐに戻した。
「何故なら、俺自身がまだ認めないからです!」
俺は拳を胸に叩きつけて、そう言った。
「そうですか、ではどうしたら貰っていただけるのですかな?」
マルスは微笑んで嬉しそうだった。
「ああ、もちろん、獣人全てを倒し、由衣を護れたらだ。」
俺の目標が決まった。
鳥人は既にレイン、ウィンドが全滅させているので、問題ない。
「なるほど、そういう事ですか。」
マルスは屋敷に戻りながらこういった。
「では、いつか、そうなるよう願います。」
屋敷に戻っていった。
俺は由衣のために強くなる。