五話 精霊の森。
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俺達は屋敷、王都を後にして一年前、レインに助けられたあの森を目の前にする。
俺は懐かしさと、あの時の恐怖を持ちつつも自分の強さを糧にしてこの森へ入る。
早朝だか、やはりここは悪獣の群生地、あの時の『宿敵』、悪獣が俺達に襲いかかる。
「あ〜もう、こいつら本当に鬱陶しいわ、本当にゴミね。」
確かにこいつらは面倒だがそこまで言うこともないだろ?
実際一年前は歯が立たなかったし。
あと、ゴミって、少しは可愛い、よく見れば少しは、、、、
可愛くねぇな。うん、ゴミだ。
「なぁ、悪獣の倒した数を競わないか?」
「だめよ、ここを早く抜けたいから馬を全速力で走らせるわよ。」
悪獣を倒すのも聖騎士の役目なのに全然倒す気が由衣には無いようだ。
だが、俺達がいくら馬を早く走らせようが、悪獣は俺達を襲ってくる。
「じゃあ、由衣!俺の前に行ってろ!」
俺は剣を抜き、周辺の木を見る、
なるべく、でかい木、………あった!
かなり太く高い木を見つけた。
「シャドーバンプ。」
魔法を展開し、
馬から飛んで、空中で、でかい木をぶった斬った。
バァッシャァァン!!!
木は激しい音をたてて倒れ、悪獣を潰した。
馬に再び乗り、
やったぜ!と思い拳を突き上げた。
「輝、凄いじゃん!」
由衣も驚いた表情で拍手をしてくれた
俺も賭けだったが、上手くいって嬉しかった。
「よし!このまま抜けるぞ!」
馬の速度をそのままにして、森を駆け抜ける。
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悪獣は出てきたが、恐れなく森を抜けた。
もちろん、馬から下りて戦っていても、楽勝だっただろう。
「やっと抜けたねー」
「ああ、だけどここからが大変だぞ」
そう、この広大な平原を更に馬を走らせて、精霊の森に向かって、そこからまた奴らの拠点を探す。
先が思いやられるな、と俺は思った、
・・・・
「ねね、輝?」
由衣が少し落ち込んだ表情で聞いてきた。
なんだろうと聞こうとすると
「学校、どんな感じなんだろうね、」
と突然元いた世界の話を始めた。
由衣は今まで1度もこの話をした事がないのだが、急に話を始めた。
だが、無理もない、こいつは学校に行くのが本当に楽しみにしていたからだ。
でも、本当に急に何故だろう。
「どうしたんだ?急に」
俺は息を飲み込んできいた。
「ううん、別に意味はないの、」
本当か?とは聞かなかったが、由衣は意味の無い事は言わないはずだ、
「そっか、でも俺も行きたかったよ。」
楽しく過ごしたかった、部活やりたかった。
「でもさ、この生活も悪くないだろ?」
俺は心からそうおもう。毎日が新鮮で様々な経験を得られるし、もしかしたら、学校に行くよりいいのかもしれない。
最近そう思うようになっていた。
「うん、そうだね。」
少し、しょぼんとしてたが、さっきよりは明るい声で返答してくれた。
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「いつになったら、精霊の森が見えてくるの?」
とイライラとした感じでいってくる。
さっきの暗い感じは何なんだったんだ。
喜怒哀楽が激しいやつだな、あ、前からか。
「まだつかないとおもうぜ。」
本当はあとちょっとなのだが少しからかってみたかった。
「本当に?」
由衣はむすっとした表情で俺を見る。
その顔に少しドキッとしてしまった、いつもならならないのに。
「うそうそ、あとちょっとのはずだよ」
俺は笑いながら答えると
「もう!からかわないでよ!」
あ、可愛い。そう思った。
「ほら、あれが精霊の森だよ」
俺は指で前にある森を指す。
森自体がとても輝いていて神秘的だ。
まさに、精霊がいそうなそんな森だった。
「きれい、」
由衣は呟くように小声でいった、いつもなら大声で言うはずなのだが、おそらく綺麗すぎて声が出なかったのだろう。
本当に神秘的な綺麗な森なのだ。
「発光石がいっぱいあるのかな?」
俺は現実的なことをいってしまった。
自分でも失言だと言ったあとにおもった。
「おい、お前そんなことをいってんじゃねぇ、」
由衣は激おこだ。しかもどこかのヤンキーのような口調だ。
確かに夢のような光景に対して、現実を入れては、女子なら怒るだろう。でも、そこまで怒ります??
「悪かったよ。」
というと、
「・・・・・・・」
無視された。。
森にちかずくとやはり、発光石と、発光樹が沢山あり、だが見たことがない色をしたがあった。
でも、由衣を見ると、いや見ていないが
威圧を凄く感じる。それに、今戦ったら負けてしまうかもしれない。。
馬を森の外に停めて、会話をせずに森の中に入る。中もかなり明るく、先が良く見える。
だか、ここに本当に奴らの使団の拠点があるのだろうか。
こんな所にあるとはどうも思えない。。
「なぁ由衣?本当にあると思うか?」
「しらない」
まだ怒っている。返事はしてくれたが、威圧感のある低い声だ。
「そっか。なんか見えたら言ってな」
「・・・・・・・・・」
また無視だ、俺はさっきに戻りたいとおもう。
この空気にいるのは本気でつらい。
何も思わないように、先に進む。
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「そろそろこの辺りで寝るか?」
かなり歩いて、空を見るともう夜だ。
間食をしながら歩いていたのでお腹はすいていないが、眠いのだ。さて、返答してくれるかな??
「うん、いいよ、」
まだ怒ってはいるが、さっきよりは穏やかな口調だった。
俺は持って来たテントを出した。
「由衣はこの中で寝ていいぞ」
「1人で使っていいの?」
何故か、指を組み、可愛い女子の様なことをした。
さっきまで怒ってたのに、何このギャップ。
可愛いぃぃ。。
そうおもった。
「ぉ、おう。使っていいぞ」
俺もつい、おどおどとした口調でいってしまった。
「じゃあ、使わせてもらうね?」
何かのヒロイン??と思わせるくらい可愛く、
首を傾げて、テントの中にはいった。
由衣は顔はとても可愛いので、こういう風にすると余計可愛く見れる。。
「じゃあおやすみ。」
「あぁ、おやすみ。」
ああ、まだ見てたい。と思ったがテントに入ってしまった。
「さて、ホワイトフィーム」
辺り透明の膜で覆う、これは無属性魔法で
この膜の外からではここは物や人が見えなくなる、と言う様な膜を張る。
「これで、よし!」
俺もポーチから枕を出して、寝っ転がる。
そのまま、眠りについた。