九話 救世主
「間に合ってよかったよ。」
ソイルは安心したという表情で俺を見る。
「ああ、本当に助かったよ、ありがとうな」
「なに、気にする事はないよ」
「ソティにも言うことがあるんじゃないかしら?」
ソティは腕を組みドヤ顔をして言う。
「ありがとな、ソティ」
俺はにっこりと笑いながら言う。
「その笑みは正直きもいかしら。」
おいおい、キモイはないだろ。。
てか、どうしてここにきたんだろう。それが知りたかった。
「そういえば、何でここにいるんですか?」
「ああ、それを言わなければな、実は僕達はこの近くの第六使団の拠点を叩いて、その帰りだったんだが、この精霊の森が目に入り、ソティが入りたいと言ってね、仕方なく入ったんだ。そして、入って少し経つと、地鳴りがしてね、その場所を僕の能力で特定して、今に至るんだ。」
確かにそれなら納得がいく、ソイルは地の魔法を操る、それでここが特定できたのか。
うん?第六使団の帰り?
まて、確かに1つ下だが、そこまで敵の強さも変わらないだろう、それをこの2人だけで撃退出来たのか?
確かに、攻撃力に特化した雷属性と守備に特化した地属性の魔法だけならかなりの強さだ。
だが、剣術は俺よりも出来るわけじゃない、魔法だけで突破するには、膨大な量のMPが必要になる。
この世界のMPは体力の様なものだ、だからソイルには百歩譲ってあるかもだが、
少女のソティにはそんなMP量があるとは思えない。
「どうやって、戦ったんだ?」
俺は素直に聞きたいことをきいた。
「いつもどうりにやったが?」
「そうね、いつもどうりだったかしら、」
こいつらのいつもどうりを知らない。。。
元よりこいつらがどう戦うかもしらないのだ。
「そのいつもどうりを知りたいんだ。」
「ふむ、なるほど、」
「じゃあ、話すといいかしら、お兄様おねがいね。」
ソティはそう言うと由衣の元へ行き、電気治療を始めた。
「では、話すとしよう、この話で君達の連携レベルも上がるかもしれない。」
連携レベル???
だが、連携レベルと言うものを聞いて、なんとなくだが、この2人の戦い方が浮かんできた。
「俺達は剣術と個人の技に関してはほとんど磨いていない、なぜなら必要が無いからだ。」
必要がない?そんな事は無いはずだ、個人技からの連携が生まれると、マルスはそう言っていた。
「確かに個人技から連携というケースもあるが、それでは、俺達のバランスは崩れてしまう、一つに体格が全く違うからだ、それは年齢によるものが一番だろう?そこのバランスを保つには魔法が一番保たれる。」
なるほど、確かにそうかもしれない、パワー、スピードが違うと確かに合わせずらい。
だが、俺と由衣はほとんど、パワー、スピードは変わらないはず。
「後は、魔法の相性だな、僕は地、ソティは雷、2人で攻守に分けて戦える、即ち、連携がとてもしやすい、どうかな、わかるかい?」
うん、凄くわかるよ、つまりあれだろ?俺と由衣は光と闇、コインの表と裏のような存在はず。
だが、どちらも攻撃に特化していて連携には向いていないということだろう。
「どうだい?参考になったかな?」
「・・・・はい、参考になりました。」
実際参考にはなったが、これで、連携が上手くなるとはおもえない。
この2人は兄妹、息が通じ合うのは幼馴染よりもかなりの時間を過ごしているからだとおもう。
「そうか、ならよかったよ。」
「はい、本当に色々とありがとうございます。」
よかった、色々本当に、命もある、由衣も生きている、あの絶望からよくここまで復帰できたものだ。
思わず、自画自賛してしまう。
「これで、残る使団は、1使、2使、3使、7使、8使の五つか、今、バーンは8使に向かっているらしい、」
バーンか、確かに強そうなのだが、魔法以外、誇れるものが無いのだ。
要するに口だけという事だ、確かに初めてあった時はバーンの方が強かっただろう。
だが、今思えば、あの時の殺気も感じないほど、弱いと俺の体は判断したのかもしれない。
バーンは、生きて帰ってこれるだろうか。
「その場所は遠いんですか?」
「ああ、話によると、王都から北側という情報だ。」
こっちは南側、真反対のところか。
ご愁傷さまだったな、バーン、お前のことは忘れないよ。
死んでいないのに、俺はもう無理だなとおもった。
「僕達は帰るとするよ、かなり疲れたからね。」
ああ、バーンを助ける気無しか。。
確かにソティはバーンの事が嫌いだからな。
うるさいし、
「ああ、俺達も帰るとするよ。」
俺は由衣を肩に背負って、洞窟を出ようとする。
「待つかしら、」
「どうした?」
「由衣ちゃんが、その、起きたらこれを渡して置いてほしいのよ。」
と綺麗に磨き上げられた発光石だ。
発光はそこまで強くなく、神秘的な強さの光だった。。
「ああ、必ず渡しておくよ。」
「約束かしら。」
小指を出してきたので指切りげんまんをしてあげた。
「じゃあまた、」
「じゃあね!」
ソティとソイルは馬に乗り帰った。
「本当に助かった!ありがとなぁ!!」
俺も手を振って2人を送った。。
さて、俺達も帰るか。
由衣は起きないな、はぁ、背負うしかないな。
と由衣を起こそうとすると、
「もう起きてるから、大丈夫だよ」
由衣は起き上がった。
突然起き上がった。
「よかった、本当に。」
俺は少し涙目になっていた、
「私が死ぬとでも?有り得ないわ!」
実際、大量出血で、ほぼ瀕死状態だったのだが、
「ああ、でも、ソティ達に感謝しないとな。」
俺は今さっきあったことをありのまま言う。
「さっきの戦い、見てたよ、意識は朦朧してたけど、輝の戦い。」
「そっか、そうだったんだ。」
由衣は首を縦にふり、疲れた表情で帰ろ?って言ってきた。
俺達は3日半をかけてようやく帰れるのだ。
まだ戦いは続くが、ひとまず帰ってやすもう。